(趣旨)
第一条 この法律は、昭和二十二年十二月三十一日以前に効力が発生した郵便年金契約(以下単に「年金契約」という。)につき年金の支払に代わる特別一時金の支給に関し必要な事項を規定するものとする。
(特別一時金の支給)
第二条 年金契約に係る年金契約者(年金支払の事由が発生した年金契約にあつては、年金の支払を受けている年金受取人又は年金継続受取人)は、昭和四十三年一月一日から昭和四十四年十二月三十一日までの間に、国に対して当該年金契約を消滅させる旨の申出をすることができる。
2 前項の申出は、その到達前に、これを発した者が死亡したときは、その効力を生じない。
3 第一項の申出があつたときは、当該年金契約は、その申出があつた時にその効力を失う。この場合においては、郵便年金法(昭和二十四年法律第六十九号)第二十七条の規定は、適用しない。
4 前項の規定により年金契約がその効力を失つたときは、その効力を失う際における当該年金契約に係る年金受取人(年金継続受取人が第一項の申出をした場合にあつては、当該年金継続受取人)に特別一時金を支給する。
(特別一時金の額)
第三条 特別一時金の額は、年金繰上支払金、分配金繰上支払金(定期年金の年金契約に限る。)及び特別付加金の額の合計額とする。
2 年金繰上支払金の額は、次の各号に掲げる年金契約の区分に従い、当該各号に掲げる額(前条第一項の申出の際現に年金支払の事由が発生しているものにあつては、昭和四十三年一月一日から同項の申出があつた時までの間に支払期の到来した年金に相当する額を差し引いた残額)とする。
一 即時終身年金の年金契約又は据置終身年金の年金契約で昭和四十二年十二月三十一日以前において年金支払の事由が発生しているもの 昭和四十三年一月一日における年金受取人の年齢に対応する平均余命の年数(昭和四十一年に厚生省が発表した第十一回生命表によるものとし、その年数に一年に満たない端数があるときは、その端数は一年に切り上げる。以下同じ。)を年金額に乗じて得た額
二 据置終身年金の年金契約で昭和四十二年十二月三十一日以前において年金支払の事由が発生していないもの 年金受取人の年金支払開始年齢に対応する平均余命の年数を年金額に乗じて得た額(当該年金契約につき前条第一項の申出がなかつたとすれば年金支払の事由が発生する日の前日までに払い込むべきであつた掛金のあるものにあつては、その掛金に相当する額を差し引いた残額)
三 保証期間附即時終身年金(以下「保証即時年金」という。)又は保証期間附据置終身年金(以下「保証据置年金」という。)の年金契約で昭和四十二年十二月三十一日以前において保証期間が満了しているもの 昭和四十三年一月一日における年金受取人の年齢に対応する平均余命の年数を年金額に乗じて得た額
四 保証即時年金の年金契約又は保証据置年金の年金契約で昭和四十二年十二月三十一日以前において年金支払の事由が発生しているものであつて、同日以前において保証期間が満了していないもの(次号に掲げる年金契約を除く。) 保証期間内に支払うべき年金に相当する額から同日までに支払期の到来した年金に相当する額を差し引いた残額と保証期間が満了する日における年金受取人の年齢に対応する平均余命の年数を年金額に乗じて得た額との合計額
五 保証即時年金又は保証据置年金の年金契約で昭和四十二年十二月三十一日以前において年金継続受取人が年金の支払を受けるに至つているもの 保証期間内に支払うべき年金に相当する額から同日までに支払期の到来した年金に相当する額を差し引いた残額
六 保証据置年金の年金契約で昭和四十二年十二月三十一日以前において年金支払の事由が発生していないもの 保証期間内に支払うべき年金に相当する額と保証間期が満了する日における年金受取人の年齢に対応する平均余命の年数を年金額に乗じて得た額との合計額(当該年金契約につき前条第一項の申出がなかつたとすれば年金支払の事由が発生する日の前日までに払い込むべきであつた掛金のあるものにあつては、その掛金に相当する額を差し引いた残額)
七 定期年金の年金契約 年金支払期間内に支払うべき年金に相当する額から昭和四十二年十二月三十一日までに支払期の到来した年金に相当する額を差し引いた残額
3 随時に掛金の払込みをすべき保証据置年金の年金契約で昭和四十二年四月一日以後において掛金の払込みがあつたものについての年金繰上支払金の額は、前項の規定にかかわらず、同年三月三十一日までに払込みがあつた掛金による年金額を基礎として同項第四号から第六号までに掲げる区分に従い当該各号に掲げる額を計算して得た額にそれぞれ同年四月一日以後において払込みがあつた掛金に相当する額を加えた額(前条第一項の申出の際現に年金支払の事由が発生しているものにあつては、昭和四十三年一月一日から同項の申出があつた時までの間に支払期の到来した年金に相当する額を差し引いた残額)とする。
4 分配金繰上支払金の額は、定期年金の年金契約における年金支払期間が満了したとすれば郵便年金法第三十一条及び郵便年金約款(昭和二十四年郵政省告示第六号)第百十三条の規定により分配すべき剰余金に相当する額とする。
5 特別付加金の額は、年金契約の年金額(第三項に規定する年金契約にあつては、昭和四十二年三月三十一日までに払込みがあつた掛金による年金額)及び年金契約の効力が発生した日の属する年(以下「契約年」という。)の区分に応じ別表に定める額とする。
(控除支払)
第四条 特別一時金を支給する場合において、当該年金契約に関し未払掛金、貸付金その他国が弁済を受けるべき金額があるときは、支給金額からこれを控除する。
(正規の支払)
第五条 特別一時金をこの法律及びこの法律に基づく郵政省令に定める手続によつて支払つたときは、その支払は有効とする。
(時効)
第六条 特別一時金を受ける権利は、五年間行なわないときは、時効によつて消滅する。
(譲渡等の禁止)
第七条 特別一時金を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
(郵政省令への委任)
第八条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、郵政省令で定める。