(目的)
第一条 この法律は、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害による事業の休止又は廃止のため休業し、又は離職するに至つた失業保険の被保険者について、失業保険金の支給等に関し失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号。以下「法」という。)の特例を定めることにより、その生活の安定を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「災害」とは、昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八月及び九月の風水害をいう。
2 この法律において「被保険者」とは、失業保険の被保険者であつて、法第三十八条の五第一項の日雇労働被保険者以外のものをいう。
3 この法律において「休業者」とは、次条第一項の確認を受けた者をいう。
(休業の確認)
第三条 災害を受けた政令で定める地域にある事業所に被保険者として雇用されている者は、当該事業所が災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し、又は廃止したことにより休業するに至つた場合は、当該休業について、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所長の確認を受けることができる。
2 前項の確認があつたときは、その者は、法の規定の適用については、当該休業の最初の日の前日において離職したものとみなす。
3 第一項の確認を受けようとする者は、労働省令で定める期日までに確認の申請をしなければならない。
(被保険者資格喪失の確認に関する特例)
第四条 前条第一項の確認があつたときは、その確認による被保険者の資格の喪失については、法第十三条の二第一項の確認があつたものとみなす。
2 前条第一項の確認による被保険者の資格の喪失については、法第十三条の三の規定は、適用しない。
(失業に関する特例)
第五条 労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、就労することができず、かつ、賃金を受けることができない状態にある休業者は、法の規定の適用については、失業しているものとみなす。ただし、災害の状況を考慮して、地域ごとに、昭和三十四年八月三十一日から昭和三十五年三月三十一日までの範囲内において政令で定める日(以下「指定期日」という。)までの間に限る。
2 休業者は、当該休業に係る失業保険金の支給を受けるには、法第十六条の規定にかかわらず、別に労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭して失業の認定を受けなければならない。
3 前項の失業の認定は、法の規定の適用については、法第十六条第一項の失業の認定とみなす。
(待期に関する特例)
第六条 休業者(次項の規定による失業保険金を受ける者を除く。)の前条第二項の失業の認定に係る失業保険金については、法第十九条本文中「失業保険金は、受給資格者が公共職業安定所に離職後最初に求職の申込をした日以後において」とあるのは、「失業保険金は」とする。
次の各号に掲げる失業保険金については、法第十九条の規定は、適用しない。
一 休業者であつて前条第二項の失業の認定に係る失業の日数が引き続き三十日以上であるものの当該失業に係る失業保険金
二 第十条第一項第二号に掲げる者であつて法第十六条第一項の失業の認定に係る失業の日数が引き続き三十日以上であるものの当該失業に係る失業保険金
三 休業者であり、かつ、当該事業所が災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し、若しくは廃止したことにより離職した者又は第十条第一項第一号に掲げる者であつて、前二号の失業の認定に係る失業の日数が引き続き三十日以上であるものの当該失業に係る失業保険金
(支給方法及び支給期日に関する特例)
第七条 第五条第二項の失業の認定に係る失業保険金の支給方法及び支給期日は、法第二十四条第一項の規定にかかわらず、別に労働省令で定める。
(被保険者資格の取得に関する特例)
第八条 休業者は、指定期日までに、事業の再開により従前の事業所に再び就業し、又は従前の事業主の他の事業所に就業するに至つた場合は、法の規定の適用については、就業の最初の日に当該事業主に雇用されたものとみなす。
2 休業者(前項の規定の適用を受ける者及び指定期日までの間において従前の事業主との雇用関係が終了した者を除く。)は、法の規定の適用については、指定期日の翌日に従前の事業所に雇用されたものとみなす。
(継続雇用期間の通算等)
第九条 休業者(第三条第二項の規定により離職したものとみなされた日まで引き続きその事業主に被保険者として雇用された期間が十月以上である者に限る。以下この条において同じ。)が前条の規定により従前の事業主に雇用されたものとみなされた日以後引き続き十月以上その事業主に被保険者として雇用され、新たに法第十五条第一項に規定する受給資格を得て離職した場合は、当該受給資格に基きその者に支給すべき失業保険金の給付日数については、第三条第二項の規定により離職したものとみなされた日まで引き続きその事業主に被保険者として雇用された期間から次項の規定により計算した期間を減じて得た期間を、前条の規定により事業主に雇用されたものとみなされた日以後引き続きその事業主に被保険者として雇用された期間に通算する。
2 前項に規定する被保険者として雇用された期間から減ずべき期間は、第五条第二項の失業の認定に係る失業保険金の支給を受けた日数(十日未満の端数があるときは、その端数を十日として計算する。)について、十日につき一月の割合で計算して得た期間とする。
3 休業者(第一項の規定の適用を受ける者を除く。)が前条の規定により従前の事業主に雇用されたものとみなされた日以後引き続きその事業主に被保険者として雇用され、新たに法第十五条第一項に規定する受給資格を得て離職した場合は、当該受給資格に基きその者に支給すべき失業保険金の給付日数については、法第二十条の二第三項中「失業保険金の支給を受けた日数を差し引いた日数(その日数が、再離職の日の翌日から前の受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数を超えるときは、再離職の日の翌日から前の受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数)」とあるのは、「失業保険金の支給を受けた日数を差し引いた日数」とする。
第十条 第三条第一項の政令で定める地域にある事業所が災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し、又は廃止したことにより当該事業所に被保険者として雇用されている者が離職した場合において、これらの離職した被保険者のうち次の各号に掲げるものが指定期日の翌日までに再び従前の事業主に雇用されるに至り、かつ、その後引き続き十月以上その事業主に被保険者として雇用され、新たに法第十五条第一項に規定する受給資格を得て離職したときは、当該受給資格に基きその者に支給すべき失業保険金の給付日数については、当該事業の休止又は廃止による離職の日(第一号に掲げる者にあつては、第三条第二項の規定により離職したものとみなされた日。以下この条において同じ。)まで引き続きその事業主に被保険者として雇用された期間から事業の休止又は廃止による離職の際の受給資格(第一号に掲げる者にあつては、第三条第二項の規定により離職したものとみなされた際の受給資格)に基き失業保険金の支給を受けた日数について前条第二項の規定の例により計算した期間を減じて得た期間を、再びその事業主に雇用された日以後引き続きその事業主に被保険者として雇用された期間に通算する。ただし、事業の休止又は廃止による離職の日まで引き続きその事業主に被保険者として雇用された期間が十月未満である者については、この限りでない。
一 当該事業の休止又は廃止による離職前の休業について第三条第一項の確認を受けた者
二 当該事業の休止又は廃止による離職について、労働省令で定めるところにより、公共職業安定所長の確認を受けた者
2 第三条第三項の規定は、前項第二号の確認について準用する。
3 第三条第一項の政令で定める地域にある事業所が災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し、又は廃止したことにより当該事業所に被保険者として雇用されている者(第一項ただし書に規定する者を除く。)が離職した場合において、これらの離職した被保険者のうち同項各号に掲げるもの(同項の規定の適用を受ける者を除く。)が指定期日の翌日までに再び従前の事業主に雇用されるに至り、かつ、その後引き続きその事業主に被保険者として雇用され、新たに法第十五条第一項に規定する受給資格を得て離職したときは、当該受給資格に基きその者に支給すべき失業保険金の給付日数については、法第二十条の二第三項中「失業保険金の支給を受けた日数を差し引いた日数(その日数が、再離職の日の翌日から前の受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数を超えるときは、再離職の日の翌日から前の受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数)」とあるのは、「失業保険金の支給を受けた日数を差し引いた日数」とする。
(審査の請求等)
第十一条 第三条第一項又は前条第一項第二号の確認に関する処分に不服のある者は、被保険者の資格の得喪の確認に関する処分に対する不服の例により、審査及び再審査の請求をし、並びに訴訟を提起することができる。
2 法第四十条第二項の規定は前項の審査又は再審査の請求について、法第四十一条の規定は第三条第一項又は前条第一項第二号の確認に関する処分が確定した場合について準用する。