小型自動車競走法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第169号
公布年月日: 昭和32年6月10日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

小型自動車競走法の改正は、競走が社会に与える悪影響を縮減し、その内容を健全化するための政府監督強化と、小型自動車その他の機械産業振興のための経費の取扱制度改正が主な目的である。具体的には、機械の改良・輸出振興・機械工業の合理化への寄与を法の趣旨に加え、競走場の設置許可制の導入、審判員の登録制による公平性確保、車券購入禁止範囲の拡大、払戻金の最高限度額設定による賭博性の抑制などを定めた。また、競走施行者による日本自転車振興会への振興費交付を規定し、競走の公正かつ安全な運営のため、施設維持義務や秩序維持義務を課すとともに、通商産業大臣による監督権限を強化した。

参照した発言:
第26回国会 衆議院 商工委員会 第19号

審議経過

第26回国会

衆議院
(昭和32年3月27日)
参議院
(昭和32年3月27日)
(昭和32年3月29日)
衆議院
(昭和32年4月10日)
(昭和32年4月19日)
(昭和32年4月23日)
(昭和32年4月23日)
参議院
(昭和32年5月13日)
(昭和32年5月14日)
(昭和32年5月17日)
(昭和32年5月18日)
衆議院
(昭和32年5月19日)
参議院
(昭和32年5月19日)
(昭和32年5月19日)
(昭和32年5月19日)
小型自動車競走法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年六月十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百六十九号
小型自動車競走法の一部を改正する法律
小型自動車競走法(昭和二十五年法律第二百八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「小型自動車の性能の向上等品質の改善、小型自動車に関する海外宣伝その他小型自動車工業の振興に寄与するとともに、地方財政の改善」を「小型自動車その他の機械の改良及び輸出の振興並びに機械工業の合理化に寄与するとともに、地方財政の健全化」に改める。
第三条の次に次の一条を加える。
(届出)
第三条の二 小型自動車競走施行者は、小型自動車競走を施行しようとするときは、省令の定めるところにより、通商産業局長を経由して、通商産業大臣に届け出なければならない。
第五条を次のように改める。
第五条 小型自動車競走場を設置しようとする者は、省令の定めるところにより、通商産業大臣の許可を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の許可をしようとするときは、省令の定めるところにより、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。
3 都道府県知事は、前項の意見を述べようとするときは、省令の定めるところにより、あらかじめ、公聴会を開いて、利害関係人の意見を聞かなければならない。
4 通商産業大臣は、第一項の許可の申請があつたときは、申請に係る小型自動車競走場の位置、構造及び設備が省令で定める公安上及び小型自動車競走の運営上の基準に適合する場合に限り、その許可をすることができる。
5 小型自動車競走は、第一項の許可を受けて設置された小型自動車競走場で行わなければならない。
6 通商産業大臣は、必要があると認めるときは、第一項の許可に期限又は条件を附することができる。
7 通商産業大臣は、小型自動車競走場の設置者が一年以上引き続きその小型自動車競走場を小型自動車競走の用に供しなかつたときは、第一項の許可を取り消すことができる。
第八条第一項中「小型自動車競走場」を「小型自動車競走の審判員」に改め、同条第二項中「小型自動車競走場」を「審判員」に改める。
第九条に次のただし書を加える。
ただし、小型自動車競走施行者が省令の定めるところにより無料入場者と定めた者からは、入場料を取らなくてもよい。
第十条の次に次の一条を加える。
第十条の二 学生生徒及び未成年者は、勝車投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。
第十一条(見出しを含む。)を次のように改める。
第十一条 左の各号の一に該当する者は、当該各号に掲げる小型自動車競走について、勝車投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。
一 小型自動車競走に関係する政府職員及び小型自動車競走施行者の職員にあつては、すべての小型自動車競走
二 小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会の役職員並びに小型自動車競走の選手にあつては、すべての小型自動車競走
三 前二号に掲げる者を除き、入場料の徴収、勝車投票券の発売又は第十二条の規定による払戻金若しくは第十四条の規定による返還金の交付、小型自動車競走場内の整理及び警備その他小型自動車競走の事務に従う者にあつては、当該小型自動車競走
第十二条第一項中「の払戻金」を削り、「あん分して」の下に「払戻金として」を加え、同条に次の一項を加える。
5 前四項の規定により払戻金を交付する場合において、その金額に一円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
第十三条を次のように改める。
(払戻金の最高限度額)
第十三条 前条第一項の払戻金の額が政令で定める払戻金の最高限度額をこえるときは、その最高限度額に相当する額を払戻金の額とする。
第十四条第一項第四号中「その順位で」を削る。
第十五条中「であつてやむを得ない事情により小型自動車競走の終了後遅滞なく支払を受けることのできなかつたもの」を削り、「三十日」を「六十日」に改める。
第十六条を次のように改める。
(日本自転車振興会への交付金)
第十六条 小型自動車競走施行者は、一回の開催による勝車投票券の売上金の額が別表の上欄に掲げる金額に相当するときは、同表の下欄に掲げる金額に相当する金額を日本自転車振興会に交付しなければならない。
第十七条を削り、第十八条中「第十六条の規定により自己の収入とすべき金額の中から、勝車投票券の売上金額の百分の五を超えない金額を当該」を「一回の開催による勝車投票券の売上金の額に応じ、その額の百分の五以内において省令で定める金額を」に改め、同条を第十七条とする。
第十九条を削り、第二十条第二項中「設立し」の下に「、又はこれに加入し」を加え、同条第四項を次のように改め、同条を第十八条とする。
4 小型自動車競走会は、小型自動車競走の実施を、全国小型自動車競走会連合会は、審判員、選手及び小型自動車の登録を行い、選手の出場をあつせんし、その他小型自動車競走の公正かつ円滑な実施を図るとともに小型自動車に関する事業の振興に資することを目的とする。
第十八条の次に次の二条を加える。
第十九条 小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会の役員の選任及び解任は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第二十条 小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会は、毎事業年度開始前に、その事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会は、毎事業年度経過後二月以内に、その事業年度の事業報告書、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、通商産業大臣に提出しなければならない。
第二十一条を次のように改める。
(場内の秩序の維持等)
第二十一条 小型自動車競走施行者及び小型自動車競走会は、小型自動車競走場内の秩序を維持し、かつ、小型自動車競走の公正及び安全を確保するため、入場者の整理、選手の出場に関する適正な条件の確保、小型自動車競走に関する犯罪及び不正の防止その他必要な措置を講じなければならない。
2 小型自動車競走場の設置者は、その小型自動車競走場の位置、構造及び設備を、第五条第四項の省令で定める基準に適合するように維持しなければならない。
第二十一条の次に次の三条を加える。
(通商産業大臣の命令)
第二十一条の二 通商産業大臣は、小型自動車競走場内の秩序を維持し、小型自動車競走の公正又は安全を確保し、その他この法律の施行を確保するため必要があると認めるときは、小型自動車競走施行者、小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会又は小型自動車競走場の設置者に対し、選手の出場又は小型自動車競走場の貸借に関する条件を適正にすべき旨の命令、小型自動車競走場を修理し、改造し、又は移転すべき旨の命令その他必要な命令をすることができる。
第二十一条の三 通商産業大臣は、小型自動車競走施行者がこの法律若しくはこの法律に基く命令若しくはこれらに基く処分に違反し、又はその施行に係る小型自動車競走につき公益に反し、若しくは公益に反するおそれのある行為をしたときは、当該小型自動車競走施行者に対し、小型自動車競走の開催を停止し、又は制限すべき旨を命ずることができる。
2 通商産業大臣は、小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会若しくは小型自動車競走場の設置者又はその役員が、この法律若しくはこの法律に基く命令若しくはこれらに基く処分に違反し、又はその関係する小型自動車競走につき公益に反し、若しくは公益に反するおそれのある行為をしたときは、当該小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会又は小型自動車競走場の設置者に対し、その業務を停止し、若しくは制限し、又は当該役員を解任すべき旨を命ずることができる。
3 通商産業大臣は、前二項の規定による処分をしようとする場合には、これらの規定に掲げる者に対し、あらかじめ、その旨を通知して、自己に有利な証拠を提出し、弁明する機会を与えなければならない。ただし、緊急の必要によりこれらの処分をしようとするときは、この限りでない。
(小型自動車競走場の設置の許可の取消)
第二十一条の四 通商産業大臣は、小型自動車競走場の設置者が前条第二項の規定による命令に違反したときは、当該小型自動車競走場の設置の許可を取り消すことができる。
第二十二条を次のように改める。
(報告及び検査)
第二十二条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度内において、小型自動車競走施行者、小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会若しくは小型自動車競走場の設置者に対し、小型自動車競走の開催、終了及び会計その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所若しくは小型自動車競走場に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
第二十三条中「小型自動車競走場、小型自動車競走」を「小型自動車競走の審判員、小型自動車競走」に改める。
第二十六条第三号中「第十一条第二号」を「第十一条第三号」に改める。
第二十七条中「第十一条」を「第十条の二又は第十一条」に、「同条」を「これら」に改め、同条の次に次の二条を加える。
第二十七条の二 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第二十二条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第二十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第二十七条の三 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前五条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第三十三条の次に次の一条を加える。
第三十四条 左の各号に掲げる違反があつた場合は、その行為をした小型自動車競走会又は全国小型自動車競走会連合会の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 第二十条第一項の規定により通商産業大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかつたとき。
二 第二十条第二項の規定に違反して、事業報告書、財産目録、貸借対照表若しくは損益計算書を提出せず、又は不実の記載をしたこれらの書類を提出したとき。
別表を次のように加える。
別表
売上金の額
日本自転車振興会に交付すべき金額
六千万円以上八千万円未満
売上金の額の千分の十。ただし、売上金の額の千分の九百六十が六千万円未満となるときは、当該売上金の額と六千万円との差額の千分の二百五十
八千万円以上一億円未満
売上金の額の千分の十三。ただし、売上金の額の千分の九百四十八が七千六百八十万円未満となるときは、当該売上金の額と七千六百八十万円との差額の千分の二百五十
一億円以上二億円未満
売上金の額の千分の十五。ただし、売上金の額の千分の九百四十が九千四百八十万円未満となるときは、当該売上金の額と九千四百八十万円との差額の千分の二百五十
二億円以上
売上金の額の千分の十七。ただし、売上金の額の千分の九百三十二が一億八千八百万円未満となるときは、当該売上金の額と一億八千八百万円との差額の千分の二百五十
附 則
1 この法律は、昭和三十二年十月一日から施行する。
2 この法律の施行の日の前後にまたがつて開催される小型自動車競走については、改正後の第十六条及び第十七条の規定を適用する。
3 この法律の施行の際現に改正前の第八条第一項の規定により全国小型自動車競走会連合会に登録されている小型自動車競走場は、改正後の第五条第一項の許可を受けて設置されたものとみなす。
4 この法律の施行の際現に小型自動車競走会又は全国小型自動車競走会連合会の役員の地位にある者の任期は、この法律の施行の日から起算して六月を経過するまでとする。
5 この法律の施行の日の属する事業年度の小型自動車競走会又は全国小型自動車競走会連合会の事業計画及び収支予算については、改正後の第二十条第一項中「毎事業年度開前始に」とあるのは、「小型自動車競走法の一部を改正する法律(昭和三十二年法律第百六十九号)の施行後遅滞なく」とする。
6 改正後の第十六条に規定する事項については、この法律の施行の日から三年を経過する日以後においては、別に法律で定めるところによるものとする。
内閣総理大臣 岸信介
通商産業大臣 水田三喜男