(目的)
第一条 この法律は、繊維製品の品質の正しい表示の実施を図ることによつて、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「繊維製品」とは、別表に掲げる繊維製品をいう。
2 この法律で「製造業者」とは、繊維製品の製造又は加工の事業を行う者をいい、「販売業者」とは、繊維製品の販売の事業を行う者をいう。
(正しい表示の義務)
第三条 製造業者若しくは販売業者又は製造業者若しくは販売業者の委託を受けて繊維製品にその品質を表示する事業を行う者は、繊維製品の品質を示す文字であつて政令で定めるもの(以下「指定文字」という。)を用いて指定文字ごとに政令で定める品質のものでない繊維製品にその品質を表示し、又はその表示と紛らわしい表示をしてはならない。
2 製造業者若しくは販売業者又は製造業者若しくは販売業者の委託を受けて繊維製品にその品質を表示する事業を行う者は、その表示にその者の氏名又は名称を附記しなければ、指定文字を用いて繊維製品にその品質を表示し、又はその表示と紛らわしい表示をしてはならない。ただし、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。
(表示の強制)
第四条 製造業者又は販売業者は、次の繊維製品のうち政令で定めるものについては、通商産業省令で定めるところにより指定文字を用いてその品質を表示したもの(その品質のうち政令で定めるものについては、通商産業大臣がその通商産業省令で定めるところにより指定文字を用いて表示したもの)でなければ、販売し、又は販売のために陳列してはならない。
一 生活必需品たる繊維製品であつて、一般消費者がその購入に際し品質を識別することが著しく困難であり、かつ、その品質を識別することが特に必要であると認められるもの
二 前号の繊維製品の原料又は材料たる繊維製品であつて、需要者がその購入に際し品質を識別することが著しく困難であり、かつ、これを原料又は材料として製造し又は加工する同号の繊維製品の品質の正しい表示の実施を図るにはその品質を識別することが特に必要であると認められるもの
2 前項の規定は、次の場合には、適用しない。
三 その繊維製品が通商産業省令で定める種類のものであつて、通商産業省令で定める量以下のものであるとき。
3 第一項の規定の適用に関して必要な経過的措置は、政令で定める。
第五条 前条第一項の規定の適用については、通商産業大臣の認可を受けた者が同項の通商産業省令で定めるところにより同項の政令で定める品質についてした表示は、同項の規定により通商産業大臣がしたものとみなす。
2 通商産業大臣は、前項の認可を申請した者が、前条第一項の政令で定める繊維製品が同項の政令で定める品質のものであるかどうかを識別する能力があり、かつ、前項に規定する表示が公正に行われると認めるときは、その者が次の各号の一に該当する場合を除き、同項の認可をしなければならない。
一 この法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 次項の規定により認可を取り消され、取消の日から二年を経過しない者
三 法人であつて、その業務を行う役員のうち前二号の一に該当する者があるもの
3 通商業業大臣は、第一項の認可を受けた者がこの法律の規定に違反したとき、又は不正な手段により同項の認可を受けたときは、その認可を取り消すことができる。
4 第一項の認可を受けた者は、前条第一項の政令で定める繊維製品が同項の政令で定める品質のものであるかどうかを識別するには、通商産業省令で定める方法によらなければならない。
(繊維製品品質表示審議会)
第六条 繊維製品の品質の表示に関する重要事項を調査審議するため、通商産業省に、繊維製品品質表示審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、会長一人及び委員三十人以内で組織する。
3 会長及び委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。
4 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第七条 通商産業大臣は、第三条第一項若しくは第四条第一項の政令の制定若しくは改廃の立案をし、又は同項若しくは第五条第四項の通商産業省令の制定若しくは改廃をしようとするときは、審議会に諮問しなければならない。
(手数料)
第八条 通商産業大臣に第四条第一項の規定による表示をすることを求めようとする者は、同項の政令で定める繊維製品の価格の千分の五をこえない範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
2 第五条第一項の認可を申請する者は、一万円をこえない範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。
(報告及び立入検査)
第九条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、製造業者若しくは販売業者若しくは製造業者若しくは販売業者の委託を受けて繊維製品にその品質を表示する事業を行う者から報告を徴し、又はその職員に、これらの者の工場、事業場、店舗、営業所、事務所若しくは倉庫に立ち入り、繊維製品、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(訴願)
第十条 この法律の規定による行政庁の処分に対して不服のある者は、通商産業大臣に訴願をすることができる。
(権限の委任)
第十一条 この法律の規定により通商産業大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、通商産業局長又は地方公共団体の長に行わせることができる。
(罰則)
第十二条 第三条第一項又は第四条第一項の規定に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。
第十三条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第三条第二項又は第五条第四項の規定に違反した者
二 第九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三 第九条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(両罰規定)
第十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。