昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十年八月五日
内閣総理大臣 鳩山一郎
昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、昭和三十年六月及び七月に政令で定める地域内において生じた水害(以下「水害」という。)による被害農家が食糧の用に供するため必要とする米穀、大麦、はだか麦、小麦及び麦製品(以下「米麦」という。)の売渡についての特別の措置につき規定するものとする。
(定義)
第二条 この法律において「被害農家」とは、米麦(麦製品を除く。以下本条において同じ。)を生産する農家であつて、水害によりその生産に係る所有米麦が流失し、埋没し、腐敗した等のためその生産に係る残存米麦がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨又は水害による著しい減収のためその生産に係る米麦がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものをいう。
(米麦の売渡)
第三条 市町村が被害農家に対しその飯用消費量を基準として水害による損害又は減収の程度を参しやくして農林大臣の定める数量の米麦を売り渡すのに必要な数量の米麦を都道府県が当該市町村に売り渡す場合には、政府は、当該都道府県に対し、これに必要な数量の米麦を農林省令で定める手続に従い売り渡すものとする。
(売渡の価格)
第四条 政府が前条の規定により都道府県に米麦を売り渡す場合の価格は、被害農家の売渡を受ける当該米麦の購入価格がおおむね次の各号に掲げる額となるように農林大臣が定める。
一 国内産米穀については玄米(三等)一石につき九、一二〇円(昭和三十年産の米穀については九、七五五円)
二 輸入米穀については前号の額を基準として農林大臣が定める額
三 大麦については普通小粒大麦(三等)五二・五キログラムにつき一、六二三円
四 はだか麦については普通はだか麦(三等)六〇キログラムにつき二、一五〇円
五 小麦については普通小麦(三等)六〇キログラムにつき二、〇五八円
六 麦製品については前三号の額にその製造又は加工に要する費用を加えて得た額