昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律
法令番号: 法律第137号
公布年月日: 昭和30年8月5日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

昭和30年6月・7月に東北・北海道を襲った水害により、保有米麦の流失・埋没・腐敗、または著しい減収で飲用食糧に事欠く農家が多数発生した。これら飯米不足の被害農家に対し、飯用食糧確保の方途を講じ、安んじて生業に精励できるようにする必要がある。そこで、昭和28年の大水害や冷害の際の特例措置に倣い、政府所有の米穀・麦及び麦製品を特別価格で売り渡し、被害農家の再生産確保に寄与することを目的として本法案を提出する。政府は都道府県に米麦を売り渡し、都道府県は市町村を通じて被害農家に売り渡す間接方式を採用し、政府の売渡価格は、被害農家の購入価格が生産者の政府への売渡基本価格となるよう定める。

参照した発言:
第22回国会 衆議院 農林水産委員会 第48号

審議経過

第22回国会

衆議院
(昭和30年7月27日)
参議院
(昭和30年7月27日)
(昭和30年7月28日)
衆議院
(昭和30年7月29日)
(昭和30年7月29日)
参議院
(昭和30年7月30日)
(昭和30年7月30日)
(昭和30年7月30日)
衆議院
(昭和30年7月25日)
昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十年八月五日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百三十七号
昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、昭和三十年六月及び七月に政令で定める地域内において生じた水害(以下「水害」という。)による被害農家が食糧の用に供するため必要とする米穀、大麦、はだか麦、小麦及び麦製品(以下「米麦」という。)の売渡についての特別の措置につき規定するものとする。
(定義)
第二条 この法律において「被害農家」とは、米麦(麦製品を除く。以下本条において同じ。)を生産する農家であつて、水害によりその生産に係る所有米麦が流失し、埋没し、腐敗した等のためその生産に係る残存米麦がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨又は水害による著しい減収のためその生産に係る米麦がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものをいう。
(米麦の売渡)
第三条 市町村が被害農家に対しその飯用消費量を基準として水害による損害又は減収の程度を参しやくして農林大臣の定める数量の米麦を売り渡すのに必要な数量の米麦を都道府県が当該市町村に売り渡す場合には、政府は、当該都道府県に対し、これに必要な数量の米麦を農林省令で定める手続に従い売り渡すものとする。
(売渡の価格)
第四条 政府が前条の規定により都道府県に米麦を売り渡す場合の価格は、被害農家の売渡を受ける当該米麦の購入価格がおおむね次の各号に掲げる額となるように農林大臣が定める。
一 国内産米穀については玄米(三等)一石につき九、一二〇円(昭和三十年産の米穀については九、七五五円)
二 輸入米穀については前号の額を基準として農林大臣が定める額
三 大麦については普通小粒大麦(三等)五二・五キログラムにつき一、六二三円
四 はだか麦については普通はだか麦(三等)六〇キログラムにつき二、一五〇円
五 小麦については普通小麦(三等)六〇キログラムにつき二、〇五八円
六 麦製品については前三号の額にその製造又は加工に要する費用を加えて得た額
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
農林大臣 河野一郎
内閣総理大臣 鳩山一郎