昭和二十九年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律
法令番号: 法律第228号
公布年月日: 昭和29年12月20日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

昭和29年度の農作物の作況は全般的に平年作より若干劣る程度であったが、北海道・東北の一部等の寒高冷地帯で深刻な冷害が発生し、南九州等では台風により稲作・雑穀に著しい被害が生じた。特に北海道の農作物減収は前年度の約2倍に達し、農家の窮状は深刻である。政府は被害農家に対し卸売価格での特別売渡しを計画しているが、被害の深刻度が昨年より大きいことから、昨年度との行政上の均衡を保ち、被害農家の食糧不安を解消するため、政府所有の米麦及び麦製品を廉価で売り渡し、他の災害対策と合わせて農家を救済し、農業の再生産確保に寄与することを目的として本法案を提出するものである。

参照した発言:
第20回国会 衆議院 農林委員会 第3号

審議経過

第20回国会

衆議院
(昭和29年12月3日)
(昭和29年12月4日)
参議院
(昭和29年12月4日)
(昭和29年12月6日)
(昭和29年12月6日)
衆議院
(昭和29年12月9日)
参議院
(昭和29年12月9日)
昭和二十九年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年十二月二十日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第二百二十八号
昭和二十九年八月及び九月の台風並びに同年の冷害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する法律
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、昭和二十九年八月及び九月に政令で定める地域内において生じた台風による災害並びに同年に政令で定める地域内において生じた冷害(冷害による病虫害を含む。)(以下「台風等」という。)による被害農家が食糧の用に供するため必要とする米穀、大麦、はだか麦、小麦及び麦製品(以下「米麦」という。)の売渡についての特別の措置につき規定するものとする。
(定義)
第二条 この法律において「被害農家」とは、米麦(麦製品を除く。以下本条において同じ。)又は雑穀を生産する農家であつて、台風等による著しい減収のためその生産に係る米麦又は雑穀がその農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものをいう。
(米麦の売渡)
第三条 市町村が被害農家に対しその飯用消費量を基準として台風等による減収の程度を参しやくして農林大臣の定める数量の米麦を売り渡すのに必要な数量の米麦を都道府県が当該市町村に売り渡す場合には、政府は、当該都道府県に対し、これに必要な数量の米麦を農林省令の定める手続に従い売り渡すものとする。
(売渡の価格)
第四条 政府が前条の規定により都道府県に米麦を売り渡す場合の価格は、被害農家の売渡を受ける当該米麦の購入価格がおおむね左の各号に掲げる額となるように農林大臣が定める。
一 国内産米穀については玄米(三等)一石につき九、一二〇円
二 輸入米穀については前号の額を基準として農林大臣が定める額
三 大麦については普通小粒大麦(三等)五二・五キログラムにつき一、六一二円
四 はだか麦については普通はだか麦(三等)六〇キログラムにつき二、一七三円
五 小麦については普通小麦(三等)六〇キログラムにつき二、〇六八円
六 麦製品については前三号の額にその製造又は加工に要する費用を加えて得た額
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
農林大臣 河野一郎
内閣総理大臣 鳩山一郎