昭和二十九年八月及び九月の風水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法
法令番号: 法律第217号
公布年月日: 昭和29年12月8日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

昭和29年8月・9月の台風により、商工業関係で約120億円の被害が発生し、中小企業への金融支援が急務となった。政府は中小企業金融公庫等を通じた特別融資を実施してきたが、さらに一般金融機関からの融資についても優遇策を講じることとした。被害小企業者への災害復旧資金の融通を強化するため、金融機関が20万円以内の貸付を行い、都道府県が年5分の利子補給を実施した場合、政府がその半額を都道府県に支給する措置を講じることとした。これにより、被害小企業者は通常より年5分低い利子で資金調達が可能となる。

参照した発言:
第20回国会 衆議院 通商産業委員会 第1号

審議経過

第20回国会

衆議院
(昭和29年12月3日)
参議院
(昭和29年12月3日)
衆議院
(昭和29年12月4日)
(昭和29年12月4日)
参議院
(昭和29年12月6日)
(昭和29年12月6日)
衆議院
(昭和29年12月9日)
参議院
(昭和29年12月9日)
昭和二十九年八月及び九月の風水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年十二月八日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百十七号
昭和二十九年八月及び九月の風水害による被害小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、昭和二十九年八月及び九月の風水害(以下「風水害」という。)によつて損害を受けた小企業者に対する復旧事業資金の融通について利率の引下の措置を講ずることにより、損害の復旧の促進と経営の安定に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「被害小企業者」とは、商工業その他政令で定める事業を行う小規模の事業者(常時使用する従業員の数が十五人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、三人)以下の会社又は個人をいう。)又は中小企業等協同組合であつて、政令で指定する地域内に事業所を有し、かつ、風水害によつて損害を受けたものをいう。
2 この法律で「復旧事業資金」とは、金融機関(銀行、無尽会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用金庫及び信用協同組合をいう。以下同じ。)が、被害小企業者に対し、その損害の復旧に必要な事業資金(企業組合以外の中小企業等協同組合については、共同施設に係るものに限る。)として、被害小企業者一人につき総額二十万円(企業組合以外の中小企業等協同組合については、百万円)の範囲内で、償還期限を六月以上三年以内とし、その金融機関が通常それと同種類の貸付を行う場合の利率より次条の規定によつて都道府県がその金融機関に補給する金額を基礎として算出した利率だけ引き下げた利率で昭和三十年三月三十一日までに貸し付けるものをいう。
(国庫補助)
第三条 政府は、都道府県に対し、予算の範囲内で、都道府県が金融機関との契約により、その金融機関に対しその貸し付けた復旧事業資金につき年五分以内で政令で定める利率を適用して計算した金額に相当する金額の利子補給を行う場合におけるその利子補給に要する経費の二分の一の金額を補助する。
2 前項の規定により政府が都道府県に対し補助する場合におけるその補助に係る復旧事業資金の総額は、五億円を限度とする。
(補助金の打切又は返還)
第四条 政府は、都道府県がこの法律又はこの法律に基く命令に違反したときは、その都道府県に対し交付すべき補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は既に交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。
(政令への委任)
第五条 この法律に定めるものの外、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
大蔵大臣 小笠原三九郎
通商産業大臣 愛知揆一
内閣総理大臣 吉田茂