農産物検査法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第61号
公布年月日: 昭和28年7月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

農産物検査法施行後、検査は農産物の公正な取引と品質改善に貢献してきたが、麦類の統制廃止後、取引の実態が変化し、受検義務がある麦類で未検査のまま取引される事例が発生している。この状況に対応するため、検査手続の改善や手数料の減額などの措置を講じつつ、法改正を行う必要がある。改正の要点は、①大麦・裸麦・小麦の生産者による加工委託前の検査義務化、②米麦・精米の売買取引業者による未検査品の取引禁止、③検査規格公示の余裕期限短縮、④農林大臣による報告徴収・立入調査権限の付与である。

参照した発言:
第16回国会 衆議院 農林委員会 第12号

審議経過

第16回国会

衆議院
(昭和28年7月1日)
参議院
(昭和28年7月1日)
衆議院
(昭和28年7月2日)
(昭和28年7月4日)
参議院
(昭和28年7月6日)
(昭和28年7月7日)
(昭和28年7月8日)
衆議院
(昭和28年8月10日)
参議院
(昭和28年8月10日)
農産物検査法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十八年七月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第六十一号
農産物検査法の一部を改正する法律
農産物検査法(昭和二十六年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第三条第三項中「前二項」を「前三項」に、「売り渡す場合」を「売渡、売渡の委託又は加工の委託をする場合」に改め、同項に次の一号を加え、同項を第四項とする。
五 みずから消費する目的で大麦、はだか麦又は小麦の加工の委託をする場合
第三条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 大麦、はだか麦又は小麦の生産者は、その生産した大麦、はだか麦又は小麦の加工の委託をする場合には、その委託前に国の検査を受けなければならない。
第五条の次に次の一条を加える。
(検査前の買受等の禁止)
第五条の二 米麦又は精米の売買取引(その仲立又は取次を含む。)又は加工を業とする者は、第三条第一項及び第二項の規定により国の検査を受けるべき米麦又は精米については、生産者から当該米麦又は精米で国の検査を受けていないものを買い受け、売渡の委託を受け、又は加工の委託を受けてはならない。
第六条第二項に次の但書を加える。
但し、災害その他やむを得ない事情により農林大臣が必要があると認めるときは、公示の日から施行期日までの期間を短縮することができる。
第二十条の次に次の一条を加える。
(調査)
第二十条の二 農林大臣は、この法律の目的を達成するため必要があるときは、農産物の生産者、販売業者、加工業者又は倉庫業者に対し、省令の定めるところにより、必要な事項の報告を徴し、又は当該職員にこれらの者のほ場、事務所、事業場、倉庫その他必要な場所に立ち入つて調査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入調査を行う場合においては、省令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯し、関係人の要求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第二十二条第一号中「第三条第一項若しくは第二項」を「第三条第一項、第二項若しくは第三項」に改め、同条中第二号を第三号とし、以下一号ずつ繰り下げ、第一号の次に次の一号を加える。
二 第五条の二の規定に違反した者
第二十二条に次の一号を加える。
六 第二十条の二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
農林大臣 保利茂
内閣総理大臣 吉田茂