小型機船底びき網漁業整理特別措置法
法令番号: 法律第77号
公布年月日: 昭和27年4月7日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

小型機船底びき網漁業の整理減船を実施するための法案である。漁業法の一部改正に関連し、都道府県知事の許可漁業となった小型機船底びき網漁業について、整理手続や基準を定めるものである。現在約3万5千隻の操業船のうち、正規の許可を受けているのは約1万4千隻のみで、違反操業が常態化し沿岸漁業資源への影響が大きい。このため、昭和31年3月31日までに操業隻数を昭和9年頃の2万隻程度に圧縮することを目標とし、整理減船を実施する。整理船舶の指定は都道府県知事が行い、離脱する漁民には転換を奨励するための補助金を交付する。

参照した発言:
第12回国会 衆議院 水産委員会 第14号

審議経過

第12回国会

衆議院
(昭和26年11月17日)
(昭和26年11月20日)
参議院
(昭和26年11月20日)
(昭和26年11月21日)
(昭和26年12月8日)

第13回国会

衆議院
(昭和27年2月9日)
(昭和27年2月12日)
参議院
(昭和27年2月18日)
(昭和27年2月20日)
(昭和27年3月27日)
(昭和27年3月28日)
(昭和27年3月31日)
(昭和27年4月23日)
衆議院
(昭和27年7月31日)
参議院
(昭和27年7月31日)
小型機船底びき網漁業整理特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年四月七日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第七十七号
小型機船底びき網漁業整理特別措置法
(目的)
第一條 この法律は、昭和三十一年三月三十一日までに小型機船底びき網漁業に使用する船舶の隻数を整理することにより、水産資源の枯渇を防止し、沿岸漁業における秩序を確立することを目的とする。
(定義)
第二條 この法律において「小型機船底びき網漁業」とは、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六十六條の二第二項に規定する小型機船底びき網漁業をいい、漁業法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第三百九号)附則第三項の規定により小型機船底びき網漁業とみなされるものを含むものとする。
(許可の期間の制限)
第三條 昭和三十一年三月三十一日までに漁業法第六十六條の二の規定により都道府県知事がする小型機船底びき網漁業の許可の期間は、一年をこえることができない。
(最高限度の決定)
第四條 農林大臣は、この法律の施行後三箇月以内に、中央漁業調整審議会の意見をきいて、昭和三十一年四月一日において小型機船底びき網漁業に使用することができる船舶の隻数、合計総トン数及び合計馬力数の最高限度を定めなければならない。
2 農林大臣は、漁業調整のため必要があると認めるときは、中央漁業調整審議会の意見をきいて、前項の規定により定めた最高限度を変更することができる。
3 農林大臣は、前二項の規定により最高限度を定め、又はこれを変更したときは、これを公示しなければならない。
(整理隻数等の決定)
第五條 農林大臣は、昭和三十一年三月三十一日までに、小型機船底びき網漁業に使用する船舶の隻数、合計総トン数及び合計馬力数が前條に規定する最高限度以内となるように、昭和二十七年度から昭和三十年度までの年度ごとに、都道府県知事及び中央漁業調整審議会の意見をきいて、その年度において整理すべき小型機船底びき網漁業に使用する船舶の都道府県別の隻数、合計総トン数及び合計馬力数を定め、これを公示するとともに都道府県知事に指示しなければならない。
2 前項の定は、当該年度の開始前(昭和二十七年度にあつては昭和二十七年六月三十日まで)にしなければならない。
3 農林大臣は、漁業調整のため必要があると認めるときは、都道府県知事及び中央漁業調整審議会の意見をきいて、第一項の規定により定めた船舶の隻数、合計総トン数又は合計馬力数を増減することができる。この場合には、これを公示するとともに都道府県知事に指示しなければならない。
(整理すべき船舶の指定)
第六條 都道府県知事は、前條第一項の規定による指示を受け、又は同條第三項の規定により、整理すべき船舶の隻数を増加する旨の指示を受けたときは、その指示があつた日から六箇月以内に、その指示に従い、漁業法第六十六條の二の規定による許可に基いて営んでいる小型機船底びき網漁業に使用されている船舶につき、左の事項を勘案して、当該年度において整理すべき船舶を指定し、これを公示するとともに、当該船舶の所有者(当該船舶により小型機船底びき網漁業を営む者が所有者でない場合にあつてはその者及び所有者)に通知しなければならない。
一 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者が当該船舶による当該漁業を廃止することを希望するかどうか。
二 小型機船舶底びき網漁業を営む者が当該漁業に関する法令に違反した事実の有無
三 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者の生計が当該漁業に依存する程度
四 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者が当該漁業に使用している船舶の隻数
五 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者の、当該漁業の漁場の属する水面において操業する他の漁業との協調その他当該水面の総合的利用に関する配慮の程度
2 都道府県知事は、前項の規定により整理すべき船舶を指定しようとするときは、あらかじめ、漁業法第六十五條第七項に規定する連合海区漁業調整委員会及び関係漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の意見をきかなければならない。
3 都道府県知事は、前條第三項の規定により、整理すべき船舶の隻数を減少する旨の指示を受けたとき、その他必要があるときは、前項に規定する連合海区漁業調整委員会及び関係漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の意見をきいて、第一項の規定により整理すべきものとして指定した船舶について、その指定を取り消すことができる。この場合には、第一項の規定を準用する。
4 連合海区漁業調整委員会は、第二項又は前項の規定により意見を述べようとするときは、あらかじめ、期日及び場所を公示して公聴会を開き、利害関係人の意見をきかなければならない。
(異議の申立)
第七條 前條第一項の規定による通知を受けた者は、当該通知に係る指定に不服があるときは、都道府県知事に対して異議を申し立てることができる。但し、同項の規定により公示した日から二十日を経過したときは、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項の申立を受けたときは、同項の異議申立期間満了後一箇月以内に、これについて決定をしなければならない。
(整理船舶についての許可の禁止)
第八條 漁業法第六十六條の二の規定による小型機船底びき網漁業の許可の申請が、第六條第一項の規定により整理すべきものとして指定された船舶につきなされた場合には、都道府県知事は、その許可をしてはならない。
(補助金の交付)
第九條 政府は、第六條第一項の規定により整理すべきものとして指定された船舶の所有者又はその船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営んできた者に対し、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、これらの者がその船舶を他の漁業に転用し、又は漁業以外の産業に転換することを促進するため、補助金を交付することができる。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 広川弘禅
内閣総理大臣 吉田茂
小型機船底びき網漁業整理特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年四月七日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第七十七号
小型機船底びき網漁業整理特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、昭和三十一年三月三十一日までに小型機船底びき網漁業に使用する船舶の隻数を整理することにより、水産資源の枯渇を防止し、沿岸漁業における秩序を確立することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「小型機船底びき網漁業」とは、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第六十六条の二第二項に規定する小型機船底びき網漁業をいい、漁業法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第三百九号)附則第三項の規定により小型機船底びき網漁業とみなされるものを含むものとする。
(許可の期間の制限)
第三条 昭和三十一年三月三十一日までに漁業法第六十六条の二の規定により都道府県知事がする小型機船底びき網漁業の許可の期間は、一年をこえることができない。
(最高限度の決定)
第四条 農林大臣は、この法律の施行後三箇月以内に、中央漁業調整審議会の意見をきいて、昭和三十一年四月一日において小型機船底びき網漁業に使用することができる船舶の隻数、合計総トン数及び合計馬力数の最高限度を定めなければならない。
2 農林大臣は、漁業調整のため必要があると認めるときは、中央漁業調整審議会の意見をきいて、前項の規定により定めた最高限度を変更することができる。
3 農林大臣は、前二項の規定により最高限度を定め、又はこれを変更したときは、これを公示しなければならない。
(整理隻数等の決定)
第五条 農林大臣は、昭和三十一年三月三十一日までに、小型機船底びき網漁業に使用する船舶の隻数、合計総トン数及び合計馬力数が前条に規定する最高限度以内となるように、昭和二十七年度から昭和三十年度までの年度ごとに、都道府県知事及び中央漁業調整審議会の意見をきいて、その年度において整理すべき小型機船底びき網漁業に使用する船舶の都道府県別の隻数、合計総トン数及び合計馬力数を定め、これを公示するとともに都道府県知事に指示しなければならない。
2 前項の定は、当該年度の開始前(昭和二十七年度にあつては昭和二十七年六月三十日まで)にしなければならない。
3 農林大臣は、漁業調整のため必要があると認めるときは、都道府県知事及び中央漁業調整審議会の意見をきいて、第一項の規定により定めた船舶の隻数、合計総トン数又は合計馬力数を増減することができる。この場合には、これを公示するとともに都道府県知事に指示しなければならない。
(整理すべき船舶の指定)
第六条 都道府県知事は、前条第一項の規定による指示を受け、又は同条第三項の規定により、整理すべき船舶の隻数を増加する旨の指示を受けたときは、その指示があつた日から六箇月以内に、その指示に従い、漁業法第六十六条の二の規定による許可に基いて営んでいる小型機船底びき網漁業に使用されている船舶につき、左の事項を勘案して、当該年度において整理すべき船舶を指定し、これを公示するとともに、当該船舶の所有者(当該船舶により小型機船底びき網漁業を営む者が所有者でない場合にあつてはその者及び所有者)に通知しなければならない。
一 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者が当該船舶による当該漁業を廃止することを希望するかどうか。
二 小型機船舶底びき網漁業を営む者が当該漁業に関する法令に違反した事実の有無
三 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者の生計が当該漁業に依存する程度
四 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者が当該漁業に使用している船舶の隻数
五 当該船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営む者の、当該漁業の漁場の属する水面において操業する他の漁業との協調その他当該水面の総合的利用に関する配慮の程度
2 都道府県知事は、前項の規定により整理すべき船舶を指定しようとするときは、あらかじめ、漁業法第六十五条第七項に規定する連合海区漁業調整委員会及び関係漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の意見をきかなければならない。
3 都道府県知事は、前条第三項の規定により、整理すべき船舶の隻数を減少する旨の指示を受けたとき、その他必要があるときは、前項に規定する連合海区漁業調整委員会及び関係漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の意見をきいて、第一項の規定により整理すべきものとして指定した船舶について、その指定を取り消すことができる。この場合には、第一項の規定を準用する。
4 連合海区漁業調整委員会は、第二項又は前項の規定により意見を述べようとするときは、あらかじめ、期日及び場所を公示して公聴会を開き、利害関係人の意見をきかなければならない。
(異議の申立)
第七条 前条第一項の規定による通知を受けた者は、当該通知に係る指定に不服があるときは、都道府県知事に対して異議を申し立てることができる。但し、同項の規定により公示した日から二十日を経過したときは、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項の申立を受けたときは、同項の異議申立期間満了後一箇月以内に、これについて決定をしなければならない。
(整理船舶についての許可の禁止)
第八条 漁業法第六十六条の二の規定による小型機船底びき網漁業の許可の申請が、第六条第一項の規定により整理すべきものとして指定された船舶につきなされた場合には、都道府県知事は、その許可をしてはならない。
(補助金の交付)
第九条 政府は、第六条第一項の規定により整理すべきものとして指定された船舶の所有者又はその船舶を使用して小型機船底びき網漁業を営んできた者に対し、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、これらの者がその船舶を他の漁業に転用し、又は漁業以外の産業に転換することを促進するため、補助金を交付することができる。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
大蔵大臣 池田勇人
農林大臣 広川弘禅
内閣総理大臣 吉田茂