生活保護法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第168号
公布年月日: 昭和26年5月31日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

社会福祉事業法の制定に伴い、福祉事務所の設置により生活保護法の実施体制を整備する必要が生じたため改正を行う。主な改正点として、保護の実施機関を福祉事務所を管理する都道府県知事及び市町村長とすること、福祉事務所未設置の町村長には緊急時の保護実施と一定の協力を義務付けること、保護費等の支弁を保護実施機関である都道府県または市町村が行うこと、費用負担を実施機関が2割、国が8割とすること、保護施設の設置主体を社会福祉法人に限定することなどが挙げられる。

参照した発言:
第10回国会 衆議院 厚生委員会 第24号

審議経過

第10回国会

衆議院
(昭和26年5月18日)
(昭和26年5月21日)
(昭和26年5月23日)
参議院
(昭和26年5月23日)
衆議院
(昭和26年5月24日)
(昭和26年5月25日)
参議院
(昭和26年5月28日)
(昭和26年5月30日)
(昭和26年5月31日)
衆議院
(昭和26年6月5日)
参議院
(昭和26年6月6日)
生活保護法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年五月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十八号
生活保護法の一部を改正する法律
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「雑則(第八十一條―第八十四條)」を「雑則(第八十一條―第八十六條)」に改める。
第十九條を次のように改める。
(実施機関)
第十九條 都道府県知事、市長及び社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、左に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、且つ、実施しなければならない。
一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
2 居住地が明らかである要保護者であつても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。
3 第三十條第一項但書の規定により被保護者が收容された場合においては、その收容の継続中、その者に対して保護を行うべき者は、その者の收容前の居住地又は現在地によつて定めるものとする。
4 前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
5 保護の実施機関は、保護の決定及び実施に関する事務の一部を、政令の定めるところにより、他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。
6 福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な保護を行うものとする。
7 町村長は、保護の実施機関又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため、左に掲げる事項を行うものとする。
一 要保護者を発見し、又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
二 第二十四條第六項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取つた場合において、これを保護の実施機関に送付すること。
三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、被保護者等に対して、保護金品を交付すること。
四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行うこと。
第二十一條中「社会福祉主事の設置に関する法律(昭和二十五年法律第百八十二号)」を「社会福祉事業法」に改める。
第二十二條中「市町村長」を「保護の実施機関、福祉事務所長」に、「市町村長及び社会福祉主事」を「これらの者」に改める。
第二十四條第一項及び第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改め、同條に次の一項を加える。
6 保護の開始又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。町村長は、申請を受け取つたときは、五日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産状況その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。
第二十五條中「市町村長」を「保護の実施機関」に改め、同條に次の一項を加える。
3 町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第十九條第六項に規定する保護を行わなければならない。
第二十六條第一項、第二十七條第一項並びに第二十八條第一項及び第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第二十九條中「市町村長」を「保護の実施機関及び福祉事務所長」に改める。
第三十條第三項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第四十一條の見出し並びに同條第二項及び第五項中「公益法人」を「社会福祉法人」に、同條第一項中「民法第三十四條の規定により設立した法人(以下「公益法人」という。)」を「社会福祉法人」に改める。
第四十二條、第四十三條第二項及び第四十五條第二項中「公益法人」を「社会福祉法人」に改める。
第四十七條第一項及び第四十八條第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第六十一條中「市町村長」を「保護の実施機関又は福祉事務所長」に改める。
第六十二條第一項、第三項及び第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第六十三條中「市町村」を「都道府県又は市町村」に、「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第六十四條第一項及び第二項並びに第六十五條第一項及び第二項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第七十條から第七十三條までを次のように改める。
(市町村の支弁)
第七十條 市町村は、左に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 その長が第十九條第一項の規定により行う保護(同條第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する左に掲げる費用
イ 保護の実施に要する費用(以下「保護費」という。)
ロ 第三十條第一項但書、第三十三條第二項又は第三十六條第二項の規定により被保護者を保護施設に收容し、若しくは收容を委託し、又は保護施設を利用させ、若しくは保護施設にこれを委託する場合に、これに伴い必要な保護施設の事務費(以下「保護施設事務費」という。)
ハ 第三十條第一項但書の規定により被保護者を適当な施設に收容し、又はその收容を適当な施設若しくは私人の家庭に委託する場合に、これに伴い必要な事務費(以下「委託事務費」という。)
二 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、都道府県知事又は他の市町村長が第十九條第二項の規定により行う保護(同條第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
三 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の町村長が第十九條第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
四 その設置する保護施設の設備に要する費用(以下「設備費」という。)
五 この法律の施行に伴い必要なその人件費
六 この法律の施行に伴い必要なその事務費(以下「行政事務費」という。)
(都道府県の支弁)
第七十一條 都道府県は、左に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 その長が第十九條第一項の規定により行う保護(同條第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
二 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の都道府県知事又は市町村長が第十九條第二項の規定により行う保護(同條第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
三 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有する者(その所管区域外に居住地を有する者を除く。)に対して、町村長が第十九條第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
四 その設置する保護施設の設備費
五 この法律の施行に伴い必要なその人件費
六 この法律の施行に伴い必要なその行政事務費
(繰替支弁)
第七十二條 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、政令の定めるところにより、その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内の保護施設、指定医療機関その他これらに準ずる施設で厚生大臣の指定するものにある被保護者につき他の都道府県又は市町村が支弁すべき保護費及び保護施設事務費を一時繰替支弁しなければならない。
2 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、その長が第十九條第二項の規定により行う保護(同條第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。
3 町村は、その長が第十九條第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。
(都道府県の負担)
第七十三條 都道府県は、政令の定めるところにより、左に掲げる費用を負担しなければならない。
一 居住地がないか、又は明らかでない被保護者につき市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の十分の二
二 宿所提供施設又は兒童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十八條に規定する母子寮にある被保護者(これらの施設を利用するに至る前からその施設の所在する市町村の区域内に居住地を有していた被保護者を除く。)につきこれらの施設の所在する市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の十分の二
三 市町村が支弁した保護施設の設備費の四分の一
第七十五條を次のように改める。
(国の負担及び補助)
第七十五條 国は、政令の定めるところにより、左に掲げる費用を負担しなければならない。
一 市町村及び都道府県が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の十分の八
二 市町村及び都道府県が支弁した保護施設の設備費の二分の一
2 国は、政令の定めるところにより、都道府県が前條第一項の規定により保護施設の設置者に対して補助した金額の三分の二以内を補助することができる。
第七十六條第一項中「市町村長」を「保護の実施機関」に、同條第二項中「市町村」を「都道府県又は市町村」に改める。
第七十七條第一項中「市町村」を「都道府県又は市町村」に、同條第二項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第七十八條中「市町村」を「都道府県又は市町村」に改める。
第八十條及び第八十一條中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第八十二條を第八十四條とし、以下順次二條ずつ繰り下げ、第八十一條の次に次の二條を加える。
(町村の一部事務組合)
第八十二條 町村が一部事務組合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その組合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その組合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。
(保護の実施機関が変更した場合の経過規定)
第八十三條 町村の福祉事務所の設置又は廃止により保護の実施機関に変更があつた場合においては、変更前の保護の実施機関がした保護の開始又は変更の申請の受理及び保護に関する決定は、変更後の保護の実施機関がした申請の受理又は決定とみなす。但し、変更前に行われ、又は行われるべきであつた保護に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十六年十月一日から施行する。但し、第四十一條から第四十三條まで及び第四十五條の改正規定は、同年六月一日から施行する。
2 第八十三條の規定は、この法律の施行により保護の実施機関に変更があつた場合に準用する。
3 社会福祉事業法附則第七項の規定に基き置かれた組織の長は、この法律の適用については、福祉事務所長とみなす。
4 第四十一條の改正規定の施行の際現に認可を受けて保護施設を設置する公益法人が、引き続きその保護施設を設置するときは、昭和二十七年五月三十一日までは、その保護施設は、この法律による改正後の第四十一條に基いて認可された保護施設とみなす。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
厚生大臣臨時代理 国務大臣 保利茂
生活保護法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年五月三十一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百六十八号
生活保護法の一部を改正する法律
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「雑則(第八十一条―第八十四条)」を「雑則(第八十一条―第八十六条)」に改める。
第十九条を次のように改める。
(実施機関)
第十九条 都道府県知事、市長及び社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、左に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、且つ、実施しなければならない。
一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
2 居住地が明らかである要保護者であつても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。
3 第三十条第一項但書の規定により被保護者が収容された場合においては、その収容の継続中、その者に対して保護を行うべき者は、その者の収容前の居住地又は現在地によつて定めるものとする。
4 前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
5 保護の実施機関は、保護の決定及び実施に関する事務の一部を、政令の定めるところにより、他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。
6 福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な保護を行うものとする。
7 町村長は、保護の実施機関又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため、左に掲げる事項を行うものとする。
一 要保護者を発見し、又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
二 第二十四条第六項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取つた場合において、これを保護の実施機関に送付すること。
三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、被保護者等に対して、保護金品を交付すること。
四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行うこと。
第二十一条中「社会福祉主事の設置に関する法律(昭和二十五年法律第百八十二号)」を「社会福祉事業法」に改める。
第二十二条中「市町村長」を「保護の実施機関、福祉事務所長」に、「市町村長及び社会福祉主事」を「これらの者」に改める。
第二十四条第一項及び第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改め、同条に次の一項を加える。
6 保護の開始又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。町村長は、申請を受け取つたときは、五日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産状況その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。
第二十五条中「市町村長」を「保護の実施機関」に改め、同条に次の一項を加える。
3 町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第十九条第六項に規定する保護を行わなければならない。
第二十六条第一項、第二十七条第一項並びに第二十八条第一項及び第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第二十九条中「市町村長」を「保護の実施機関及び福祉事務所長」に改める。
第三十条第三項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第四十一条の見出し並びに同条第二項及び第五項中「公益法人」を「社会福祉法人」に、同条第一項中「民法第三十四条の規定により設立した法人(以下「公益法人」という。)」を「社会福祉法人」に改める。
第四十二条、第四十三条第二項及び第四十五条第二項中「公益法人」を「社会福祉法人」に改める。
第四十七条第一項及び第四十八条第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第六十一条中「市町村長」を「保護の実施機関又は福祉事務所長」に改める。
第六十二条第一項、第三項及び第四項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第六十三条中「市町村」を「都道府県又は市町村」に、「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第六十四条第一項及び第二項並びに第六十五条第一項及び第二項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第七十条から第七十三条までを次のように改める。
(市町村の支弁)
第七十条 市町村は、左に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 その長が第十九条第一項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する左に掲げる費用
イ 保護の実施に要する費用(以下「保護費」という。)
ロ 第三十条第一項但書、第三十三条第二項又は第三十六条第二項の規定により被保護者を保護施設に収容し、若しくは収容を委託し、又は保護施設を利用させ、若しくは保護施設にこれを委託する場合に、これに伴い必要な保護施設の事務費(以下「保護施設事務費」という。)
ハ 第三十条第一項但書の規定により被保護者を適当な施設に収容し、又はその収容を適当な施設若しくは私人の家庭に委託する場合に、これに伴い必要な事務費(以下「委託事務費」という。)
二 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、都道府県知事又は他の市町村長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
三 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の町村長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
四 その設置する保護施設の設備に要する費用(以下「設備費」という。)
五 この法律の施行に伴い必要なその人件費
六 この法律の施行に伴い必要なその事務費(以下「行政事務費」という。)
(都道府県の支弁)
第七十一条 都道府県は、左に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 その長が第十九条第一項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
二 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の都道府県知事又は市町村長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
三 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有する者(その所管区域外に居住地を有する者を除く。)に対して、町村長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費
四 その設置する保護施設の設備費
五 この法律の施行に伴い必要なその人件費
六 この法律の施行に伴い必要なその行政事務費
(繰替支弁)
第七十二条 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、政令の定めるところにより、その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内の保護施設、指定医療機関その他これらに準ずる施設で厚生大臣の指定するものにある被保護者につき他の都道府県又は市町村が支弁すべき保護費及び保護施設事務費を一時繰替支弁しなければならない。
2 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、その長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。
3 町村は、その長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。
(都道府県の負担)
第七十三条 都道府県は、政令の定めるところにより、左に掲げる費用を負担しなければならない。
一 居住地がないか、又は明らかでない被保護者につき市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の十分の二
二 宿所提供施設又は児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十八条に規定する母子寮にある被保護者(これらの施設を利用するに至る前からその施設の所在する市町村の区域内に居住地を有していた被保護者を除く。)につきこれらの施設の所在する市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の十分の二
三 市町村が支弁した保護施設の設備費の四分の一
第七十五条を次のように改める。
(国の負担及び補助)
第七十五条 国は、政令の定めるところにより、左に掲げる費用を負担しなければならない。
一 市町村及び都道府県が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の十分の八
二 市町村及び都道府県が支弁した保護施設の設備費の二分の一
2 国は、政令の定めるところにより、都道府県が前条第一項の規定により保護施設の設置者に対して補助した金額の三分の二以内を補助することができる。
第七十六条第一項中「市町村長」を「保護の実施機関」に、同条第二項中「市町村」を「都道府県又は市町村」に改める。
第七十七条第一項中「市町村」を「都道府県又は市町村」に、同条第二項中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第七十八条中「市町村」を「都道府県又は市町村」に改める。
第八十条及び第八十一条中「市町村長」を「保護の実施機関」に改める。
第八十二条を第八十四条とし、以下順次二条ずつ繰り下げ、第八十一条の次に次の二条を加える。
(町村の一部事務組合)
第八十二条 町村が一部事務組合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その組合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その組合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。
(保護の実施機関が変更した場合の経過規定)
第八十三条 町村の福祉事務所の設置又は廃止により保護の実施機関に変更があつた場合においては、変更前の保護の実施機関がした保護の開始又は変更の申請の受理及び保護に関する決定は、変更後の保護の実施機関がした申請の受理又は決定とみなす。但し、変更前に行われ、又は行われるべきであつた保護に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和二十六年十月一日から施行する。但し、第四十一条から第四十三条まで及び第四十五条の改正規定は、同年六月一日から施行する。
2 第八十三条の規定は、この法律の施行により保護の実施機関に変更があつた場合に準用する。
3 社会福祉事業法附則第七項の規定に基き置かれた組織の長は、この法律の適用については、福祉事務所長とみなす。
4 第四十一条の改正規定の施行の際現に認可を受けて保護施設を設置する公益法人が、引き続きその保護施設を設置するときは、昭和二十七年五月三十一日までは、その保護施設は、この法律による改正後の第四十一条に基いて認可された保護施設とみなす。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
厚生大臣臨時代理 国務大臣 保利茂