昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律
法令番号: 法律第189号
公布年月日: 昭和25年5月19日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

戦後の台風や地震による災害は、戦時中の国土荒廃と相まって甚大な被害をもたらし、地方公共団体の財政を圧迫している。被災地では税収が激減する一方で、救助事業費や公共施設の復旧費用が巨額に上り、高率課税や起債を余儀なくされている。シャウプ使節団も災害復旧費の全額国庫負担を勧告しており、政府は従来の一部国庫負担制度を改め、公共的土木施設の災害復旧事業費を全額国庫負担とすることで、被災地方公共団体の財政負担軽減と復旧事業の円滑な実施を図るため、本法案を提出した。

参照した発言:
第7回国会 参議院 大蔵委員会 第30号

審議経過

第7回国会

参議院
(昭和25年3月27日)
衆議院
(昭和25年3月28日)
(昭和25年3月29日)
(昭和25年4月5日)
(昭和25年4月6日)
(昭和25年4月7日)
(昭和25年4月12日)
(昭和25年4月21日)
(昭和25年4月21日)
(昭和25年4月22日)
参議院
(昭和25年4月25日)
(昭和25年4月28日)
(昭和25年4月29日)
衆議院
(昭和25年5月3日)
参議院
(昭和25年5月2日)
昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月十九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十九号
昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律
(定義)
第一條 この法律において「災害」とは、暴風、こう水、高潮、地震その他の異状な天然現象に因り生じた災害をいう。
2 この法律において「災害復旧事業」とは、災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することを目的とするもののうち、一箇所の工事の費用が十五万円以上のものをいう。
3 災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設をすることを目的とするもののうち、一箇所の工事の費用が十五万円以上のものは、この法律の適用については、災害復旧事業とみなす。
4 前二項の場合において、一の施設について災害にかかつた箇所が二十メートル以内の間隔で連続しているものに係る工事並びに橋、水制、床止その他これらに類する施設について災害にかかつた箇所が二十メートルをこえる間隔で連続しているものに係る工事及びこれらの施設の二以上にわたる工事で当該工事を分離して施行することが当該施設の効用上困難又は不適当なものは、一箇所の工事とみなす。但し、当該工事を施行する地方公共団体が二以上あるものについては、この限りでない。
(災害復旧事業に対する全額国庫負担等)
第二條 国は、昭和二十五年度に限り、法令により地方公共団体又はその機関の維持管理に属する左に掲げる施設のうち公共的土木施設の部分に関する災害の災害復旧事業で、当該地方公共団体又はその機関が施行するものについては、他の法令の規定にかかわらず、その事業費の全額(前條第三項に規定する事業については、当該事業の事業費が、当該施設を原形に復旧するものとした場合に要する金額をこえる場合においては、原形に復旧するものとした場合に要する金額に相当する金額にそのこえる金額の三分の二に相当する金額を加えた金額)を負担することができる。
一 河川
二 海岸堤防
三 砂防設備
四 道路(道路法(大正八年法律第五十八号)第一條の道路をいう。)
五 港湾
2 国は、昭和二十五年度に限り、前項に規定する施設に関する災害に対し国が施行する災害復旧事業で、地方公共団体がその費用の全部又は一部を負担するものについては、他の法令の規定にかかわらず、その負担金の全部又は一部を免除することができる。
(適用除外)
第三條 前條の規定は、左に掲げる災害復旧事業については適用しない。
一 経済効果の小さいもの
二 昭和二十六年度以降に着工してもさしつかえないもの
三 維持工事とみるべきもの
四 明らかに設計の不備又は工事の施行の粗漏に基因して生じたものと認められる災害に係るもの
五 甚しく維持管理の義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの
六 天然の河岸の欠かいに係るもの。但し、特に維持上又は公益上必要と認められる場合を除く。
七 災害復旧事業以外の事業の施行中に生じた災害に係るもの
八 直高一メートル未満の小堤、幅員二メートル未満の道路及びその附属物その他前條第一項に規定する施設の主務大臣の定める小規模な施設に係るもの
(実施規定)
第四條 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
文部大臣 天野貞祐
農林大臣 森幸太郎
運輸大臣 大屋晋三
建設大臣 増田甲子七
経済安定本部総裁 吉田茂
昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十五年五月十九日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十九号
昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律
(定義)
第一条 この法律において「災害」とは、暴風、こう水、高潮、地震その他の異状な天然現象に因り生じた災害をいう。
2 この法律において「災害復旧事業」とは、災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することを目的とするもののうち、一箇所の工事の費用が十五万円以上のものをいう。
3 災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設をすることを目的とするもののうち、一箇所の工事の費用が十五万円以上のものは、この法律の適用については、災害復旧事業とみなす。
4 前二項の場合において、一の施設について災害にかかつた箇所が二十メートル以内の間隔で連続しているものに係る工事並びに橋、水制、床止その他これらに類する施設について災害にかかつた箇所が二十メートルをこえる間隔で連続しているものに係る工事及びこれらの施設の二以上にわたる工事で当該工事を分離して施行することが当該施設の効用上困難又は不適当なものは、一箇所の工事とみなす。但し、当該工事を施行する地方公共団体が二以上あるものについては、この限りでない。
(災害復旧事業に対する全額国庫負担等)
第二条 国は、昭和二十五年度に限り、法令により地方公共団体又はその機関の維持管理に属する左に掲げる施設のうち公共的土木施設の部分に関する災害の災害復旧事業で、当該地方公共団体又はその機関が施行するものについては、他の法令の規定にかかわらず、その事業費の全額(前条第三項に規定する事業については、当該事業の事業費が、当該施設を原形に復旧するものとした場合に要する金額をこえる場合においては、原形に復旧するものとした場合に要する金額に相当する金額にそのこえる金額の三分の二に相当する金額を加えた金額)を負担することができる。
一 河川
二 海岸堤防
三 砂防設備
四 道路(道路法(大正八年法律第五十八号)第一条の道路をいう。)
五 港湾
2 国は、昭和二十五年度に限り、前項に規定する施設に関する災害に対し国が施行する災害復旧事業で、地方公共団体がその費用の全部又は一部を負担するものについては、他の法令の規定にかかわらず、その負担金の全部又は一部を免除することができる。
(適用除外)
第三条 前条の規定は、左に掲げる災害復旧事業については適用しない。
一 経済効果の小さいもの
二 昭和二十六年度以降に着工してもさしつかえないもの
三 維持工事とみるべきもの
四 明らかに設計の不備又は工事の施行の粗漏に基因して生じたものと認められる災害に係るもの
五 甚しく維持管理の義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの
六 天然の河岸の欠かいに係るもの。但し、特に維持上又は公益上必要と認められる場合を除く。
七 災害復旧事業以外の事業の施行中に生じた災害に係るもの
八 直高一メートル未満の小堤、幅員二メートル未満の道路及びその附属物その他前条第一項に規定する施設の主務大臣の定める小規模な施設に係るもの
(実施規定)
第四条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 殖田俊吉
文部大臣 天野貞祐
農林大臣 森幸太郎
運輸大臣 大屋晋三
建設大臣 増田甲子七
経済安定本部総裁 吉田茂