非戰災者特別税は、非戰災家屋税及び非戰災者税とする。
第二條 この法律において非戰災家屋とは、昭和二十年八月十六日午前零時(以下調査時期という。)においてこの法律の施行地に在つた家屋をいう。
この法律において非戰災者とは、左に掲げる者をいう。
一 昭和二十二年七月一日午前零時(以下課税時期という。)において、この法律の施行地に独立の世帶を構えていた世帶主のうち、その世帶の構成員の戰時災害(戰爭の際における戰闘行爲又はこれに起因して生ずる災害をいう。以下同じ。)に因りこの法律の施行地に在つた家屋又は動産(現金及び有價証券以外の動産をいう。以下同じ。)につき受けた損害額の合計額が一定の金額を超えない世帶の世帶主
二 課税時期において、この法律の施行地に資産又は事業を有していた法人のうち、戰時災害に因りこの法律の施行地に在つた家屋又は動産につき受けた損害額の合計額が一定の金額を超えない法人
前項第一号又は第二号に規定する一定の金額は、同項第一号の世帶の構成員又は同項第二号の法人が調査時期においてこの法律の施行地で所有していた家屋又は動産の價格と同項第一号又は第二号の損害額との合計額に十分の三の割合を乘じて算出した金額とする。
戰時災害を受けた日以後課税時期までに、戰時災害に因り損害を受けた世帶の構成員について相続の開始があつた場合又は戰時災害に因り損害を受けた法人が合併に因り消滅した場合においては、第二項第一号又は第二号の損害額の計算については、被相続人又は合併に因り消滅した法人が受けた損害額(相続人が二人以上ある場合においては、相続した財産の價額の割合に應じて按分した損害額)は、これを相続人又は合併後存続する法人若しくは合併に因り設立された法人が受けた損害額とみなす。
調査時期後課税時期までに世帶の構成員について相続の開始があつた場合又は法人が合併に因り消滅した場合においては、第三項の家屋又は動産の價額の計算については、被相続人又は合併に因り消滅した法人が調査時期においてこの法律の施行地に所有していた家屋又は動産の價額(相続人が二人以上ある場合においては、相続した財産の價額に應じて按分した價額)は、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併に因り設立された法人が調査時期において所有していた家屋又は動産の價額とみなす。
法人でない團体で代表者又は管理人の定のあるものについては、この法律中法人に関する規定を準用する。
前項の規定を適用する場合において、非戰災家屋税又は非戰災者税の徴收に関する事項は、命令でこれを定める。
この法律において家屋とは、住家、店舖、工場、倉庫その他の建物をいう。
第三條 調査時期において非戰災家屋を所有していた者は、非戰災家屋税を納める義務がある。
第四條 課税時期においてこの法律の施行地に在つた家屋を課税時期において使用していた非戰災者たる世帶主及び非戰災者たる法人は、非戰災者税を納める義務がある。但し、調査時期後あらたに設立された法人でこの法律の施行地に本店又は主たる事務所を有するもの及びこの法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人で調査時期後あらたにこの法律の施行地において家屋を使用することとなつたものは、この限りでない。
調査時期において存した事業を課税時期までに承継した法人には、前項但書の規定は、これを適用しない。
第五條 非戰災家屋税及び非戰災者税は、左に掲げる國の國籍を有する者(日本の國籍を有する者を除く。)及び左に掲げる國の法令に基き設立された法人には、これを課さない。
オーストラリヤ、ベルギー王國、ボリヴィア國、ブラジル國、カナダ、チリ國、中華民國、コロンビア國、コスタ、リカ國、キュバ國、チェッコスロヴァキア國、デンマーク國、ドミニカ共和國、エクアドル國、エヂプト國、エティオピア國、フランス國、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王國、ギリシァ國、グァテマラ國、ハイティ國、ホンデュラス國、アイスランド國、インド、イラン國、イラーク國、レバノン、リベリア國、ルクセンブルグ大公國、メキシコ國、オランダ王國、ニュー、ジランド、ニカラグァ國、ノールウェー王國、パナマ國、パラグァイ國、ペルー國、フィリッピン連邦、ポーランド國、サルヴアドル國、サウデイ・アラビア國、シリア、トルコ國、南アフリカ連邦、ソヴィエト社会主義共和國連邦、アメリカ合衆國、ウルグァイ國、ヴェネズエラ國、ユーゴースラヴィア國
第六條 調査時期において非戰災家屋を所有していた個人について調査時期後この法律の施行前に相続の開始があつた場合においては、この法律の適用については、当該相続人又は相続財團(相続人があることが明かでない場合において法人とせられた相続財産をいう。以下同じ。)が調査時期において当該家屋を所有していたものとみなす。
調査時期において非戰災家屋を所有していた法人が調査時期後この法律の施行前に合併に因り消滅した場合においては、この法律の適用については、合併後存続する法人又は合併に因り設立された法人が調査時期において当該家屋を所有していたものとみなす。
調査時期において非戰災家屋を所有していた法人の事業の全部又は一部につき、この法律の施行前に承継があつた場合においては、この法律の適用については、当該承継に因り非戰災家屋(調査時期において國、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体の所有していた非戰災家屋を除く。)を取得した者が調査時期において当該家屋を所有していたものとみなす。
戰時補償特別措置法第六十條第一項の規定により國、地方公共團体又は同法第一條第一項に規定する特定機関が調査時期において所有していた非戰災家屋の讓渡を受けた者は、この法律の適用については、これを調査時期において当該家屋を所有していた者とみなす。
課税時期においてこの法律の施行地に在つた家屋を使用していた非戰災者たる世帶主について、課税時期後この法律の施行前に相続の開始があつた場合においては、この法律の適用については、当該相続人又は相続財團は、課税時期に当該家屋を使用していた非戰災者たる世帶主とみなす。
課税時期においてこの法律の施行地に在つた家屋を使用していた非戰災者たる法人が課税時期後この法律の施行前に合併に因り消滅した場合においては、この法律の適用については、合併後在続する法人又は合併に因り設立された法人は、課税時期において当該家屋を使用していた非戰災者たる法人とみなす。
第七條 非戰災家屋税は、左に掲げる非戰災家屋については、これを課さない。
一 調査時期において國、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体の所有していた家屋及び皇室財産であつた家屋
二 調査時期において旧家屋税法第三條の規定により家屋税を課せられなかつた家屋、但し、前條第四項の規定の適用がある場合において、讓渡を受けた家屋が第十七條第一項若しくは第三項又は第十八條の規定による申告書の提出の時において旧家屋税法第三條各号の規定に該当しないものであるときにおける当該家屋を除く。
三 調査時期後この法律施行前に無償で國、都道府縣、市町村又は第一号若しくは第二項第一号に規定する公共團体に讓渡された家屋
四 昭和十六年十二月七日において第五條に規定する者の株式又は出資の拂込済金額の合計額がこの法律施行の際株式又は出資の拂込済金額の総額の三分の一以上に相当する法人が所有していた家屋
非戰災者税は、左に掲げる者には、これを課さない。
一 國、都道府縣、特別区、市町村その他命令で定める公共團体
二 調査時期後この法律の施行地外から引き揚げた者(軍人又は軍属であつた者で調査時期においてこの法律の施行地外で戸主又は家族と同居していたもの以外のものを除く。)が世帶の生計を主として維持していた場合における当該世帶の世帶主
三 課税時期において賃貸價格が百円に満たない家屋のみを使用していた世帶でこの法律施行前六年以内に戰時災害に因り当該世帶の生計を主として維持していた者が死亡したものの世帶主
四 課税時期において主として仕送りにより生活していた学生、生徒及びこれらに準ずる者