(日本銀行に対する外国通貨等の引渡に関する勅令)
法令番号: 勅令第六百三十四号
公布年月日: 昭和21年12月29日
法令の形式: 勅令
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に關する件に基く日本銀行に対する外國通貨等の引渡に関する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十二月二十八日
內閣総理大臣 吉田茂
大藏大臣 石橋湛山
勅令第六百三十四号
第一條 この勅令において外國通貨とは、政府の發行した貨幣、小額紙幣及び軍用手票、日本銀行券、B号円表示補助通貨、南方開発金庫券、中央儲備銀行券、中國連合準備銀行券、蒙疆銀行券並びに滿洲中央銀行券以外の一切の通貨をいい、朝鮮銀行券及び臺灣銀行券を含む。
この勅令において外國爲替証書とは、左の各号の一に該当する証書で外國通貨を以て表示するものをいう。
一 本邦以外の地域に仕向けた爲替手形(本邦から仕向けた送金爲替手形を除く。)
二 本邦以外の地域から仕向けた送金爲替手形、送金小切手、郵便爲替証書その他これらに準ずべき支拂指図書
三 本邦以外の地域にある地を支拂地とする約束手形又は当座小切手
四 旅行小切手又はこれに準ずるもの
五 本邦以外の地域で発行した又は発行を指図した信用狀で、この勅令施行の際現にその原因たる債権が発生しているもの(その全部又は一部がこの勅令施行の際未使用のものに限る。)
この勅令において本邦內に居住する日本人とは、左の各号の一に該当するものをいう。
一 國、公共團体及びこれに準ずるもの
二 本邦內に住所又は居所を有する日本人
三 日本國の法令によつて設立された法人但し、左に揭げる法人を除く。
イ この勅令施行の際、外國人又は外國の法令によつて設立された法人(第四号に該当する法人を除く。)が資本の二分の一以上に当る株式又は出資を有する法人
ロ その他、この勅令施行の際、外國人又は外國の法令によつて設立された法人(第四号に該当する法人を除く。)がその経営を支配する法人
四 外國の法令によつて設立された法人で左に揭げるもの
イ この勅令施行の際、日本人又は日本國の法令によつて設立された法人(前号但書イ又はロに該当する法人を除く。)が資本の二分の一以上に当る株式又は出資を有する法人
ロ その他日本人又は日本國の法令によつて設立された法人(前号但書イ又はロに該当する法人を除く。)がこの勅令施行の際経営を支配する法人又はこの勅令施行前に経営を支配したことのある法人
この勅令において本邦とは、本州、四國、九州及び北海道並びにその附屬の島をいう。
第二條 本邦內に居住する日本人で、この勅令施行の際現に本邦內において外國通貨又は外國爲替証書を所持又は保管する者は、他の法令又は契約にかかわらず、昭和二十二年一月三十一日までに、その外國通貨又は外國爲替証書を、日本銀行に引き渡して、これを保管させなければならない。本邦內に居住する外國人で、この勅令施行の際現に本邦內において日本人の所有に属する外國通貨又は外國爲替証書を所持又は保管する者も、また同樣とする。
本邦內に居住する日本人で、この勅令施行後、外國通貨又は外國爲替証書を本邦內において所持又は保管することとなつた者は、他の法令又は契約にかかわらず、その外國通貨又は外國爲替証書を所持又は保管することとなつた日から十日以內(その外國通貨又は外國爲替証書を所持又は保管することとなつた日が昭和二十二年一月二十二日以前である場合においては同月三十一日まで)に、その外國通貨又は外國爲替証書を、日本銀行に引き渡して、これを保管させなければならない。本邦內に居住する外國人で、この勅令施行後、本邦內において日本人の所有に属する外國通貨又は外國爲替證書を所持又は保管することになつた者も、また同樣とする。
日本銀行は、前二項の規定により、外國通貨又は外國爲替証書の引渡をなした者に対して、保管証を交付しなければならない。
前項の保管証の樣式は、大藏大臣がこれを定める。
第三條 前條第一項又は第二項の規定は、左の各号の一に該当する外國通貨又は外國爲替証書には、これを適用しない。
一 連合軍の管理に属するもの
二 刑事事件について押收又は領置されているもの
三 本邦以外の地域からの引揚邦人が持ち歸つたもので、稅関又は日本銀行が保管するもの
四 本邦から引き揚げる朝鮮人、臺灣人、琉球島民、奄美大島島民及び外國人から稅関が引渡を受けて保管するもの
五 貨幣
六 本邦から朝鮮に引き揚げる朝鮮人の持帰金引換のため日本銀行が保管する朝鮮銀行券
七 未発行の銀行券(朝鮮銀行又は臺灣銀行の本店の勘定において発行高に算入されているものを除く。)
八 官廳又は學校その他の公益を目的とする團体が標本として所持又は保管しているもので、大藏大臣の許可のあつたもの
九 支拂の見込のない爲替手形で、大藏大臣の許可のあつたもの
十 その他大藏大臣の許可のあつたもの
前項第八号乃至第十号に規定する大藏大臣の許可を受けようとする者は、前條第一項の規定に該当する場合においては昭和二十二年一月三十一日までに、同條第二項の規定に該当する場合においては同項に規定する期限までに、その旨の申請書を、日本銀行を経由して、大藏大臣に提出しなければならない。
前項の申請書の樣式は、大藏大臣がこれを定める。
日本銀行が第二項に規定する期限までに同項の申請書を受け取つたときは、前條第一項又は第二項の規定による引渡は、大藏大臣の指示する日まで、これを猶予する。
第四條 この勅令に違反して、日本銀行へ外國通貨又は外國爲替証書の引渡をしなかつた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は一万円以下の罰金に処する。
前項の場合において、その違反行爲に係る外國通貨又は外國爲替証書は、これを沒收する。
第五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財產に関して、前條第一項の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対し、同條第一項の罰金刑を科する。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く日本銀行に対する外国通貨等の引渡に関する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十二月二十八日
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 石橋湛山
勅令第六百三十四号
第一条 この勅令において外国通貨とは、政府の発行した貨幣、小額紙幣及び軍用手票、日本銀行券、B号円表示補助通貨、南方開発金庫券、中央儲備銀行券、中国連合準備銀行券、蒙疆銀行券並びに満洲中央銀行券以外の一切の通貨をいい、朝鮮銀行券及び台湾銀行券を含む。
この勅令において外国為替証書とは、左の各号の一に該当する証書で外国通貨を以て表示するものをいう。
一 本邦以外の地域に仕向けた為替手形(本邦から仕向けた送金為替手形を除く。)
二 本邦以外の地域から仕向けた送金為替手形、送金小切手、郵便為替証書その他これらに準ずべき支払指図書
三 本邦以外の地域にある地を支払地とする約束手形又は当座小切手
四 旅行小切手又はこれに準ずるもの
五 本邦以外の地域で発行した又は発行を指図した信用状で、この勅令施行の際現にその原因たる債権が発生しているもの(その全部又は一部がこの勅令施行の際未使用のものに限る。)
この勅令において本邦内に居住する日本人とは、左の各号の一に該当するものをいう。
一 国、公共団体及びこれに準ずるもの
二 本邦内に住所又は居所を有する日本人
三 日本国の法令によつて設立された法人但し、左に掲げる法人を除く。
イ この勅令施行の際、外国人又は外国の法令によつて設立された法人(第四号に該当する法人を除く。)が資本の二分の一以上に当る株式又は出資を有する法人
ロ その他、この勅令施行の際、外国人又は外国の法令によつて設立された法人(第四号に該当する法人を除く。)がその経営を支配する法人
四 外国の法令によつて設立された法人で左に掲げるもの
イ この勅令施行の際、日本人又は日本国の法令によつて設立された法人(前号但書イ又はロに該当する法人を除く。)が資本の二分の一以上に当る株式又は出資を有する法人
ロ その他日本人又は日本国の法令によつて設立された法人(前号但書イ又はロに該当する法人を除く。)がこの勅令施行の際経営を支配する法人又はこの勅令施行前に経営を支配したことのある法人
この勅令において本邦とは、本州、四国、九州及び北海道並びにその附属の島をいう。
第二条 本邦内に居住する日本人で、この勅令施行の際現に本邦内において外国通貨又は外国為替証書を所持又は保管する者は、他の法令又は契約にかかわらず、昭和二十二年一月三十一日までに、その外国通貨又は外国為替証書を、日本銀行に引き渡して、これを保管させなければならない。本邦内に居住する外国人で、この勅令施行の際現に本邦内において日本人の所有に属する外国通貨又は外国為替証書を所持又は保管する者も、また同様とする。
本邦内に居住する日本人で、この勅令施行後、外国通貨又は外国為替証書を本邦内において所持又は保管することとなつた者は、他の法令又は契約にかかわらず、その外国通貨又は外国為替証書を所持又は保管することとなつた日から十日以内(その外国通貨又は外国為替証書を所持又は保管することとなつた日が昭和二十二年一月二十二日以前である場合においては同月三十一日まで)に、その外国通貨又は外国為替証書を、日本銀行に引き渡して、これを保管させなければならない。本邦内に居住する外国人で、この勅令施行後、本邦内において日本人の所有に属する外国通貨又は外国為替証書を所持又は保管することになつた者も、また同様とする。
日本銀行は、前二項の規定により、外国通貨又は外国為替証書の引渡をなした者に対して、保管証を交付しなければならない。
前項の保管証の様式は、大蔵大臣がこれを定める。
第三条 前条第一項又は第二項の規定は、左の各号の一に該当する外国通貨又は外国為替証書には、これを適用しない。
一 連合軍の管理に属するもの
二 刑事事件について押収又は領置されているもの
三 本邦以外の地域からの引揚邦人が持ち帰つたもので、税関又は日本銀行が保管するもの
四 本邦から引き揚げる朝鮮人、台湾人、琉球島民、奄美大島島民及び外国人から税関が引渡を受けて保管するもの
五 貨幣
六 本邦から朝鮮に引き揚げる朝鮮人の持帰金引換のため日本銀行が保管する朝鮮銀行券
七 未発行の銀行券(朝鮮銀行又は台湾銀行の本店の勘定において発行高に算入されているものを除く。)
八 官庁又は学校その他の公益を目的とする団体が標本として所持又は保管しているもので、大蔵大臣の許可のあつたもの
九 支払の見込のない為替手形で、大蔵大臣の許可のあつたもの
十 その他大蔵大臣の許可のあつたもの
前項第八号乃至第十号に規定する大蔵大臣の許可を受けようとする者は、前条第一項の規定に該当する場合においては昭和二十二年一月三十一日までに、同条第二項の規定に該当する場合においては同項に規定する期限までに、その旨の申請書を、日本銀行を経由して、大蔵大臣に提出しなければならない。
前項の申請書の様式は、大蔵大臣がこれを定める。
日本銀行が第二項に規定する期限までに同項の申請書を受け取つたときは、前条第一項又は第二項の規定による引渡は、大蔵大臣の指示する日まで、これを猶予する。
第四条 この勅令に違反して、日本銀行へ外国通貨又は外国為替証書の引渡をしなかつた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は一万円以下の罰金に処する。
前項の場合において、その違反行為に係る外国通貨又は外国為替証書は、これを没収する。
第五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、前条第一項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同条第一項の罰金刑を科する。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。