関東州徴用令
法令番号: 勅令第四百八十一號
公布年月日: 昭和19年7月26日
法令の形式: 勅令
朕關東州徵用令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年七月二十五日
內閣總理大臣 小磯國昭
大東亞大臣 重光葵
勅令第四百八十一號
關東州徵用令
第一條 關東州國家總動員令ニ於テ依ルコトヲ定メタル國家總動員法(以下國家總動員法ト稱ス)第四條ノ規定ニ基ク帝國臣民及關東州ニ居住スル帝國臣民ニ非ザル者ノ徵用竝ニ國家總動員法第六條ノ規定ニ基ク被徵用者ノ使用又ハ賃金、給料其ノ他ノ從業條件ニ關スル命令ハ本令ニ又ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外國民徵用令ニ依ル但シ同令第一條、第四條、第六條乃至第七條ノ四、第十二條、第十三條、第十六條、第十六條ノ二、第二十一條第五號、第二十二條ノ二、第二十四條及第二十五條ノ規定ハ此ノ限ニ在ラズ
國民徵用令中國家總動員法トアルハ關東州國家總動員令ニ於テ依ルコトヲ定メタル國家總動員法、國民職業能力申吿令トアルハ關東州職業能力申吿規則、醫療關係者職業能力申吿令トアルハ關東州醫療關係者職業能力申吿規則、厚生大臣トアルハ滿洲國駐箚特命全權大使、地方長官トアルハ關東州廳長官、官衙ノ所管大臣トアルハ官衙(陸海軍ノ部隊及學校ヲ含ム)ノ長、國民勤勞動員署長トアルハ關東勤勞動員署長、市町村(東京都ノ區ノ存スル區域ニ在リテハ東京都)又ハ之ニ準ズベキモノトアルハ市又ハ會、市町村長(東京都ノ區ノ存スル區域、京都市、大阪市、名古屋市、橫濱市及神戶市ニ在リテハ區長)若ハ之ニ準ズベキモノトアリ又ハ市長村長(東京都ノ區ノ存スル區域、京都市、大阪市、名古屋市、橫濱市及神戶市ニ在リテハ區長)又ハ之ニ準ズベキモノトアルハ市長又ハ會長、帝國臣民トアルハ帝國臣民及關東州ニ居住スル帝國臣民ニ非ザル者、第二十二條ノ二第一項トアルハ關東州徵用令第十二條、管理工場若ハ指定工場トアリ又ハ管理工場又ハ指定工場トアルハ大使ノ指定スル工場事業場其ノ他ノ施設、本籍トアルハ本籍(關東州民籍規則ニ依ル民籍ヲ含ム)、東京都議會、道府縣會、市町村會其ノ他之ニ準ズベキモノノ議員トアルハ市會議員又ハ會協議會員トス
第二條 本令ニ依リ徵用スル者ハ國ノ行フ總動員業務ニ從事セシムルモノトス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ大使ノ指定スル工場事業場其ノ他ノ施設(以下指定工場ト稱ス)ニ於テ行フ總動員業務ニ從事セシムルコトヲ得
第三條 總動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及學校ヲ含ム以下同ジ)ノ長又ハ指定工場ノ事業主徵用ニ依リ人員ノ配置ヲ必要トスルトキハ大使ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第四條 大使前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徵用ノ必要アリト認ムルトキハ徵用命令ヲ發シ關東州廳長官ニ之ヲ通達スベシ
第五條 關東州廳長官徵用命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ出頭命令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
關東州廳長官ハ前項ノ出頭命令書ノ交付ヲ受ケ出頭シタル者ニ付身體ノ狀態、居住及就業ノ場所、職業、技能程度、家庭ノ狀況、希望等ヲ檢査又ハ調査シテ服務ノ適否ヲ判定シ從事スベキ總動員業務、職業及場所ヲ決定シタル上徵用令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
緊急ヲ要スルトキ又ハ前項ノ規定ニ依ル檢査若ハ調査ヲ爲スノ必要ナシト認ムルトキハ關東州廳長官ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ直ニ徵用令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付スルコトヲ得
第六條 前條第二項ノ規定ニ依ル檢査又ハ調査及服務ノ適否ノ判定ニ關スル事務ニ從事セシムル爲關東州廳ニ徵用官ヲ置ク徵用官ハ關東州廳內務部長タル關東局事務官又ハ關東州廳長官ノ指定スル關東局ノ事務官、理事官、技師若ハ關東勤勞動員署理事官ヲ以テ之ニ充ツ
第七條 大使指定工場ノ事業主(事業主法人ナル場合ニ在リテハ其ノ代表者)ヲ徵用シ當該工場ニ於テ行フ總動員業務ニ從事セシムルニ當リテハ第三條乃至前條ノ規定ニ拘ラズ徵用命令ヲ發シ關東州廳長官ニ之ヲ通達シ關東州廳長官ヲシテ徵用令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付セシムベシ
第八條 被徵用者ヲ使用スル官衙ノ長又ハ指定工場ノ事業主被徵用者ヲ使用スル官衙若ハ指定工場、被徵用者ノ從事スル總動員業務、職業若ハ場所又ハ徵用ノ期間ニ付變更ヲ必要トスルトキハ大使ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第九條 大使前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ被徵用者ヲ使用スル官衙若ハ指定工場、被徵用者ノ從事スル總動員業務、職業若ハ場所又ハ徵用ノ期間ヲ變更スルコトヲ得
大使必要アリト認ムルトキハ前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ被徵用者ノ徵用ヲ變更スルコトヲ得
大使前項ノ規定ニ依リ徵用ヲ變更セントスルトキハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ長ニ協議スベシ
第十條 大使徵用ノ變更又ハ解除ヲ爲サントスルトキハ徵用變更命令又ハ徵用解除命令ヲ發シ關東州廳長官ニ之ヲ通達スベシ
關東州廳長官徵用變更命令又ハ徵用解除命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ直ニ徵用變更令書又ハ徵用解除令書ヲ發シ被徵用者ニ之ヲ交付スベシ
第十一條 第八條、第九條第一項第二項、前條竝ニ國民徵用令第十四條第一項及第十五條第一項第二項ノ規定ハ被徵用者タル指定工場ノ事業主(事業主法人ナル場合ニ在リテハ其ノ代表者)ノ徵用ノ變更又ハ解除ニ付之ヲ準用ス
第十二條 大使必要アリト認ムルトキハ其ノ定ムル所ニ依リ關東州廳長官ヲシテ徵用命令、徵用變更命令若ハ徵用解除命令ヲ俟タズ直ニ出頭命令書、徵用令書、徵用變更令書若ハ徵用解除令書ヲ發シ徵用セラルベキ者若ハ被徵用者ニ之ヲ交付セシメ又ハ關東州廳長官ヲシテ第二條第二項、第三條、第七條乃至第九條若ハ國民徵用令第十四條、第十五條(前條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第十八條第二項若ハ第十九條ノ二ノ規定ニ依ル大使ノ職權ヲ行ハシムルコトヲ得
附 則
本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム
朕関東州徴用令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十九年七月二十五日
内閣総理大臣 小磯国昭
大東亜大臣 重光葵
勅令第四百八十一号
関東州徴用令
第一条 関東州国家総動員令ニ於テ依ルコトヲ定メタル国家総動員法(以下国家総動員法ト称ス)第四条ノ規定ニ基ク帝国臣民及関東州ニ居住スル帝国臣民ニ非ザル者ノ徴用並ニ国家総動員法第六条ノ規定ニ基ク被徴用者ノ使用又ハ賃金、給料其ノ他ノ従業条件ニ関スル命令ハ本令ニ又ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外国民徴用令ニ依ル但シ同令第一条、第四条、第六条乃至第七条ノ四、第十二条、第十三条、第十六条、第十六条ノ二、第二十一条第五号、第二十二条ノ二、第二十四条及第二十五条ノ規定ハ此ノ限ニ在ラズ
国民徴用令中国家総動員法トアルハ関東州国家総動員令ニ於テ依ルコトヲ定メタル国家総動員法、国民職業能力申告令トアルハ関東州職業能力申告規則、医療関係者職業能力申告令トアルハ関東州医療関係者職業能力申告規則、厚生大臣トアルハ満洲国駐箚特命全権大使、地方長官トアルハ関東州庁長官、官衙ノ所管大臣トアルハ官衙(陸海軍ノ部隊及学校ヲ含ム)ノ長、国民勤労動員署長トアルハ関東勤労動員署長、市町村(東京都ノ区ノ存スル区域ニ在リテハ東京都)又ハ之ニ準ズベキモノトアルハ市又ハ会、市町村長(東京都ノ区ノ存スル区域、京都市、大阪市、名古屋市、横浜市及神戸市ニ在リテハ区長)若ハ之ニ準ズベキモノトアリ又ハ市長村長(東京都ノ区ノ存スル区域、京都市、大阪市、名古屋市、横浜市及神戸市ニ在リテハ区長)又ハ之ニ準ズベキモノトアルハ市長又ハ会長、帝国臣民トアルハ帝国臣民及関東州ニ居住スル帝国臣民ニ非ザル者、第二十二条ノ二第一項トアルハ関東州徴用令第十二条、管理工場若ハ指定工場トアリ又ハ管理工場又ハ指定工場トアルハ大使ノ指定スル工場事業場其ノ他ノ施設、本籍トアルハ本籍(関東州民籍規則ニ依ル民籍ヲ含ム)、東京都議会、道府県会、市町村会其ノ他之ニ準ズベキモノノ議員トアルハ市会議員又ハ会協議会員トス
第二条 本令ニ依リ徴用スル者ハ国ノ行フ総動員業務ニ従事セシムルモノトス
特別ノ必要アル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ大使ノ指定スル工場事業場其ノ他ノ施設(以下指定工場ト称ス)ニ於テ行フ総動員業務ニ従事セシムルコトヲ得
第三条 総動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及学校ヲ含ム以下同ジ)ノ長又ハ指定工場ノ事業主徴用ニ依リ人員ノ配置ヲ必要トスルトキハ大使ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第四条 大使前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徴用ノ必要アリト認ムルトキハ徴用命令ヲ発シ関東州庁長官ニ之ヲ通達スベシ
第五条 関東州庁長官徴用命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ大使ノ定ムル所ニ依リ出頭命令書ヲ発シ徴用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
関東州庁長官ハ前項ノ出頭命令書ノ交付ヲ受ケ出頭シタル者ニ付身体ノ状態、居住及就業ノ場所、職業、技能程度、家庭ノ状況、希望等ヲ検査又ハ調査シテ服務ノ適否ヲ判定シ従事スベキ総動員業務、職業及場所ヲ決定シタル上徴用令書ヲ発シ徴用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
緊急ヲ要スルトキ又ハ前項ノ規定ニ依ル検査若ハ調査ヲ為スノ必要ナシト認ムルトキハ関東州庁長官ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ直ニ徴用令書ヲ発シ徴用セラルベキ者ニ之ヲ交付スルコトヲ得
第六条 前条第二項ノ規定ニ依ル検査又ハ調査及服務ノ適否ノ判定ニ関スル事務ニ従事セシムル為関東州庁ニ徴用官ヲ置ク徴用官ハ関東州庁内務部長タル関東局事務官又ハ関東州庁長官ノ指定スル関東局ノ事務官、理事官、技師若ハ関東勤労動員署理事官ヲ以テ之ニ充ツ
第七条 大使指定工場ノ事業主(事業主法人ナル場合ニ在リテハ其ノ代表者)ヲ徴用シ当該工場ニ於テ行フ総動員業務ニ従事セシムルニ当リテハ第三条乃至前条ノ規定ニ拘ラズ徴用命令ヲ発シ関東州庁長官ニ之ヲ通達シ関東州庁長官ヲシテ徴用令書ヲ発シ徴用セラルベキ者ニ之ヲ交付セシムベシ
第八条 被徴用者ヲ使用スル官衙ノ長又ハ指定工場ノ事業主被徴用者ヲ使用スル官衙若ハ指定工場、被徴用者ノ従事スル総動員業務、職業若ハ場所又ハ徴用ノ期間ニ付変更ヲ必要トスルトキハ大使ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第九条 大使前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ被徴用者ヲ使用スル官衙若ハ指定工場、被徴用者ノ従事スル総動員業務、職業若ハ場所又ハ徴用ノ期間ヲ変更スルコトヲ得
大使必要アリト認ムルトキハ前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ被徴用者ノ徴用ヲ変更スルコトヲ得
大使前項ノ規定ニ依リ徴用ヲ変更セントスルトキハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ長ニ協議スベシ
第十条 大使徴用ノ変更又ハ解除ヲ為サントスルトキハ徴用変更命令又ハ徴用解除命令ヲ発シ関東州庁長官ニ之ヲ通達スベシ
関東州庁長官徴用変更命令又ハ徴用解除命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ直ニ徴用変更令書又ハ徴用解除令書ヲ発シ被徴用者ニ之ヲ交付スベシ
第十一条 第八条、第九条第一項第二項、前条並ニ国民徴用令第十四条第一項及第十五条第一項第二項ノ規定ハ被徴用者タル指定工場ノ事業主(事業主法人ナル場合ニ在リテハ其ノ代表者)ノ徴用ノ変更又ハ解除ニ付之ヲ準用ス
第十二条 大使必要アリト認ムルトキハ其ノ定ムル所ニ依リ関東州庁長官ヲシテ徴用命令、徴用変更命令若ハ徴用解除命令ヲ俟タズ直ニ出頭命令書、徴用令書、徴用変更令書若ハ徴用解除令書ヲ発シ徴用セラルベキ者若ハ被徴用者ニ之ヲ交付セシメ又ハ関東州庁長官ヲシテ第二条第二項、第三条、第七条乃至第九条若ハ国民徴用令第十四条、第十五条(前条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第十八条第二項若ハ第十九条ノ二ノ規定ニ依ル大使ノ職権ヲ行ハシムルコトヲ得
附 則
本令施行ノ期日ハ大使之ヲ定ム