第一條 當分ノ內陸軍現役下士官ハ特別幹部候補生ニシテ槪ネ一年六月在營シ陸軍大臣ノ定ムル課程ヲ修了シタルモノヲ以テ之ヲ補充スルコトヲ得
第二條 特別幹部候補生ハ年齡十五年以上二十年未滿ノ者ニシテ航空、船舶若ハ通信ニ關スル勤務又ハ陸軍大臣ノ特ニ定ムル其ノ他ノ勤務ニ從事スル兵科又ハ技術部ノ下士官ヲ志願スルモノヨリ陸軍大臣ニ於テ銓衡ノ上之ヲ採用ス
前項ニ規定スル年齡ハ採用ノ年ノ三月三十一日ニ於ケル年齡トス
禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者又ハ破產ノ宣吿ヲ受ケ復權ヲ得ザル者ハ特別幹部候補生タルコトヲ得ズ
特別幹部候補生ノ採用員數ハ陸軍大臣其ノ都度之ヲ定ム
第三條 特別幹部候補生ノ兵種ハ飛行兵、船舶兵、通信兵、兵技兵、航技兵又ハ陸軍大臣ノ定ムル其ノ他ノ兵種トシ其ノ兵役ニ關シテハ陸軍大臣ノ特ニ定ムル場合ヲ除クノ外兵役法ノ定ムル所ニ依リ現役兵トシテ徵集セラレタル者ノ兵役ニ同ジ
特別幹部候補生ヨリ下士官ト爲リタル者ノ服役ハ特別幹部候補生ニ採用セラレタル月ノ一日ヨリ起算シ二年ニ滿ツル日迄現役ニ服セシメ現役期間滿ツル日ノ翌日ヨリ之ヲ豫備役ニ服セシム但シ引續キ現役ニ服スルコトヲ志願スル者アルトキハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ許可スルコトヲ得
前項ノ規定ヲ除クノ外特別幹部候補生ヨリ下士官ト爲リタル者ノ服役ハ陸軍武官服役令ノ定ムル所ニ依ル
第四條 特別幹部候補生ハ採用ト同時ニ陸軍大臣ノ定ムル部隊ニ入隊又ハ入校セシメ兵籍ニ編入ス
特別幹部候補生ハ入隊又ハ入校後直ニ一等兵ヲ命ジ爾後槪ネ六月ノ後上等兵ニ、更ニ槪ネ六月ノ後兵長ニ進級セシム
第五條 特別幹部候補生ノ課程ヲ修了シタル者ヲ以テ下士官ヲ補充スル場合ニ於ケル初任ノ官等ハ其ノ所屬ノ兵科部ニ從ヒ伍長トス但シ中等學校以上ノ課程ヲ修了シ又ハ特殊ノ技術ヲ修得シタル者ニシテ技能特ニ優秀ナルモノハ直ニ之ヲ軍曹ニ任ズルコトヲ得
第六條 特別幹部候補生ニシテ本人ニ依ルニ非ザレバ一家ノ生計ヲ營ミ難キ事故ヲ生ジタルトキハ本人ノ願ニ依リ之ヲ免ズルコトヲ得
第七條 特別幹部候補生ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノハ特別幹部候補生ヲ免ズ
一 軍紀ヲ紊リ若ハ屢法則ヲ犯シ又ハ品行不正ニシテ改悛ノ見込ナキ者
三 疾病其ノ他身體又ハ精神ノ異狀ニ因リ修業ノ見込ナキ者
四 前各號ニ揭グル者ノ外下士官タルニ適セズト認メタル者
第八條 第一條及第四條ニ規定スル期間竝ニ第二條ニ規定スル年齡ハ必要アル場合ニ於テハ陸軍大臣ノ定ムル所ニ依リ之ヲ變更スルコトヲ得