水戸陸軍飛行学校令
法令番号: 勅令第二百二十二號
公布年月日: 昭和18年3月29日
法令の形式: 勅令
朕水戶陸軍飛行學校令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月二十八日
內閣總理大臣兼陸軍大臣 東條英機
勅令第二百二十二號
水戶陸軍飛行學校令
第一條 水戶陸軍飛行學校ハ航空關係ノ豫備役將校ト爲スベキ生徒ヲ敎育スル所トス
水戶陸軍飛行學校ニ於テハ前項ノ外學生ニ對空射擊及自動車ニ關スル敎育ヲ受ケシメ且對空射擊及自動車ニ關スル調査、硏究及試驗ヲ行フ
第二條 生徒ハ各隊ヨリ分遣スル操縱候補生及甲種幹部候補生ヲ以テ之ニ充テ航空關係ノ豫備役將校ニ必要ナル敎育ヲ受ケシム操縱候補生ニ在リテハ通常每年一囘、甲種幹部候補生ニ在リテハ通常每年二囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ六月乃至一年トス
第三條 學生ヲ分チテ左ノ二種トシ通常每年二囘入校セシム其ノ修學期間ハ槪ネ六月トス
射擊學生 航空關係ノ尉官ヲ以テ之ニ充テ對空射擊ニ關スル敎育ヲ受ケシム
自動車學生 航空關係ノ尉官ヲ以テ之ニ充テ自動車ニ關スル敎育ヲ受ケシム
第四條 陸軍大臣ハ臨時ニ將校以下ヲ召集シ必要ノ敎育ヲ受ケシムルコトヲ得
第五條 生徒ノ敎育綱領ハ陸軍航空總監之ヲ定ム
第六條 生徒ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七條 學生ノ敎育ニ任ゼシムル爲水戶陸軍飛行學校ニ敎育部ヲ置ク
第八條 生徒ノ敎育ヲ行フ爲水戶陸軍飛行學校ニ生徒隊ヲ置ク
第九條 陸軍大臣ハ必要ニ應ジ水戶陸軍飛行學校ニ分敎所ヲ置クコトヲ得
第十條 兵器ノ修理竝ニ生徒及學生ノ實習ニ供スル爲水戶陸軍飛行學校ニ材料廠ヲ置ク
第十一條 水戶陸軍飛行學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
學校附
敎官
生徒隊長
生徒隊中隊長
生徒隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
分敎所ヲ置キタル場合ニハ分敎所長ハ將校タル前項ノ職員ヲ以テ之ニ充ツ
第十二條 校長ハ陸軍航空總監ニ隸シ校務ヲ總理ス
第十三條 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ敎育、調査、硏究及試驗ノ統一ヲ圖ル
第十四條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十五條 學校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第十六條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ分擔ス
第十七條 生徒隊長ハ生徒隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ掌理ス
第十八條 生徒隊中隊長ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ擔任ス
第十九條 生徒隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第二十條 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十一條 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分擔ス
第二十二條 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ敎育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ從事ス
第二十三條 學生及第四條ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員(必要アルトキハ其ノ人名)、入校又ハ召集ノ期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ吿達ス
第二十四條 前條ノ吿達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部長所轄ノ官衙ニ在リテハ陸軍航空本部長以下同ジ)ハ修學ニ適當ナル者ヲ選定シ入校又ハ召集ノ期日前ニ其ノ所屬部隊、官等級及氏名ヲ陸軍大臣及陸軍航空總監ニ報吿又ハ通報スベシ
第二十五條 學生ハ校外ニ、生徒ハ校內ニ居住セシム
學生及生徒ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十六條 學生及生徒ノ願屆其ノ他業務ニ關スル諸件ハ校長ノ管理ニ屬ス
第二十七條 學生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ學術修得ノ目途ナキ者ハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ之ヲ退校セシム
第二十八條 生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十九條 生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修學ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外豫備役將校タルニ適セズト認ムル者
退校セシメラレタル生徒ハ之ヲ歸隊セシム
第三十條 生徒及學生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空總監ノ認可ヲ受ケ之ヲ所要ノ期間滯學セシメ又ハ次期ノ生徒若ハ學生ト爲スコトヲ得
第三十一條 校長ハ學生ノ修學期末ニ於テ學生ノ成績ヲ審査シ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空總監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ學生ヲ歸隊セシム
前項ノ場合ニ於テハ陸軍航空總監ハ各學生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ本人ノ所管長官ヲ經テ之ヲ所屬部隊長ニ送付スルモノトス
滯學セシメラレタル學生修學ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十二條 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空總監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與シ之ヲ歸隊セシム
前條第二項及第三項ノ規定ハ生徒ニ之ヲ準用ス
第三十三條 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ隊附勤務ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十四條 校長ハ生徒及學生ノ敎育上必要アルトキハ敎育總監、軍司令官、航空軍司令官、師團長又ハ飛行師團長ニ禀議シ其ノ學校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ水戶陸軍飛行學校ノ乙種學生又ハ幹部候補生タル者ハ各本令ニ依ル射擊學生又ハ生徒ト爲リタルモノトス
本令施行ノ際現ニ水戶陸軍飛行學校所屬ノ少年飛行兵タル者ハ陸軍航空通信學校所屬ノ少年飛行兵ト爲リタルモノトス
朕水戸陸軍飛行学校令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月二十八日
内閣総理大臣兼陸軍大臣 東条英機
勅令第二百二十二号
水戸陸軍飛行学校令
第一条 水戸陸軍飛行学校ハ航空関係ノ予備役将校ト為スベキ生徒ヲ教育スル所トス
水戸陸軍飛行学校ニ於テハ前項ノ外学生ニ対空射撃及自動車ニ関スル教育ヲ受ケシメ且対空射撃及自動車ニ関スル調査、研究及試験ヲ行フ
第二条 生徒ハ各隊ヨリ分遣スル操縦候補生及甲種幹部候補生ヲ以テ之ニ充テ航空関係ノ予備役将校ニ必要ナル教育ヲ受ケシム操縦候補生ニ在リテハ通常毎年一回、甲種幹部候補生ニ在リテハ通常毎年二回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ六月乃至一年トス
第三条 学生ヲ分チテ左ノ二種トシ通常毎年二回入校セシム其ノ修学期間ハ概ネ六月トス
射撃学生 航空関係ノ尉官ヲ以テ之ニ充テ対空射撃ニ関スル教育ヲ受ケシム
自動車学生 航空関係ノ尉官ヲ以テ之ニ充テ自動車ニ関スル教育ヲ受ケシム
第四条 陸軍大臣ハ臨時ニ将校以下ヲ召集シ必要ノ教育ヲ受ケシムルコトヲ得
第五条 生徒ノ教育綱領ハ陸軍航空総監之ヲ定ム
第六条 生徒ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七条 学生ノ教育ニ任ゼシムル為水戸陸軍飛行学校ニ教育部ヲ置ク
第八条 生徒ノ教育ヲ行フ為水戸陸軍飛行学校ニ生徒隊ヲ置ク
第九条 陸軍大臣ハ必要ニ応ジ水戸陸軍飛行学校ニ分教所ヲ置クコトヲ得
第十条 兵器ノ修理並ニ生徒及学生ノ実習ニ供スル為水戸陸軍飛行学校ニ材料廠ヲ置ク
第十一条 水戸陸軍飛行学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
学校附
教官
生徒隊長
生徒隊中隊長
生徒隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
分教所ヲ置キタル場合ニハ分教所長ハ将校タル前項ノ職員ヲ以テ之ニ充ツ
第十二条 校長ハ陸軍航空総監ニ隷シ校務ヲ総理ス
第十三条 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ教育、調査、研究及試験ノ統一ヲ図ル
第十四条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十五条 学校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第十六条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ教育ヲ分担ス
第十七条 生徒隊長ハ生徒隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ教育ヲ掌理ス
第十八条 生徒隊中隊長ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ教育ヲ担任ス
第十九条 生徒隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第二十条 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十一条 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分担ス
第二十二条 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ教育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ従事ス
第二十三条 学生及第四条ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員(必要アルトキハ其ノ人名)、入校又ハ召集ノ期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ告達ス
第二十四条 前条ノ告達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部長所轄ノ官衙ニ在リテハ陸軍航空本部長以下同ジ)ハ修学ニ適当ナル者ヲ選定シ入校又ハ召集ノ期日前ニ其ノ所属部隊、官等級及氏名ヲ陸軍大臣及陸軍航空総監ニ報告又ハ通報スベシ
第二十五条 学生ハ校外ニ、生徒ハ校内ニ居住セシム
学生及生徒ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十六条 学生及生徒ノ願届其ノ他業務ニ関スル諸件ハ校長ノ管理ニ属ス
第二十七条 学生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ学術修得ノ目途ナキ者ハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ之ヲ退校セシム
第二十八条 生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十九条 生徒左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修学ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外予備役将校タルニ適セズト認ムル者
退校セシメラレタル生徒ハ之ヲ帰隊セシム
第三十条 生徒及学生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空総監ノ認可ヲ受ケ之ヲ所要ノ期間滞学セシメ又ハ次期ノ生徒若ハ学生ト為スコトヲ得
第三十一条 校長ハ学生ノ修学期末ニ於テ学生ノ成績ヲ審査シ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空総監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ学生ヲ帰隊セシム
前項ノ場合ニ於テハ陸軍航空総監ハ各学生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ本人ノ所管長官ヲ経テ之ヲ所属部隊長ニ送付スルモノトス
滞学セシメラレタル学生修学ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十二条 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍航空総監ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業証書ヲ付与シ之ヲ帰隊セシム
前条第二項及第三項ノ規定ハ生徒ニ之ヲ準用ス
第三十三条 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ隊附勤務ヲ為サシムルコトヲ得
第三十四条 校長ハ生徒及学生ノ教育上必要アルトキハ教育総監、軍司令官、航空軍司令官、師団長又ハ飛行師団長ニ禀議シ其ノ学校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ水戸陸軍飛行学校ノ乙種学生又ハ幹部候補生タル者ハ各本令ニ依ル射撃学生又ハ生徒ト為リタルモノトス
本令施行ノ際現ニ水戸陸軍飛行学校所属ノ少年飛行兵タル者ハ陸軍航空通信学校所属ノ少年飛行兵ト為リタルモノトス