陸軍法務訓練所令
法令番号: 勅令第三百八號
公布年月日: 昭和17年3月31日
法令の形式: 勅令
朕陸軍法務訓練所令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年三月三十日
內閣總理大臣兼陸軍大臣 東條英機
勅令第三百八號
陸軍法務訓練所令
第一條 陸軍法務訓練所ハ法務部現役將校タル學生及法務部豫備役將校ト爲スベキ幹部候補生ヲ敎育スル所トス
第二條 學生ヲ分チテ左ノ二種トス
甲種學生 法務部ノ佐、尉官中銓衡ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ法務部ノ勤務ニ必要ナル高等ノ敎育ヲ受ケシム通常每年一囘入所セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス
乙種學生 陸軍補充令第五十一條ノ二ノ規定ニ依リ任官シタル法務中尉ヲ以テ之ニ充テ法務部ノ勤務ニ必要ナル實務ノ敎育ヲ受ケシム通常每年一囘入所セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ八月トス
第三條 幹部候補生ハ各隊ヨリ分遣スル法務部甲種幹部候補生ヲ以テ之ニ充テ豫備役法務部將校ニ必要ナル實務ノ敎育ヲ受ケシム通常每年一囘入所セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ十一月トス
第四條 學生及幹部候補生ノ敎育綱領ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五條 學生及幹部候補生ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ所長之ヲ定ム
第六條 陸軍法務訓練所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長
所附
敎官
下士官及判任文官
第七條 所長ハ陸軍大臣ニ隸シ所務ヲ總理ス
第八條 所附ハ所長ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第九條 敎官ハ所長ノ命ヲ承ケ敎育ヲ分擔ス
第十條 下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
第十一條 甲種學生ノ銓衡ニ關スル事項竝ニ學生及幹部候補生ノ人員及入所期日ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第十二條 學生ハ所外ニ、幹部候補生ハ陸軍大臣ノ定ムル部隊ニ居住セシメ其ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第十三條 學生及幹部候補生ノ願屆其ノ他業務ニ關スル諸件ハ所長ノ管理ニ屬ス
第十四條 學生及幹部候補生ハ情願ヲ以テ退所スルコトヲ得ズ
第十五條 學生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ學術修得ノ目途ナキ者ハ之ヲ退所セシム
第十六條 幹部候補生左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退所セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修學ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外豫備役將校タルニ適セズト認ムル者
第十七條 學生及幹部候補生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滯學セシムルコトヲ得
第十八條 前三條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ所長其ノ事由ヲ具シ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ處理ス
第十九條 所長ハ學生及幹部候補生ノ修學期末ニ於テ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍大臣ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ乙種學生及幹部候補生ニ修業證書ヲ付與シ學生及幹部候補生ヲ所屬部隊ニ歸隊セシム
前項ノ場合ニ於テ所長ハ學生及幹部候補生ノ修業成績書ヲ法務局長及本人ノ所管長官ヲ經テ所屬部隊長ニ送付スルモノトス
滯學セシメラレタル學生及幹部候補生修學ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第二十條 陸軍大臣ハ臨時ニ法務部將校、錄事及警査又ハ監獄長以下ヲ陸軍法務訓練所ニ召集シ所要ノ期間之ニ必要ナル修學ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十一條 所長ハ甲種學生ニ每年二十日以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕陸軍法務訓練所令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年三月三十日
内閣総理大臣兼陸軍大臣 東条英機
勅令第三百八号
陸軍法務訓練所令
第一条 陸軍法務訓練所ハ法務部現役将校タル学生及法務部予備役将校ト為スベキ幹部候補生ヲ教育スル所トス
第二条 学生ヲ分チテ左ノ二種トス
甲種学生 法務部ノ佐、尉官中銓衡ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ法務部ノ勤務ニ必要ナル高等ノ教育ヲ受ケシム通常毎年一回入所セシメ其ノ修学期間ハ概ネ一年トス
乙種学生 陸軍補充令第五十一条ノ二ノ規定ニ依リ任官シタル法務中尉ヲ以テ之ニ充テ法務部ノ勤務ニ必要ナル実務ノ教育ヲ受ケシム通常毎年一回入所セシメ其ノ修学期間ハ概ネ八月トス
第三条 幹部候補生ハ各隊ヨリ分遣スル法務部甲種幹部候補生ヲ以テ之ニ充テ予備役法務部将校ニ必要ナル実務ノ教育ヲ受ケシム通常毎年一回入所セシメ其ノ修学期間ハ概ネ十一月トス
第四条 学生及幹部候補生ノ教育綱領ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五条 学生及幹部候補生ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ所長之ヲ定ム
第六条 陸軍法務訓練所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長
所附
教官
下士官及判任文官
第七条 所長ハ陸軍大臣ニ隷シ所務ヲ総理ス
第八条 所附ハ所長ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第九条 教官ハ所長ノ命ヲ承ケ教育ヲ分担ス
第十条 下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ニ従事ス
第十一条 甲種学生ノ銓衡ニ関スル事項並ニ学生及幹部候補生ノ人員及入所期日ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第十二条 学生ハ所外ニ、幹部候補生ハ陸軍大臣ノ定ムル部隊ニ居住セシメ其ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第十三条 学生及幹部候補生ノ願届其ノ他業務ニ関スル諸件ハ所長ノ管理ニ属ス
第十四条 学生及幹部候補生ハ情願ヲ以テ退所スルコトヲ得ズ
第十五条 学生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ学術修得ノ目途ナキ者ハ之ヲ退所セシム
第十六条 幹部候補生左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退所セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修学ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外予備役将校タルニ適セズト認ムル者
第十七条 学生及幹部候補生中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滞学セシムルコトヲ得
第十八条 前三条ノ規定ニ該当スル者アルトキハ所長其ノ事由ヲ具シ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ処理ス
第十九条 所長ハ学生及幹部候補生ノ修学期末ニ於テ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍大臣ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ乙種学生及幹部候補生ニ修業証書ヲ付与シ学生及幹部候補生ヲ所属部隊ニ帰隊セシム
前項ノ場合ニ於テ所長ハ学生及幹部候補生ノ修業成績書ヲ法務局長及本人ノ所管長官ヲ経テ所属部隊長ニ送付スルモノトス
滞学セシメラレタル学生及幹部候補生修学ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第二十条 陸軍大臣ハ臨時ニ法務部将校、録事及警査又ハ監獄長以下ヲ陸軍法務訓練所ニ召集シ所要ノ期間之ニ必要ナル修学ヲ為サシムルコトヲ得
第二十一条 所長ハ甲種学生ニ毎年二十日以内ノ休暇ヲ与フルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行ス