(国民徴用令中改正ノ件)
法令番号: 勅令第六百七十四號
公布年月日: 昭和15年10月19日
法令の形式: 勅令
朕國民徵用令中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十六日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
厚生大臣 金光庸夫
拓務大臣 秋田淸
勅令第六百七十四號
國民徵用令中左ノ通改正ス
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四條ノ規定ニ基ク帝國臣民ノ徵用及國家總動員法第六條ノ規定ニ基ク被徵用者ノ使用又ハ賃金其ノ他ノ勞働條件ニ關スル命令ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第三條ニ左ノ一項ヲ加フ
軍事上特ニ必要アル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ムル所ニ依リ要申吿者以外ノ者ヲ徵用スルコトヲ得
第四條 本令ニ依リ徵用スル者ハ國ノ行フ總動員業務又ハ工場事業場管理令ニ依リ政府ノ管理スル工場事業場其ノ他ノ施設(以下管理工場ト稱ス)ニ於テ行フ管理ノ目的タル總動員業務ニ從事セシムルモノトス
第六條 總動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及學校ヲ含ム以下同ジ)ノ所管大臣又ハ管理工場ノ事業主徵用ニ依リ人員ノ配置ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
前項ノ規定ニ依リ管理工場ノ事業主ノ爲ス申請ハ當該管理工場ヲ管理スル主務大臣ヲ經由スベシ
第七條第一項中「請求」ノ下ニ「又ハ申請」ヲ加ヘ同項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
徵用セラルベキ者其ノ居住ノ場所(國民職業能力申吿令第二條第一號ノ職業ニ從事スル場合ニ於テハ就業ノ場所)ニ異動ヲ生ジ國民職業能力申吿令第四條第一項後段又ハ第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ爲サザル場合ニ於テ前後ノ居住地(國民職業能力申吿令第二條第一號ノ職業ニ從事スル者ニ付テハ就業地)ヲ管轄スル地方長官ヲ異ニスルトキハ厚生大臣ハ前項ノ規定ニ拘ラズ前ノ居住地(國民職業能力申吿令第二條第一號ノ職業ニ從事スル者ニ付テハ就業地)ヲ管轄スル地方長官ニ徵用命令ヲ通達スベシ
第八條第二號中「官衙」ノ下ニ「又ハ管理工場」ヲ加フ
第十二條 被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣又ハ管理工場ノ事業主被徵用者ヲ使用スル官衙若ハ管理工場、被徵用者ノ從事スル總動員業務、職業若ハ場所又ハ徵用ノ期間ニ付變更ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第十三條 厚生大臣前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ被徵用者ヲ使用スル官衙若ハ管理工場、被徵用者ノ從事スル總動員業務、職業若ハ場所又ハ徵用ノ期間ヲ變更スルコトヲ得
第十四條第一項中「所管大臣」ノ下ニ「又ハ管理工場ノ事業主」ヲ、「請求」ノ下ニ「又ハ申請」ヲ加ヘ同條第二項中「被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣」ヲ「官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ所管大臣ニ、管理工場ニ使用セラルル者ニ在リテハ厚生大臣」ニ改ム
第十五條中「請求」ノ下ニ「又ハ申請」ヲ加ヘ同條第二項中「被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣ト協議シ」ヲ削リ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
厚生大臣前項ノ規定ニ依リ官衙ニ使用セラルル者ノ徵用ヲ解除セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十七條 被徵用者總動員業務ニ從事スル場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ管理工場ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該管理工場ノ事業主ノ指示ニ從フベシ
第十八條第一項中「之ヲ支給ス」ヲ「被徵用者ヲ使用スル官衙ノ長又ハ事業主之ヲ支給スルモノトス」ニ改メ同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
被徵用者ニ對スル給與ニ關シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ管理工場ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該管理工場ノ事業主厚生大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ムベシ
第十九條 徵用セラルベキ者第十條ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費ハ地方長官之ヲ支給ス
管理工場ニ配置セラルル爲第十條ノ規定ニ依リ出頭シタル者ニ對シ前項ノ規定ニ依リ支給シタル旅費ノ額ハ當該管理工場ノ事業主國庫ニ之ヲ納入スベシ
被徵用者徵用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合又ハ徵用ヲ解除セラレ歸鄕スル場合ノ旅費ハ被徵用者ヲ使用スル官衙ノ長又ハ事業主之ヲ支給スルモノトス
第一項及前項ノ場合ニ於テ前金拂ヲ爲スニ非ザレバ出頭スルコト能ハザル者ノ旅費ハ其ノ者ノ居住地ノ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支辨スベシ
徵用セラルベキ者第十條ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支辨ニ關シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
被徵用者徵用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支辨竝ニ徵用ヲ解除セラレ歸鄕スル場合ノ旅費ニ關シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ管理工場ニ使用セラルル者ニ關シテハ厚生大臣之ヲ定ム
第十九條ノ二 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ被徵用者ヲ使用スル管理工場ノ事業主ニ對シ被徵用者ノ使用又ハ賃金其ノ他ノ勞働條件ニ關シ命令ヲ爲スコトヲ得
第二十五條第一項中「總動員業務ヲ行フ官衙ノ所管大臣又ハ被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣トアルハ其ノ官衙ノ所管大臣ガ」ヲ「總動員業務ヲ行フ官衙ノ所管大臣、被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣若ハ當該官衙ノ所管大臣又ハ當該管理工場ヲ管理スル主務大臣トアルハ官衙ノ所管大臣又ハ主務大臣ガ」ニ改ム
附 則
本令ハ昭和十五年十月二十日ヨリ之ヲ施行ス
朕国民徴用令中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十六日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
厚生大臣 金光庸夫
拓務大臣 秋田清
勅令第六百七十四号
国民徴用令中左ノ通改正ス
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四条ノ規定ニ基ク帝国臣民ノ徴用及国家総動員法第六条ノ規定ニ基ク被徴用者ノ使用又ハ賃金其ノ他ノ労働条件ニ関スル命令ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第三条ニ左ノ一項ヲ加フ
軍事上特ニ必要アル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ムル所ニ依リ要申告者以外ノ者ヲ徴用スルコトヲ得
第四条 本令ニ依リ徴用スル者ハ国ノ行フ総動員業務又ハ工場事業場管理令ニ依リ政府ノ管理スル工場事業場其ノ他ノ施設(以下管理工場ト称ス)ニ於テ行フ管理ノ目的タル総動員業務ニ従事セシムルモノトス
第六条 総動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及学校ヲ含ム以下同ジ)ノ所管大臣又ハ管理工場ノ事業主徴用ニ依リ人員ノ配置ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
前項ノ規定ニ依リ管理工場ノ事業主ノ為ス申請ハ当該管理工場ヲ管理スル主務大臣ヲ経由スベシ
第七条第一項中「請求」ノ下ニ「又ハ申請」ヲ加ヘ同項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
徴用セラルベキ者其ノ居住ノ場所(国民職業能力申告令第二条第一号ノ職業ニ従事スル場合ニ於テハ就業ノ場所)ニ異動ヲ生ジ国民職業能力申告令第四条第一項後段又ハ第二項ノ規定ニ依ル申告ヲ為サザル場合ニ於テ前後ノ居住地(国民職業能力申告令第二条第一号ノ職業ニ従事スル者ニ付テハ就業地)ヲ管轄スル地方長官ヲ異ニスルトキハ厚生大臣ハ前項ノ規定ニ拘ラズ前ノ居住地(国民職業能力申告令第二条第一号ノ職業ニ従事スル者ニ付テハ就業地)ヲ管轄スル地方長官ニ徴用命令ヲ通達スベシ
第八条第二号中「官衙」ノ下ニ「又ハ管理工場」ヲ加フ
第十二条 被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣又ハ管理工場ノ事業主被徴用者ヲ使用スル官衙若ハ管理工場、被徴用者ノ従事スル総動員業務、職業若ハ場所又ハ徴用ノ期間ニ付変更ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第十三条 厚生大臣前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ被徴用者ヲ使用スル官衙若ハ管理工場、被徴用者ノ従事スル総動員業務、職業若ハ場所又ハ徴用ノ期間ヲ変更スルコトヲ得
第十四条第一項中「所管大臣」ノ下ニ「又ハ管理工場ノ事業主」ヲ、「請求」ノ下ニ「又ハ申請」ヲ加ヘ同条第二項中「被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣」ヲ「官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ所管大臣ニ、管理工場ニ使用セラルル者ニ在リテハ厚生大臣」ニ改ム
第十五条中「請求」ノ下ニ「又ハ申請」ヲ加ヘ同条第二項中「被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣ト協議シ」ヲ削リ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
厚生大臣前項ノ規定ニ依リ官衙ニ使用セラルル者ノ徴用ヲ解除セントスルトキハ当該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十七条 被徴用者総動員業務ニ従事スル場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ管理工場ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該管理工場ノ事業主ノ指示ニ従フベシ
第十八条第一項中「之ヲ支給ス」ヲ「被徴用者ヲ使用スル官衙ノ長又ハ事業主之ヲ支給スルモノトス」ニ改メ同条第二項ヲ左ノ如ク改ム
被徴用者ニ対スル給与ニ関シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ管理工場ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該管理工場ノ事業主厚生大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ムベシ
第十九条 徴用セラルベキ者第十条ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費ハ地方長官之ヲ支給ス
管理工場ニ配置セラルル為第十条ノ規定ニ依リ出頭シタル者ニ対シ前項ノ規定ニ依リ支給シタル旅費ノ額ハ当該管理工場ノ事業主国庫ニ之ヲ納入スベシ
被徴用者徴用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合又ハ徴用ヲ解除セラレ帰郷スル場合ノ旅費ハ被徴用者ヲ使用スル官衙ノ長又ハ事業主之ヲ支給スルモノトス
第一項及前項ノ場合ニ於テ前金払ヲ為スニ非ザレバ出頭スルコト能ハザル者ノ旅費ハ其ノ者ノ居住地ノ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支弁スベシ
徴用セラルベキ者第十条ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支弁ニ関シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
被徴用者徴用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支弁並ニ徴用ヲ解除セラレ帰郷スル場合ノ旅費ニ関シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ管理工場ニ使用セラルル者ニ関シテハ厚生大臣之ヲ定ム
第十九条ノ二 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ被徴用者ヲ使用スル管理工場ノ事業主ニ対シ被徴用者ノ使用又ハ賃金其ノ他ノ労働条件ニ関シ命令ヲ為スコトヲ得
第二十五条第一項中「総動員業務ヲ行フ官衙ノ所管大臣又ハ被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣トアルハ其ノ官衙ノ所管大臣ガ」ヲ「総動員業務ヲ行フ官衙ノ所管大臣、被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣若ハ当該官衙ノ所管大臣又ハ当該管理工場ヲ管理スル主務大臣トアルハ官衙ノ所管大臣又ハ主務大臣ガ」ニ改ム
附 則
本令ハ昭和十五年十月二十日ヨリ之ヲ施行ス