(臨時利得税法中改正法律)
法令番号: 法律第三十二號
公布年月日: 昭和15年3月29日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル臨時利得稅法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
法律第三十二號
臨時利得稅法中左ノ通改正ス
第三條第一項第二號ヲ左ノ如ク改メ同條第二項ヲ削ル
二 所得稅法第十條ニ揭グル營業ニ因ル個人ノ利得(營業利得ト稱ス以下同ジ)
第四條 法人ノ現事業年度ノ利益ガ現事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ以テ法人ノ利得トス
第四條ノ二乃至第四條ノ四ヲ削ル
第五條 法人ノ現事業年度ノ利益ハ現事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ相互保險會社及會員組織ノ取引所ニ在リテハ現事業年度ノ剩餘金ニ依ル
法人ガ現事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベキ法人稅及臨時利得稅竝ニ當該事業年度ニ於テ納付シタル分類所得稅ニシテ法人稅法第十六條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法人稅額ヨリ控除スベキモノハ前項ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ現事業年度開始ノ日前三年以內ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前二項ノ規定ハ相互保險會社又ハ會員組織ノ取引所ノ剩餘金ノ計算ニ付之ヲ準用ス
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ノ利益ハ本法施行地ニ於ケル資產又ハ營業ニ付前四項ノ規定ニ準ジ之ヲ計算ス
第五條ノ二 法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第五條ノ三 所得稅法第六條及第七條ノ規定ハ臨時利得稅ノ賦課ニ付之ヲ準用ス
信託會社ノ現事業年度ノ利益ノ計算ニ付テハ合同運用信託ニ因ル收入及支出ハ其ノ總益金及總損金ヨリ各之ヲ控除ス
第六條第一項ヲ左ノ如ク改メ同條第二項及第四項ヲ削ル
法人ノ現事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル拂込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
第七條 本法ニ於テ積立金額トハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各事業年度ノ利益中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
法人稅及臨時利得稅トシテ納付スベキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セズ
第九條 個人ノ利益ガ昭和十一年以前三年ノ平均利益ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ營業利得トス
第九條ノ二 前條ノ規定ニ依リ營業利得ヲ計算スル場合ニ於テ昭和十一年以前三年ノ平均利益ガ七千圓又ハ現年ノ利益ノ三分ノ一ニ相當スル金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ニ達セザルトキハ其ノ多額ナル一方ノ金額ヲ以テ平均利益トス
第九條ノ三及第九條ノ四ヲ削ル
第十條 個人ノ利益ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費(收入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子ヲ含ム以下同ジ)ヲ控除シタル金額ニ依ル
所得稅及臨時利得稅ハ前項ノ必要ノ經費ニ之ヲ算入セズ
相續シタル營業ニ付テハ相續人ガ引續キ之ヲ爲シタルモノト看做シテ其ノ利益ヲ計算ス
營業ヲ讓渡シ又ハ廢止シタル後相續ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相續人ノ營業利得ハ相續人ノ營業利得ト看做ス
第十一條 個人ノ利益ガ一萬圓未滿ナルトキハ營業利得ニ對スル臨時利得稅ヲ課セズ
第十二條 營利ヲ目的トセザル法人ニシテ法人稅法其ノ他ノ法律ニ依リ法人稅ヲ課セラレザルモノニハ臨時利得稅ヲ課セズ
第十四條 法人ノ臨時利得稅ハ法人ノ利得ヲ左ノ部分ニ區分シ各部分ニ付左ノ稅率ヲ適用シテ之ヲ賦課ス
一 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ旣往事業年度ノ平均利益率ヲ乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ二十五
二 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ旣往事業年度ノ平均利益率ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ四十五
三 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ六十五
現事業年度ノ資本金額十萬圓以下ナル法人ニ限リ前項ニ規定スル稅率百分ノ二十五ハ之ヲ百分ノ十五トシ同百分ノ四十五ハ之ヲ百分ノ三十五トシ同百分ノ六十五ハ之ヲ百分ノ五十五トス
第十四條ノ二 前條ノ規定ニ依リ現事業年度ノ資本金額ニ乘ズベキ旣往事業年度ノ平均利益率ハ昭和十一年十二月三十一日以前三年內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益ノ平均資本金額ニ對スル割合トス但シ其ノ割合ガ年百分ノ十未滿ナルトキ又ハ法人ノ第一次事業年度ガ昭和十二年一月一日以後ニ終了シタルトキハ其ノ割合ヲ年百分ノ十トシ其ノ割合ガ年百分ノ二十ヲ超ユルトキハ之ヲ年百分ノ二十トス
第五條(第二項及第三項ヲ除ク)乃至第六條及第七條第一項ノ規定ハ前項ノ平均利益及平均資本金額算出ノ基礎タル昭和十一年十二月三十一日以前三年內ニ終了シタル各事業年度ノ利益及資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ當該事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベカリシ第一種所得稅、第一種所得稅附加稅、命令ヲ以テ指定スル第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅及臨時利得稅竝ニ當該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得稅ニシテ所得稅法ニ依リ其ノ額ヲ第一種所得稅額ヨリ控除シタルモノハ當該事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
第十四條ノ三 前條第一項ノ規定ニ依ル旣往事業年度ノ平均利益率ガ年百分ノ十ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額中ニ增加資本金額アルトキハ同項ノ規定ニ拘ラズ現事業年度ノ資本金額中增加資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ト增加資本金額以外ノ部分ニ同項ノ規定ニ依ル旣往事業年度ノ平均利益率ニ相當スル割合ヲ乘ジテ算出シタル金額トノ合計額ノ現事業年度ノ資本金額ニ對スル割合ヲ以テ旣往事業年度ノ平均利益率トス
前項ノ增加資本金額トハ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額又ハ同日以前三年內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過額ヲ謂フ
昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル拂込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第六條第二項ノ規定ハ前項ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十四條ノ四 法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ昭和十一年十二月三十一日以前三年內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益及平均資本金額竝ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第十四條ノ五 個人ノ臨時利得稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
營業利得 利得金額ノ百分ノ三十
讓渡利得 利得金額ノ百分ノ二十五
第十六條第一項中「甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ改ム
第十七條第一項及第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ノ金額」ヲ「營業利得金額」ニ改ム
第十七條第三項及第十八條中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ改ム
第十九條中「第五十條乃至第五十二條」ヲ「第三十七條、第三十八條及第六十三條」ニ改ム
第二十二條第二項中「第五十二條及第六十一條第二項」ヲ「第三十八條及第六十八條第二項」ニ改ム
第二十三條 削除
第二十四條 削除
第二十四條ノ二ヲ削ル
第二十五條 第二十二條ノ決定ニ對シ不服アル者ハ訴願ヲ爲シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十六條第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ、「七月一日」ヲ「八月一日」ニ改ム
第二十七條第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ改ム
第三十條中「所得稅法第五十七條、第五十八條、第七十條及第七十二條乃至第七十三條ノ二」ヲ「所得稅法第三十六條第四項、第三十九條第二項、第七十五條、第七十六條、第八十一條、第八十二條及第八十四條乃至第八十六條竝ニ法人稅法第二十八條」ニ改ム
第三十一條 朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ利得ニ付テハ臨時利得稅ヲ課セズ
第八條ノ規定ハ朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ト合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル場合ニ付之ヲ準用ス
朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ利得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ臨時利得稅ヲ課セズ
第三十二條中「及營業收益稅」ヲ「、法人稅及營業稅」ニ改ム
附則第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ改ム
附 則
第一條 本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二條 法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十五年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、營業利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭和十五年分ヨリ本法ヲ適用ス
第三條 昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度分ノ第一種所得稅、第一種所得稅附加稅、法人資本稅及命令ヲ以テ指定スル第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅ハ之ヲ法人稅ト看做シ當該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得稅及資本利子稅ニシテ法人稅法第三十八條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法人稅額ヨリ控除スベキモノハ之ヲ分類所得稅ト看做シ第五條第二項ノ改正規定ヲ適用ス
法人ガ本法施行前ニ合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ合併ノ日ヲ含ム事業年度ガ本法施行後ニ終了スル場合ニ於ケル合併ニ因リ消滅シタル法人ノ最後ノ事業年度分ノ第一種所得稅、第一種所得稅附加稅、法人資本稅及命令ヲ以テ指定スル第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅竝ニ淸算所得ニ對スル第一種所得稅及第一種所得稅附加稅ハ之ヲ法人稅ト看做シ第五條第二項ノ改正規定ヲ適用ス
第四條 本法施行後終了スル事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得稅及資本利子稅ニシテ法人稅法第三十八條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法人稅額ヨリ控除スベキモノハ之ヲ分類所得稅ト看做シ第五條第二項ノ改正規定ヲ適用ス
第五條 昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年度分ノ臨時利得稅ハ第五條第二項ノ改正規定ニ拘ラズ法人ノ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第六條 昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引續キ爲シタルニ非ザル營業ニ因ル個人ノ利得ニ付テハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十五年分又ハ昭和十六年分ニ限リ臨時利得稅ヲ輕減若ハ免除シ又ハ營業利得金額ノ計算ニ關シ特例ヲ設クルコトヲ得
第七條 第十六條ノ改正規定中三月十五日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月十五日トス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル臨時利得税法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
法律第三十二号
臨時利得税法中左ノ通改正ス
第三条第一項第二号ヲ左ノ如ク改メ同条第二項ヲ削ル
二 所得税法第十条ニ掲グル営業ニ因ル個人ノ利得(営業利得ト称ス以下同ジ)
第四条 法人ノ現事業年度ノ利益ガ現事業年度ノ資本金額ニ対シ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ以テ法人ノ利得トス
第四条ノ二乃至第四条ノ四ヲ削ル
第五条 法人ノ現事業年度ノ利益ハ現事業年度ノ総益金ヨリ総損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ相互保険会社及会員組織ノ取引所ニ在リテハ現事業年度ノ剰余金ニ依ル
法人ガ現事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベキ法人税及臨時利得税並ニ当該事業年度ニ於テ納付シタル分類所得税ニシテ法人税法第十六条ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法人税額ヨリ控除スベキモノハ前項ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ現事業年度開始ノ日前三年以内ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前二項ノ規定ハ相互保険会社又ハ会員組織ノ取引所ノ剰余金ノ計算ニ付之ヲ準用ス
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ノ利益ハ本法施行地ニ於ケル資産又ハ営業ニ付前四項ノ規定ニ準ジ之ヲ計算ス
第五条ノ二 法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第五条ノ三 所得税法第六条及第七条ノ規定ハ臨時利得税ノ賦課ニ付之ヲ準用ス
信託会社ノ現事業年度ノ利益ノ計算ニ付テハ合同運用信託ニ因ル収入及支出ハ其ノ総益金及総損金ヨリ各之ヲ控除ス
第六条第一項ヲ左ノ如ク改メ同条第二項及第四項ヲ削ル
法人ノ現事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル払込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
第七条 本法ニ於テ積立金額トハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各事業年度ノ利益中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
法人税及臨時利得税トシテ納付スベキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セズ
第九条 個人ノ利益ガ昭和十一年以前三年ノ平均利益ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ営業利得トス
第九条ノ二 前条ノ規定ニ依リ営業利得ヲ計算スル場合ニ於テ昭和十一年以前三年ノ平均利益ガ七千円又ハ現年ノ利益ノ三分ノ一ニ相当スル金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ニ達セザルトキハ其ノ多額ナル一方ノ金額ヲ以テ平均利益トス
第九条ノ三及第九条ノ四ヲ削ル
第十条 個人ノ利益ハ前年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費(収入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子ヲ含ム以下同ジ)ヲ控除シタル金額ニ依ル
所得税及臨時利得税ハ前項ノ必要ノ経費ニ之ヲ算入セズ
相続シタル営業ニ付テハ相続人ガ引続キ之ヲ為シタルモノト看做シテ其ノ利益ヲ計算ス
営業ヲ譲渡シ又ハ廃止シタル後相続ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相続人ノ営業利得ハ相続人ノ営業利得ト看做ス
第十一条 個人ノ利益ガ一万円未満ナルトキハ営業利得ニ対スル臨時利得税ヲ課セズ
第十二条 営利ヲ目的トセザル法人ニシテ法人税法其ノ他ノ法律ニ依リ法人税ヲ課セラレザルモノニハ臨時利得税ヲ課セズ
第十四条 法人ノ臨時利得税ハ法人ノ利得ヲ左ノ部分ニ区分シ各部分ニ付左ノ税率ヲ適用シテ之ヲ賦課ス
一 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乗ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ二十五
二 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ四十五
三 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ対シ年百分ノ三十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ六十五
現事業年度ノ資本金額十万円以下ナル法人ニ限リ前項ニ規定スル税率百分ノ二十五ハ之ヲ百分ノ十五トシ同百分ノ四十五ハ之ヲ百分ノ三十五トシ同百分ノ六十五ハ之ヲ百分ノ五十五トス
第十四条ノ二 前条ノ規定ニ依リ現事業年度ノ資本金額ニ乗ズベキ既往事業年度ノ平均利益率ハ昭和十一年十二月三十一日以前三年内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益ノ平均資本金額ニ対スル割合トス但シ其ノ割合ガ年百分ノ十未満ナルトキ又ハ法人ノ第一次事業年度ガ昭和十二年一月一日以後ニ終了シタルトキハ其ノ割合ヲ年百分ノ十トシ其ノ割合ガ年百分ノ二十ヲ超ユルトキハ之ヲ年百分ノ二十トス
第五条(第二項及第三項ヲ除ク)乃至第六条及第七条第一項ノ規定ハ前項ノ平均利益及平均資本金額算出ノ基礎タル昭和十一年十二月三十一日以前三年内ニ終了シタル各事業年度ノ利益及資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ当該事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベカリシ第一種所得税、第一種所得税附加税、命令ヲ以テ指定スル第一種所得税附加税ニ相当スル租税及臨時利得税並ニ当該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得税ニシテ所得税法ニ依リ其ノ額ヲ第一種所得税額ヨリ控除シタルモノハ当該事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
第十四条ノ三 前条第一項ノ規定ニ依ル既往事業年度ノ平均利益率ガ年百分ノ十ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額中ニ増加資本金額アルトキハ同項ノ規定ニ拘ラズ現事業年度ノ資本金額中増加資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ト増加資本金額以外ノ部分ニ同項ノ規定ニ依ル既往事業年度ノ平均利益率ニ相当スル割合ヲ乗ジテ算出シタル金額トノ合計額ノ現事業年度ノ資本金額ニ対スル割合ヲ以テ既往事業年度ノ平均利益率トス
前項ノ増加資本金額トハ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額又ハ同日以前三年内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過額ヲ謂フ
昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル払込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第六条第二項ノ規定ハ前項ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第十四条ノ四 法人合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ昭和十一年十二月三十一日以前三年内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益及平均資本金額並ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第十四条ノ五 個人ノ臨時利得税ハ左ノ税率ニ依リ之ヲ賦課ス
営業利得 利得金額ノ百分ノ三十
譲渡利得 利得金額ノ百分ノ二十五
第十六条第一項中「甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「営業利得」ニ改ム
第十七条第一項及第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得ノ金額」ヲ「営業利得金額」ニ改ム
第十七条第三項及第十八条中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「営業利得」ニ改ム
第十九条中「第五十条乃至第五十二条」ヲ「第三十七条、第三十八条及第六十三条」ニ改ム
第二十二条第二項中「第五十二条及第六十一条第二項」ヲ「第三十八条及第六十八条第二項」ニ改ム
第二十三条 削除
第二十四条 削除
第二十四条ノ二ヲ削ル
第二十五条 第二十二条ノ決定ニ対シ不服アル者ハ訴願ヲ為シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十六条第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「営業利得」ニ、「七月一日」ヲ「八月一日」ニ改ム
第二十七条第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「営業利得」ニ改ム
第三十条中「所得税法第五十七条、第五十八条、第七十条及第七十二条乃至第七十三条ノ二」ヲ「所得税法第三十六条第四項、第三十九条第二項、第七十五条、第七十六条、第八十一条、第八十二条及第八十四条乃至第八十六条並ニ法人税法第二十八条」ニ改ム
第三十一条 朝鮮、台湾、関東州又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ利得ニ付テハ臨時利得税ヲ課セズ
第八条ノ規定ハ朝鮮、台湾、関東州又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ト合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル場合ニ付之ヲ準用ス
朝鮮、台湾又ハ樺太ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ利得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ臨時利得税ヲ課セズ
第三十二条中「及営業収益税」ヲ「、法人税及営業税」ニ改ム
附則第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種利得」ヲ「営業利得」ニ改ム
附 則
第一条 本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二条 法人ノ臨時利得税ニ付テハ昭和十五年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、営業利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ昭和十五年分ヨリ本法ヲ適用ス
第三条 昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度分ノ第一種所得税、第一種所得税附加税、法人資本税及命令ヲ以テ指定スル第一種所得税附加税ニ相当スル租税ハ之ヲ法人税ト看做シ当該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得税及資本利子税ニシテ法人税法第三十八条ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法人税額ヨリ控除スベキモノハ之ヲ分類所得税ト看做シ第五条第二項ノ改正規定ヲ適用ス
法人ガ本法施行前ニ合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ合併ノ日ヲ含ム事業年度ガ本法施行後ニ終了スル場合ニ於ケル合併ニ因リ消滅シタル法人ノ最後ノ事業年度分ノ第一種所得税、第一種所得税附加税、法人資本税及命令ヲ以テ指定スル第一種所得税附加税ニ相当スル租税並ニ清算所得ニ対スル第一種所得税及第一種所得税附加税ハ之ヲ法人税ト看做シ第五条第二項ノ改正規定ヲ適用ス
第四条 本法施行後終了スル事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得税及資本利子税ニシテ法人税法第三十八条ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法人税額ヨリ控除スベキモノハ之ヲ分類所得税ト看做シ第五条第二項ノ改正規定ヲ適用ス
第五条 昭和十五年四月一日ヲ含ム事業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年度分ノ臨時利得税ハ第五条第二項ノ改正規定ニ拘ラズ法人ノ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第六条 昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引続キ為シタルニ非ザル営業ニ因ル個人ノ利得ニ付テハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十五年分又ハ昭和十六年分ニ限リ臨時利得税ヲ軽減若ハ免除シ又ハ営業利得金額ノ計算ニ関シ特例ヲ設クルコトヲ得
第七条 第十六条ノ改正規定中三月十五日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月十五日トス