近年、怪文書の横行が著しく、その内容も悪質化している。これらは人心を惑乱し、軍の秩序を乱し、財界を撹乱するなど、治安維持上の重大な支障となっている。特に先般の事変後、徹底的な防遏の必要性が痛感される。そこで、社会人心の不安を惹起し治安維持に重大な妨げとなる不穏な出版物を取り締まるため、本法案を提出する。本法は一般言論の取締法とは別の特別法として制定し、悪質な目的や秘密手段による不穏文書等の取締りを厳重に行うことを目的とする。特に、発行責任者の虚偽記載や無記載、納本義務違反など秘密出版に対しては厳罰で臨む方針である。
参照した発言:
第69回帝国議会 衆議院 不穏文書等取締法案委員会 第2号