(不動産登記法中改正法律)
法令番号: 法律第20号
公布年月日: 昭和6年3月30日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

抵当証券法の制定に伴い、不動産登記法の改正が必要となったため本改正案を提出するものである。現在の不動産金融では、不動産を担保とする債務総額が62億円を超える一方で、抵当債権者が債権を資金化する際の有効な方法が不足している。そこで抵当証券制度を創設し、不動産抵当付債権の証券化を図ることで、固定化しやすい不動産貸出の欠点を除去し、不動産金融の利便性向上を目指すこととなった。これに関連して不動産登記法の改正が必要となったものである。

参照した発言:
第59回帝国議会 衆議院 本会議 第16号

審議経過

第59回帝国議会

衆議院
本会議 - 第16号
(昭和6年2月19日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第2号
(昭和6年2月23日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第3号
(昭和6年2月24日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第4号
(昭和6年2月25日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第5号
(昭和6年2月26日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第6号
(昭和6年2月27日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第7号
(昭和6年3月2日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第8号
(昭和6年3月3日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第9号
(昭和6年3月4日)
抵当証券法案外九件委員会 - 第10号
(昭和6年3月5日)
本会議 - 第24号
(昭和6年3月7日)
貴族院
本会議 - 第29号
(昭和6年3月9日)
抵当証券法案特別委員会 - 第1号
(昭和6年3月13日)
抵当証券法案特別委員会 - 第2号
(昭和6年3月16日)
抵当証券法案特別委員会 - 第3号
(昭和6年3月17日)
抵当証券法案特別委員会 - 第4号
(昭和6年3月19日)
本会議 - 第37号
(昭和6年3月23日)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル不動產登記法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年三月二十八日
內閣總理大臣　濱口雄幸
司法大臣　子爵　渡邊千冬
法律第二十號
不動產登記法中左ノ通改正ス
第二十八條ニ左ノ一項ヲ加フ
抵當證券ノ發行アリタル場合ニ於テハ債務者ノ表示ノ變更登記ハ債務者ノミニテ之ヲ申請スルコトヲ得
第四十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第二十八條第二項ノ規定ニ依ル變更登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
第五十六條中「其登記ヲ爲ス」ヲ「其登記ヲ爲ス尙權利ノ變更ノ登記ニ付キ利害ノ關係ヲ有スル抵當證券ノ所持人又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ對抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
抵當證券ノ發行アリタル場合ニ於テハ其抵當權ノ變更登記ノ申請書ニ抵當證券ヲ添附スルコトヲ要ス
第六十五條中「添附スルコトヲ要ス」ヲ「添附スルコトヲ要ス尙登記ノ囘復ニ付キ利害ノ關係ヲ有スル抵當證券ノ所持人又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ對抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改ム
第七十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
登記官吏ハ囘復ノ登記ヲ爲ス場合ニ於テ前登記ニ付キ職權ヲ以テ記載シタル事項アリタルコトヲ發見シタルトキハ其事項ヲモ記載スルコトヲ要ス
第八十一條中「添附スルコトヲ要ス」ヲ「添附スルコトヲ要ス尙抵當證券ノ發行アリタル場合ニ於テハ其所持人又ハ裏書人ノ承諾書又ハ之ニ對抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
第五十六條第二項ノ規定ハ抵當證券ノ發行アリタル場合ニ於ケル前項ノ申請ニ之ヲ準用ス
第百十七條中「其發生期若クハ支拂時期ノ定アルトキ、」ノ下ニ「元本若クハ利息ノ支拂場所ノ定アルトキ、」ヲ加ヘ「又ハ民法第三百七十條ノ但書ノ定」ヲ「、民法第三百七十條但書ノ定アルトキ又ハ抵當證券發行ノ定」ニ改ム
第百十九條ノ二　抵當證券ノ發行アル抵當權ノ目的物ノ讓渡ニ因ル移轉ノ登記ヲ爲シタルトキ又ハ抵當權ノ目的物ノ讓渡ニ因ル移轉ノ登記ヲ爲シタル後抵當證券ノ發行アリタルトキハ抵當權設定者ハ其氏名、住所ノ登記ヲ申請スルコトヲ得但抵當權設定者カ債務者ニ非サルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ登記ハ抵當權設定ノ登記ニ附記シテ之ヲ爲ス
第百二十六條ノ三　登記官吏カ抵當證券ヲ交付シタルトキハ職權ヲ以テ抵當權設定ノ登記ニ其旨ヲ附記スルコトヲ要ス
第百二十六條ノ四　登記官吏カ抵當證券法第五條第二項ノ囑託ニ因リ抵當證券ヲ作成シタルトキハ職權ヲ以テ抵當權設定ノ登記ニ其旨ヲ附記スルコトヲ要ス
抵當證券法第一條第二項ノ申請アリタル場合ニ於テ登記官吏カ抵當證券ヲ交付シタルトキハ他ノ登記所ニ前條ノ登記ヲ囑託スルコトヲ要ス其申請ヲ却下シタルトキハ前項ノ規定ニ依ル登記ノ抹消ヲ囑託スルコトヲ要ス
第百二十六條ノ五　前條第一項ノ規定ニ依ル登記アリタル不動產ニ付キ同條第二項ノ囑託ニ因リ抵當證券交付ノ登記ヲ爲シタルトキハ其登記ハ同條第一項ノ規定ニ依ル登記ノ時ニ遡リテ其效力ヲ生ス
第百四十六條中「添附スルコトヲ要ス」ヲ「添附スルコトヲ要ス尙登記ノ抹消ニ付キ利害ノ關係ヲ有スル抵當證券ノ所持人又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ對抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
抵當證券ノ發行アリタル場合ニ於テハ其抵當權ノ抹消ノ登記ノ申請書ニ抵當證券ヲ添附スルコトヲ要ス
附　則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル不動産登記法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年三月二十八日
内閣総理大臣　浜口雄幸
司法大臣　子爵　渡辺千冬
法律第二十号
不動産登記法中左ノ通改正ス
第二十八条ニ左ノ一項ヲ加フ
抵当証券ノ発行アリタル場合ニ於テハ債務者ノ表示ノ変更登記ハ債務者ノミニテ之ヲ申請スルコトヲ得
第四十三条ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第二十八条第二項ノ規定ニ依ル変更登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
第五十六条中「其登記ヲ為ス」ヲ「其登記ヲ為ス尚権利ノ変更ノ登記ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル抵当証券ノ所持人又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
抵当証券ノ発行アリタル場合ニ於テハ其抵当権ノ変更登記ノ申請書ニ抵当証券ヲ添附スルコトヲ要ス
第六十五条中「添附スルコトヲ要ス」ヲ「添附スルコトヲ要ス尚登記ノ回復ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル抵当証券ノ所持人又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改ム
第七十一条ニ左ノ一項ヲ加フ
登記官吏ハ回復ノ登記ヲ為ス場合ニ於テ前登記ニ付キ職権ヲ以テ記載シタル事項アリタルコトヲ発見シタルトキハ其事項ヲモ記載スルコトヲ要ス
第八十一条中「添附スルコトヲ要ス」ヲ「添附スルコトヲ要ス尚抵当証券ノ発行アリタル場合ニ於テハ其所持人又ハ裏書人ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
第五十六条第二項ノ規定ハ抵当証券ノ発行アリタル場合ニ於ケル前項ノ申請ニ之ヲ準用ス
第百十七条中「其発生期若クハ支払時期ノ定アルトキ、」ノ下ニ「元本若クハ利息ノ支払場所ノ定アルトキ、」ヲ加ヘ「又ハ民法第三百七十条ノ但書ノ定」ヲ「、民法第三百七十条但書ノ定アルトキ又ハ抵当証券発行ノ定」ニ改ム
第百十九条ノ二　抵当証券ノ発行アル抵当権ノ目的物ノ譲渡ニ因ル移転ノ登記ヲ為シタルトキ又ハ抵当権ノ目的物ノ譲渡ニ因ル移転ノ登記ヲ為シタル後抵当証券ノ発行アリタルトキハ抵当権設定者ハ其氏名、住所ノ登記ヲ申請スルコトヲ得但抵当権設定者カ債務者ニ非サルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ登記ハ抵当権設定ノ登記ニ附記シテ之ヲ為ス
第百二十六条ノ三　登記官吏カ抵当証券ヲ交付シタルトキハ職権ヲ以テ抵当権設定ノ登記ニ其旨ヲ附記スルコトヲ要ス
第百二十六条ノ四　登記官吏カ抵当証券法第五条第二項ノ嘱託ニ因リ抵当証券ヲ作成シタルトキハ職権ヲ以テ抵当権設定ノ登記ニ其旨ヲ附記スルコトヲ要ス
抵当証券法第一条第二項ノ申請アリタル場合ニ於テ登記官吏カ抵当証券ヲ交付シタルトキハ他ノ登記所ニ前条ノ登記ヲ嘱託スルコトヲ要ス其申請ヲ却下シタルトキハ前項ノ規定ニ依ル登記ノ抹消ヲ嘱託スルコトヲ要ス
第百二十六条ノ五　前条第一項ノ規定ニ依ル登記アリタル不動産ニ付キ同条第二項ノ嘱託ニ因リ抵当証券交付ノ登記ヲ為シタルトキハ其登記ハ同条第一項ノ規定ニ依ル登記ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス
第百四十六条中「添附スルコトヲ要ス」ヲ「添附スルコトヲ要ス尚登記ノ抹消ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル抵当証券ノ所持人又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」ニ改メ同条ニ左ノ一項ヲ加フ
抵当証券ノ発行アリタル場合ニ於テハ其抵当権ノ抹消ノ登記ノ申請書ニ抵当証券ヲ添附スルコトヲ要ス
附　則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム