第一條 大正十二年九月ノ震災ニ因リ滅失又ハ紛失シタル無記名國債證券ニ對シテハ本法ニ依リ新證券ノ交付又ハ元利金ノ支拂ヲ爲スコトヲ得
第二條 震災ノ當時前條ノ證券ヲ所有シ又ハ占有シタル者ハ本法施行後三月內ニ限リ喪失國債證券審査會ニ其ノ所有シ又ハ占有シタル證券ノ滅失又ハ紛失ニ付査定ヲ求ムルコトヲ得但シ證券ノ名稱不明ナルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラス
本法施行ノ際外國ニ居住スル者ニ付テハ前項ノ期間ハ之ヲ六月トス
第三條 證券滅失ノ査定ヲ受ケタル者ニ對シテハ政府ハ滅失ヲ査定シタル證券ニ相當スル新證券ヲ交付スルコトヲ得
證券紛失ノ査定ヲ受ケタル者ニ對シテハ政府ハ新證券ノ交付又ハ元利金ノ支拂ニ因リテ生スルコトアルヘキ損失ヲ塡補スル爲確實ナル擔保ヲ提供セシメ又ハ保證人ヲ立テシメ紛失ヲ査定シタル證券ニ相當スル新證券ヲ交付スルコトヲ得
第一項及第二項ノ場合ニ於テ證券ノ記號不明ナルモノニ付テハ同一名稱ノ證券中適宜ノ記號ノモノヲ交付スルコトヲ得
第四條 前條ノ規定ニ依リ新證券ノ交付ヲ爲スヘキ場合ニ於テ滅失又ハ紛失シタル證券ノ償還期到來シタルトキハ政府ハ新證券ノ交付ニ代ヘ元利金ノ支拂ヲ爲ス
第五條 紛失ノ査定ヲ受ケタル證券ノ記號又ハ番號不明ナル場合ニ於テ新證券ノ交付又ハ元利金ノ支拂ニ因リ政府ニ損失ヲ生シタルトキハ同一名稱ノ新證券ノ交付ヲ受ケ又ハ之ニ代ヘ元利金ノ支拂ヲ受ケタル者ニシテ記號又ハ番號不明ナル舊證券ニ付紛失ノ査定ヲ受ケタルモノ新證券ノ額面金額又ハ元金額ニ按分シテ其ノ損失ヲ負擔ス
第六條 滅失又ハ紛失シタル同一證券ニ付第二條ノ規定ニ依ル査定ノ請求二以上アリタル場合ニ於テハ新證券ノ交付ハ請求者中震災ノ當時舊證券ヲ占有スヘキ權利アリタル者ニ之ヲ爲ス
滅失又ハ紛失シタル證券ニ付存シタル權利ハ新證券ニ付亦之ヲ行フコトヲ得
第七條 喪失國債證券審査會ハ審査ノ爲必要アリト認ムルトキハ證人又ハ鑑定人ノ訊問其ノ他ノ證據調ヲ爲スコトヲ得
第八條 喪失國債證券審査會ハ審査ノ爲必要アリト認ムルトキハ宣誓ヲ爲サシメタル上當事者ヲ訊問スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ宣誓ヲ爲シタル者虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ三月以上十年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者新證券ノ交付又ハ元利金ノ支拂ヲ受クル前喪失國債證券審査會ニ其ノ事實ヲ申出テタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第九條 喪失國債證券審査會ハ第七條及前條第一項ノ規定ニ依ル證據調ヲ裁判所其ノ他ノ官廳ニ囑託スルコトヲ得
第十條 喪失國債證券審査會ノ組織及證據調其ノ他審査ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 第一條ノ證券ニシテ震災ノ當時政府ノ保管シタルモノニ付テハ第二條乃至前條ノ規定ニ拘ラス勅令ノ定ムル所ニ依リ新證券ノ交付又ハ元利金ノ支拂ヲ爲スコトヲ得