海軍水雷学校条例
法令番号: 勅令第二百四十四號
公布年月日: 明治43年5月30日
法令の形式: 勅令
朕海軍水雷學校條例改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年五月二十八日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
海軍大臣 男爵 齋藤實
勅令第二百四十四號
海軍水雷學校條例
第一條 海軍水雷學校ハ海軍將校兵曹長上等兵曹及海軍特修兵タルヘキ海軍下士卒ニ水雷術及電信術ヲ敎授シ且其ノ改良進步ヲ圖ル所トス
第二條 海軍水雷學校ノ敎育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ經テ海軍敎育本部長之ヲ定ム
第三條 海軍水雷學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
敎官
分隊長
軍醫長
主計長
前項職員ノ外海軍尉官軍醫及主計ヲ置ク
第四條 校長ハ海軍敎育本部長ニ隸シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ總理ス
第五條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第六條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ敎授ヲ擔任シ且水雷術及電信術ノ硏究調査ニ關スルコトヲ掌ル
首席ノ敎官ハ前項ノ外校長ヲ輔佐シ敎務ヲ監理シ校內ノ定則ヲ維持シ校長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理ス
第七條 分隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第八條 軍醫長ハ校長ノ命ヲ承ケ醫務及衞生ニ關スルコトヲ掌ル
第九條 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ會計及給與ニ關スルコトヲ掌ル
第十條 第三條第二項ニ揭クル尉官ハ校長ノ指定ニ依リ敎官又ハ分隊長ニ屬シ其ノ命ヲ承ケ服務シ軍醫ハ軍醫長、主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十一條 校長ハ部下ノ職員闕員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキ他ノ部下職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第十二條 海軍水雷學校ニ第三條ニ揭クル職員ノ外海軍兵曹長同相當官准士官下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十三條 海軍水雷學校ニ於テ修習スル准士官以上ヲ海軍水雷學校學生ト稱シ海軍特修兵タルヘキ下士卒ヲ海軍水雷學校練習生ト稱ス
第十四條 海軍水雷學校學生ハ之ヲ左ノ三種ニ區別ス
一 普通科學生
二 高等科學生
三 特修科學生
第十五條 海軍水雷學校學生ハ左ノ區別ニ從ヒ將校ニ在リテハ海軍大臣、兵曹長及上等兵曹ニ在リテハ在籍鎭守府司令長官之ヲ命ス
一 普通科學生ハ海軍中尉又ハ海軍少尉候補生任命後二年以上ヲ經タル海軍少尉
二 高等科學生ハ海軍大學校乙種學生敎程ヲ卒業シタル海軍尉官
三 特修科學生ハ特ニ水雷術又ハ電信術ヲ修習セシムル必要アルカ又ハ其ノ修習ヲ志願スル海軍佐尉官兵曹長上等兵曹
第十六條 海軍水雷學校學生卒業シタルトキハ之ニ修業證書ヲ授與ス
第十七條 校長ハ學生中不適當ト認ムル者アルトキハ之ヲ海軍敎育本部長ニ稟申ス海軍敎育本部長至當ト認ムルトキハ將校ニ在リテハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ兵曹長及上等兵曹ニ在リテハ之ヲ在籍鎭守府司令長官ニ移牒ス海軍大臣又ハ鎭守府司令長官ハ之ニ退學ヲ命スルコトヲ得
第十八條 海軍水雷學校練習生ニ關スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十九條 校長ハ海軍敎育本部長ノ認可ヲ受ケ學生及練習生ヲ軍艦、海軍諸學校又ハ海軍工廠等ニ派遣シ修學セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル學生及練習生ハ其ノ修業ニ關シ當該艦長又ハ廳長ノ指揮ヲ受ク
第二十條 海軍大臣ハ戰時又ハ事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ學生ヲ退學セシムルコトヲ得
第二十一條 海軍大臣ハ海軍豫備員及海軍豫備員志願者ヲシテ海軍水雷學校ニ於テ必要ノ敎授ヲ受ケシムルコトヲ得
第二十二條 海軍大臣ハ海軍水雷學校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍佐尉官機關佐尉官造兵官兵曹長機關兵曹長上等兵曹上等機關兵曹及下士卒ニ必要ノ講習ヲ爲サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ明治四十三年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
當分ノ內海軍少尉候補生任命後一年六月ヲ經タル海軍少尉ニ普通科學生ヲ命スルコトヲ得
當分ノ內海軍水雷學校ニ於テ海軍機關佐尉官機關兵曹長及上等機關兵曹ニ電氣機關ニ關スル學術技藝ヲ敎授スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ海軍工機學校條例ノ規定ヲ準用ス
從前ノ掌信證狀ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ當分ノ內仍其ノ效力ヲ有ス
朕海軍水雷学校条例改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十三年五月二十八日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
海軍大臣 男爵 斎藤実
勅令第二百四十四号
海軍水雷学校条例
第一条 海軍水雷学校ハ海軍将校兵曹長上等兵曹及海軍特修兵タルヘキ海軍下士卒ニ水雷術及電信術ヲ教授シ且其ノ改良進歩ヲ図ル所トス
第二条 海軍水雷学校ノ教育綱領ハ海軍大臣ノ認可ヲ経テ海軍教育本部長之ヲ定ム
第三条 海軍水雷学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
副官
教官
分隊長
軍医長
主計長
前項職員ノ外海軍尉官軍医及主計ヲ置ク
第四条 校長ハ海軍教育本部長ニ隷シ軍紀風紀ヲ維持シ校務ヲ総理ス
第五条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌理ス
第六条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ教授ヲ担任シ且水雷術及電信術ノ研究調査ニ関スルコトヲ掌ル
首席ノ教官ハ前項ノ外校長ヲ輔佐シ教務ヲ監理シ校内ノ定則ヲ維持シ校長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理ス
第七条 分隊長ハ校長ノ命ヲ承ケ隊員ノ紀律ヲ維持シ之ヲ董督訓練ス
第八条 軍医長ハ校長ノ命ヲ承ケ医務及衛生ニ関スルコトヲ掌ル
第九条 主計長ハ校長ノ命ヲ承ケ会計及給与ニ関スルコトヲ掌ル
第十条 第三条第二項ニ掲クル尉官ハ校長ノ指定ニ依リ教官又ハ分隊長ニ属シ其ノ命ヲ承ケ服務シ軍医ハ軍医長、主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十一条 校長ハ部下ノ職員闕員中又ハ事故アリテ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルトキ他ノ部下職員ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得
第十二条 海軍水雷学校ニ第三条ニ掲クル職員ノ外海軍兵曹長同相当官准士官下士卒及判任文官ヲ置キ各上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
第十三条 海軍水雷学校ニ於テ修習スル准士官以上ヲ海軍水雷学校学生ト称シ海軍特修兵タルヘキ下士卒ヲ海軍水雷学校練習生ト称ス
第十四条 海軍水雷学校学生ハ之ヲ左ノ三種ニ区別ス
一 普通科学生
二 高等科学生
三 特修科学生
第十五条 海軍水雷学校学生ハ左ノ区別ニ従ヒ将校ニ在リテハ海軍大臣、兵曹長及上等兵曹ニ在リテハ在籍鎮守府司令長官之ヲ命ス
一 普通科学生ハ海軍中尉又ハ海軍少尉候補生任命後二年以上ヲ経タル海軍少尉
二 高等科学生ハ海軍大学校乙種学生教程ヲ卒業シタル海軍尉官
三 特修科学生ハ特ニ水雷術又ハ電信術ヲ修習セシムル必要アルカ又ハ其ノ修習ヲ志願スル海軍佐尉官兵曹長上等兵曹
第十六条 海軍水雷学校学生卒業シタルトキハ之ニ修業証書ヲ授与ス
第十七条 校長ハ学生中不適当ト認ムル者アルトキハ之ヲ海軍教育本部長ニ稟申ス海軍教育本部長至当ト認ムルトキハ将校ニ在リテハ之ヲ海軍大臣ニ具申シ兵曹長及上等兵曹ニ在リテハ之ヲ在籍鎮守府司令長官ニ移牒ス海軍大臣又ハ鎮守府司令長官ハ之ニ退学ヲ命スルコトヲ得
第十八条 海軍水雷学校練習生ニ関スル事項ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十九条 校長ハ海軍教育本部長ノ認可ヲ受ケ学生及練習生ヲ軍艦、海軍諸学校又ハ海軍工廠等ニ派遣シ修学セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ派遣セラレタル学生及練習生ハ其ノ修業ニ関シ当該艦長又ハ庁長ノ指揮ヲ受ク
第二十条 海軍大臣ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ト認ムルトキハ学生ヲ退学セシムルコトヲ得
第二十一条 海軍大臣ハ海軍予備員及海軍予備員志願者ヲシテ海軍水雷学校ニ於テ必要ノ教授ヲ受ケシムルコトヲ得
第二十二条 海軍大臣ハ海軍水雷学校ニ臨時講習科ヲ設ケ海軍佐尉官機関佐尉官造兵官兵曹長機関兵曹長上等兵曹上等機関兵曹及下士卒ニ必要ノ講習ヲ為サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ明治四十三年六月一日ヨリ之ヲ施行ス
当分ノ内海軍少尉候補生任命後一年六月ヲ経タル海軍少尉ニ普通科学生ヲ命スルコトヲ得
当分ノ内海軍水雷学校ニ於テ海軍機関佐尉官機関兵曹長及上等機関兵曹ニ電気機関ニ関スル学術技芸ヲ教授スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ海軍工機学校条例ノ規定ヲ準用ス
従前ノ掌信証状ハ海軍大臣ノ定ムル所ニ依リ当分ノ内仍其ノ効力ヲ有ス