(財政上必要処分ノ件)
法令番号: 勅令第二百九十一號
公布年月日: 明治36年12月28日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ詣詢ヲ經テ帝國憲法第七十條ニ依ル財政上必要處分ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十六年十二月二十八日
內閣總理大臣兼內務大臣 伯爵 桂太郞
海軍大臣 男爵 山本權兵衞
農商務大臣 男爵 淸浦奎吾
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
外務大臣 男爵 小村壽太郞
陸軍大臣 寺內正毅
司法大臣 波多野敬直
遞信大臣 大浦兼武
文部大臣 久保田讓
勅令第二百九十一號
第一條 軍備補充ニ要スル經費支辨ノ爲政府ハ一時借入金ヲ爲シ特別會計ニ屬スル資金ヲ繰替使用シ及國庫債券ヲ發行スルコトヲ得
第二條 京釜鐵道株式會社ノ線路工事速成ニ必要ナル資金ノ調達ニ便宜ヲ與フル爲政府ハ同會社ノ發行スル債券ニ對シ元利仕拂ノ保證ヲ爲スコトヲ得
前項ニ依リ保證スヘキ債券ハ額面一千萬圓ヲ限リ其ノ利子ハ一箇年六分以下トシ其ノ元金ハ三箇年据置爾後五箇年以內ニ償還スヘキモノトス
第三條 京釜鐵道株式會社ニ於テ工事ヲ速成スル爲特ニ要スヘキ費用ノ補償トシテ政府ハ同會社ニ對シ百七十五萬圓ヲ補助スルコトヲ得但シ已ムヲ得サル事由ニ依リ其ノ金額ヲ以テ本項ノ費用ヲ償フコト能ハサル場合ヲ生シタルトキハ仍四十五萬圓以內ヲ補助スルコトヲ得
前項補助金ヲ以テ補償スヘキ費用ノ支拂ニ關シテハ特ニ詳密ナル監督規程ヲ設クルモノトス
第一項ニ依リ補助スヘキ百七十五萬圓ノ財源ニ充ツル爲政府ハ一時借入金ヲ爲スコトヲ得
第四條 第一條及第三條ノ場合ニ於テ一時借入金又ハ國庫債券ニ附スヘキ利子ハ一箇年六分以下トシ償還期限ハ一時借入金ニ在リテハ二箇年以內、國庫債券ニ在リテハ五箇年以內トス
國庫債券ニ關シテハ前項ニ規定スルモノノ外整理公債條例ヲ適用ス
朕枢密顧問ノ詣詢ヲ経テ帝国憲法第七十条ニ依ル財政上必要処分ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十六年十二月二十八日
内閣総理大臣兼内務大臣 伯爵 桂太郎
海軍大臣 男爵 山本権兵衛
農商務大臣 男爵 清浦奎吾
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
外務大臣 男爵 小村寿太郎
陸軍大臣 寺内正毅
司法大臣 波多野敬直
逓信大臣 大浦兼武
文部大臣 久保田譲
勅令第二百九十一号
第一条 軍備補充ニ要スル経費支弁ノ為政府ハ一時借入金ヲ為シ特別会計ニ属スル資金ヲ繰替使用シ及国庫債券ヲ発行スルコトヲ得
第二条 京釜鉄道株式会社ノ線路工事速成ニ必要ナル資金ノ調達ニ便宜ヲ与フル為政府ハ同会社ノ発行スル債券ニ対シ元利仕払ノ保証ヲ為スコトヲ得
前項ニ依リ保証スヘキ債券ハ額面一千万円ヲ限リ其ノ利子ハ一箇年六分以下トシ其ノ元金ハ三箇年据置爾後五箇年以内ニ償還スヘキモノトス
第三条 京釜鉄道株式会社ニ於テ工事ヲ速成スル為特ニ要スヘキ費用ノ補償トシテ政府ハ同会社ニ対シ百七十五万円ヲ補助スルコトヲ得但シ已ムヲ得サル事由ニ依リ其ノ金額ヲ以テ本項ノ費用ヲ償フコト能ハサル場合ヲ生シタルトキハ仍四十五万円以内ヲ補助スルコトヲ得
前項補助金ヲ以テ補償スヘキ費用ノ支払ニ関シテハ特ニ詳密ナル監督規程ヲ設クルモノトス
第一項ニ依リ補助スヘキ百七十五万円ノ財源ニ充ツル為政府ハ一時借入金ヲ為スコトヲ得
第四条 第一条及第三条ノ場合ニ於テ一時借入金又ハ国庫債券ニ附スヘキ利子ハ一箇年六分以下トシ償還期限ハ一時借入金ニ在リテハ二箇年以内、国庫債券ニ在リテハ五箇年以内トス
国庫債券ニ関シテハ前項ニ規定スルモノノ外整理公債条例ヲ適用ス