第一條 本法ハ秋田縣巖手縣ニ限リ明治二十九年八月三十一日ノ震災ニ因リテ生シタル損害ニ適用ス
第二條 水源涸渴水路破滅等ノ爲地目ヲ變換シ地價ヲ修正シタル土地ハ明治二十九年分ヨリ修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第三條 荒地ニ至ラサルモ土地ニ變動ヲ生シタル爲又ハ其ノ餘害ヲ受ケタル爲收利ノ減損甚シキ土地ハ其ノ實況ニ依リ明治二十九年ヨリ十箇年以內七割以下ノ低價年期ヲ付與スルコトヲ得
第四條 市街ニ準スヘキ部落ニシテ過半ノ家屋壞倒シ營業ノ景狀容易ニ囘復シ難キモノハ其ノ實況ニ依リ明治二十九年ヨリ七箇年以內七割以下ノ低價年期ヲ其ノ地ノ宅地ニ付與スルコトヲ得
第五條 第三條第四條ノ低價年期明ニ至リ原地價ニ復シ難キモノハ其ノ地ノ現況ニ依リ地價ヲ修正スルコトヲ得
第六條 居住家屋ノ燒失又ハ其ノ他ノ損害ヲ受ケタルモノハ被害ノ景況ニ依リ明治二十九年分地租未納金ハ明治三十年ヨリ三箇年以內延納ヲ許可スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ其ノ延納ニ係ル地租ハ年賦納付ヲ許可スルコトヲ得
第七條 酒造又ハ醬油營業者ニシテ營業用ノ建物燒失壞倒若ハ大破シタルモノハ其ノ實況ニ依リ震災前檢査濟ニ係ル未納造石稅ヲ減免スルコトヲ得
第八條 菓子賣藥ノ營業者ニシテ營業用ノ建物燒失壞倒若ハ大破シタルモノハ其ノ實況ニ依リ菓子製造稅ハ明治二十九年分未納稅金賣藥營業稅ハ明治三十年前半年分ノ稅金ニ限リ減免スルコトヲ得
第九條 本法ニ依リ損害取調中ハ其ノ租稅ノ徵收ヲ猶豫ス
第十條 本法ノ施行ニ關シテハ訴願又ハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得ス
第十一條 本法ニ依リ處分ヲ受ケムトスル者ハ明治三十年七月三十一日迄ニ申出ツヘシ若此ノ期限內ニ申出テサル者ハ本法ノ處分ヲ受クルコトヲ得ス