(国事ニ関スル犯罪ノ為諸禄ヲ没収セラレタル者ニ関スル法律)
法令番号: 法律第二十號
公布年月日: 明治27年6月12日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル國事ニ關スル犯罪ノ爲諸祿ヲ沒收セラレタル者ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十七年六月十一日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
大藏大臣 渡邊國武
法律第二十號
第一條 明治三年九月十日太政官布吿藩制施行ヨリ同九年八月太政官第百八號布吿實施マテノ間ニ於テ國事ニ關スル犯罪ノ爲家祿賞典祿ヲ沒收セラレタル者及本法施行ノ日ニ於テ現ニ其ノ家名繼襲人タル者ニ限リ其ノ沒收セラレタル當時ノ祿高ニ基キ明治九年太政官第百八號布吿第一條ノ率ニ據リタル金祿公債證書額ニ相當スル金額ヲ一時國庫ヨリ支出シテ之ヲ給與ス
第二條 前條ノ祿高ハ明治四年七月二十日士族卒祿高取調ニ關スル民部省達同年同月二十四日同件取調ニ關スル太政官布吿及同年九月賞典祿取調帳竝士族卒祿高人別取調帳等ニ關スル大藏省達明治八年太政官第百三十八號布吿ニ基キ調査シタル祿高ニ依ルモノトス但シ祿高調査以前ノ收祿ニ係ルモノハ收祿ノトキ實際給與ヲ受ケタル祿高ニ依ル
前條ノ祿高ヲ金額ニ換算スルノ必要アル場合ニ於テハ明治八年太政官第百三十八號布吿ニ依ル
第三條 第一條ニ依リ給與ヲ受ケムトスル者ハ國事ニ關スル犯罪ノ處刑ヲ宣吿セラレタル裁判所又ハ其ノ事務引繼ヲ受ケタル官廳ヨリ本法第四條ノ認定及收祿ニ係ル證明書ヲ受ケ地方廳ニ出願スヘシ但シ本法施行ノ日ヨリ三箇月內ニ其ノ認定及證明ヲ求メス又ハ認定及證明ヲ受ケタル日ヨリ一箇月內ニ出願ヲ爲サヽル者ハ第一條ノ給與ヲ受クルコトヲ得ス
附 則
第四條 本法ニ於テ國事ニ關スル犯罪トハ其ノ處刑ヲ宣吿シタル裁判所又ハ其ノ事務引繼ヲ受ケタル官廳ニ於テ刑法第百十七條、第百十九條、第百二十一條、第百二十三條、第百二十五條、第百二十六條、第百二十七條、第百二十九條、第百三十條、第百三十一條、第百三十二條、第百三十三條及第百三十四條ノ罪ト同視スヘキ認定ヲ經タルモノヲ云フ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル国事ニ関スル犯罪ノ為諸禄ヲ没収セラレタル者ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十七年六月十一日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
大蔵大臣 渡辺国武
法律第二十号
第一条 明治三年九月十日太政官布告藩制施行ヨリ同九年八月太政官第百八号布告実施マテノ間ニ於テ国事ニ関スル犯罪ノ為家禄賞典禄ヲ没収セラレタル者及本法施行ノ日ニ於テ現ニ其ノ家名継襲人タル者ニ限リ其ノ没収セラレタル当時ノ禄高ニ基キ明治九年太政官第百八号布告第一条ノ率ニ拠リタル金禄公債証書額ニ相当スル金額ヲ一時国庫ヨリ支出シテ之ヲ給与ス
第二条 前条ノ禄高ハ明治四年七月二十日士族卒禄高取調ニ関スル民部省達同年同月二十四日同件取調ニ関スル太政官布告及同年九月賞典禄取調帳並士族卒禄高人別取調帳等ニ関スル大蔵省達明治八年太政官第百三十八号布告ニ基キ調査シタル禄高ニ依ルモノトス但シ禄高調査以前ノ収禄ニ係ルモノハ収禄ノトキ実際給与ヲ受ケタル禄高ニ依ル
前条ノ禄高ヲ金額ニ換算スルノ必要アル場合ニ於テハ明治八年太政官第百三十八号布告ニ依ル
第三条 第一条ニ依リ給与ヲ受ケムトスル者ハ国事ニ関スル犯罪ノ処刑ヲ宣告セラレタル裁判所又ハ其ノ事務引継ヲ受ケタル官庁ヨリ本法第四条ノ認定及収禄ニ係ル証明書ヲ受ケ地方庁ニ出願スヘシ但シ本法施行ノ日ヨリ三箇月内ニ其ノ認定及証明ヲ求メス又ハ認定及証明ヲ受ケタル日ヨリ一箇月内ニ出願ヲ為サヽル者ハ第一条ノ給与ヲ受クルコトヲ得ス
附 則
第四条 本法ニ於テ国事ニ関スル犯罪トハ其ノ処刑ヲ宣告シタル裁判所又ハ其ノ事務引継ヲ受ケタル官庁ニ於テ刑法第百十七条、第百十九条、第百二十一条、第百二十三条、第百二十五条、第百二十六条、第百二十七条、第百二十九条、第百三十条、第百三十一条、第百三十二条、第百三十三条及第百三十四条ノ罪ト同視スヘキ認定ヲ経タルモノヲ云フ