伊那線と木曽線(の二路線を比較検討した結果、伊那線には5マイル以上の長さで42分の1の勾配を持つ長大トンネルが必要となることが判明した。伊那地方が高く木曽地方が低いため、トンネルは片勾配となり、工事が困難で工費も増大する。伊那線を採用した場合、木曽線と比べて約800万円もの追加工費が必要となる。これは新たな路線一本を建設できるほどの巨額である。伊那線のルートは人口も少なく、鉄道運輸上の見込みも薄い。また三河国を経由する場合も連山が続き、多くのトンネルが必要となる。このため、やむを得ず西筑摩線(木曽線)を採用することとした。
参照した発言:
第6回帝国議会 衆議院 鉄道比較線路決定に関する法律案外七件委員会 第1号