海軍水雷術練習所条例
法令番号: 勅令第二百二十號
公布年月日: 明治26年12月1日
法令の形式: 勅令
朕海軍水雷術練習所條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十一月二十九日
海軍大臣 伯爵 西鄕從道
勅令第二百二十號
海軍水雷術練習所條例
第一條 海軍水雷術練習所ハ之ヲ橫須賀軍港ニ置キ海軍將校、海軍機關官及海軍上等兵曹ニ水雷術ヲ敎授シ竝ニ掌水雷兵、水雷工又ハ水雷術敎員ト爲ルヘキ海軍下士卒ヲ敎育シ且水雷術ノ進步ヲ圖ル所トス
第二條 海軍水雷術練習所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長 海軍大佐 一人
敎官
海軍少佐 一人
海軍大尉 四人
海軍大機關士 二人
分隊長 海軍大尉 四人敎官ヲ以テ兼補ス
分隊士 海軍少尉 四人
軍醫長 海軍大軍醫 一人
軍醫 海軍少軍醫 一人
主計長 海軍大主計 一人
主計 海軍少主計 一人
第三條 所長ハ橫須賀鎭守府司令長官ニ隸シ所務ヲ管理シ紀律ヲ維持シ及學術進步ノ責ニ任ス
第四條 敎官ハ所長ノ命ヲ承ケ敎授ヲ擔任ス
第五條 先任敎官ハ所長ヲ補佐シ所長ノ命令ヲ執行シ所內ノ定則ヲ維持シ所長事故アルトキハ其ノ事務ヲ代理ス
第六條 分隊長ハ隊員ノ紀律ヲ維持シ其ノ行狀伎倆ヲ熟知シ且隊員ニ係ル事務ヲ掌理ス
第七條 分隊士ハ分隊長ノ命ヲ承ケ服務ス
第八條 軍醫長ハ所長ノ命ヲ承ケ醫務衞生ノ事ヲ掌ル
第九條 軍醫ハ軍醫長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十條 主計長ハ所長ノ命ヲ承ケ會計給與ノ事ヲ掌ル
第十一條 主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十二條 第二條ニ揭クル職員ノ外左ノ諸員ヲ置キ上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
海軍上等兵曹 敎員 四人
海軍機關師 敎員 二人
海軍下士 二十八人內十人敎員
海軍卒 七十九人
前項職員ノ外書記一人ヲ置キ編修ニ從事セシムルコトヲ得
第十三條 海軍水雷術練習所ニ於テ水雷術ノ敎授ヲ受ル海軍將校、海軍機關官及海軍上等兵曹ハ左ノ諸項ノ一ニ該ル者タルヘシ
一 海軍大學校將校科ヲ卒業シタル者
二 海軍大尉及海軍大機關士以上ニシテ志願ノ者
三 海軍少尉及海軍少機關士
四 海軍上等兵曹ニシテ海軍水雷術練習所ニ於テ水雷術ヲ修得シタル者前項ノ外進級資格ヲ有スル海軍少尉候補生及海軍少機關士候補生ヲ入學セシムルコトヲ得
第十四條 海軍水雷術練習所ニ於テ敎育スル海軍下士卒ヲ水雷術練習生ト稱ス
第十五條 水雷術練習生ハ掌水雷兵若クハ水雷工タランコトヲ志願スル者、水雷術敎員ト爲スヘキ者及水雷術復習ヲ志願スル者ニ就キ採用ス
第十六條 掌水雷兵ト爲ルヘキ者ハ海軍三等兵曹以下三等水兵以上又水雷工ト爲ルヘキ者ハ海軍三等鍛冶手以下三等鍛冶以上ニシテ左ノ諸項ニ適合スル者タルヘシ
一 身體强健、視力完全且品行方正ナル者
二 一箇年以上海上勤務ニ服シタル者但四等水兵及四等鍛冶ヨリ起算ス
三 卒業後五箇年間現役ニ服スヘキ者
四 試驗ニ合格シタル者
第十七條 水雷術敎員ト爲スヘキ者ハ一等掌水雷證狀ヲ有スル海軍兵曹若クハ一等水兵ニシテ卒業後三箇年間現役ニ服スヘキ者ノ中ヨリ所長之ヲ選拔ス
第十八條 水雷術復習ヲ志願スル者ハ身體强健、視力完全且品行方正ニシテ尙掌水雷兵タルニ適合シ卒業後三箇年間現役ニ服スヘキ者ニアラサレハ採用セス
第十九條 水雷術練習生卒業シタルトキハ掌水雷證狀若クハ水雷工證狀ヲ授與ス其ノ證狀ハ試驗ノ成績ニ依リ各二等ニ分ツ
掌水雷證狀ヲ有スル者ハ掌水雷兵ト稱シ水雷工證狀ヲ有スル者ハ水雷工ト稱ス
第二十條 水雷術敎員ト爲スヘキ水雷術練習生卒業シタルトキハ水雷術敎員適任證書及掌水雷證狀ヲ授與ス
第二十一條 掌水雷證狀、水雷工證狀若クハ水雷術敎員適任證書ヲ授與シタル者ニハ臂章ヲ附與シ且加俸ヲ給ス
第二十二條 掌水雷證狀ノ有效期限ハ滿五箇年トシ水雷術敎員適任證書ノ有效期限ハ滿三箇年トス其ノ期滿レハ臂章ヲ除キ且加俸ヲ止ム
第二十三條 海軍水雷術練習所ニ練習用トシテ船艇ヲ附屬ス
附 則
第二十四條 水雷術練習艦條例ハ本令施行ノ日ヨリ廢止ス
朕海軍水雷術練習所条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十一月二十九日
海軍大臣 伯爵 西郷従道
勅令第二百二十号
海軍水雷術練習所条例
第一条 海軍水雷術練習所ハ之ヲ横須賀軍港ニ置キ海軍将校、海軍機関官及海軍上等兵曹ニ水雷術ヲ教授シ並ニ掌水雷兵、水雷工又ハ水雷術教員ト為ルヘキ海軍下士卒ヲ教育シ且水雷術ノ進歩ヲ図ル所トス
第二条 海軍水雷術練習所ニ左ノ職員ヲ置ク
所長 海軍大佐 一人
教官
海軍少佐 一人
海軍大尉 四人
海軍大機関士 二人
分隊長 海軍大尉 四人教官ヲ以テ兼補ス
分隊士 海軍少尉 四人
軍医長 海軍大軍医 一人
軍医 海軍少軍医 一人
主計長 海軍大主計 一人
主計 海軍少主計 一人
第三条 所長ハ横須賀鎮守府司令長官ニ隷シ所務ヲ管理シ紀律ヲ維持シ及学術進歩ノ責ニ任ス
第四条 教官ハ所長ノ命ヲ承ケ教授ヲ担任ス
第五条 先任教官ハ所長ヲ補佐シ所長ノ命令ヲ執行シ所内ノ定則ヲ維持シ所長事故アルトキハ其ノ事務ヲ代理ス
第六条 分隊長ハ隊員ノ紀律ヲ維持シ其ノ行状伎倆ヲ熟知シ且隊員ニ係ル事務ヲ掌理ス
第七条 分隊士ハ分隊長ノ命ヲ承ケ服務ス
第八条 軍医長ハ所長ノ命ヲ承ケ医務衛生ノ事ヲ掌ル
第九条 軍医ハ軍医長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十条 主計長ハ所長ノ命ヲ承ケ会計給与ノ事ヲ掌ル
第十一条 主計ハ主計長ノ命ヲ承ケ服務ス
第十二条 第二条ニ掲クル職員ノ外左ノ諸員ヲ置キ上官ノ命ヲ承ケ服務セシム
海軍上等兵曹 教員 四人
海軍機関師 教員 二人
海軍下士 二十八人内十人教員
海軍卒 七十九人
前項職員ノ外書記一人ヲ置キ編修ニ従事セシムルコトヲ得
第十三条 海軍水雷術練習所ニ於テ水雷術ノ教授ヲ受ル海軍将校、海軍機関官及海軍上等兵曹ハ左ノ諸項ノ一ニ該ル者タルヘシ
一 海軍大学校将校科ヲ卒業シタル者
二 海軍大尉及海軍大機関士以上ニシテ志願ノ者
三 海軍少尉及海軍少機関士
四 海軍上等兵曹ニシテ海軍水雷術練習所ニ於テ水雷術ヲ修得シタル者前項ノ外進級資格ヲ有スル海軍少尉候補生及海軍少機関士候補生ヲ入学セシムルコトヲ得
第十四条 海軍水雷術練習所ニ於テ教育スル海軍下士卒ヲ水雷術練習生ト称ス
第十五条 水雷術練習生ハ掌水雷兵若クハ水雷工タランコトヲ志願スル者、水雷術教員ト為スヘキ者及水雷術復習ヲ志願スル者ニ就キ採用ス
第十六条 掌水雷兵ト為ルヘキ者ハ海軍三等兵曹以下三等水兵以上又水雷工ト為ルヘキ者ハ海軍三等鍛冶手以下三等鍛冶以上ニシテ左ノ諸項ニ適合スル者タルヘシ
一 身体強健、視力完全且品行方正ナル者
二 一箇年以上海上勤務ニ服シタル者但四等水兵及四等鍛冶ヨリ起算ス
三 卒業後五箇年間現役ニ服スヘキ者
四 試験ニ合格シタル者
第十七条 水雷術教員ト為スヘキ者ハ一等掌水雷証状ヲ有スル海軍兵曹若クハ一等水兵ニシテ卒業後三箇年間現役ニ服スヘキ者ノ中ヨリ所長之ヲ選抜ス
第十八条 水雷術復習ヲ志願スル者ハ身体強健、視力完全且品行方正ニシテ尚掌水雷兵タルニ適合シ卒業後三箇年間現役ニ服スヘキ者ニアラサレハ採用セス
第十九条 水雷術練習生卒業シタルトキハ掌水雷証状若クハ水雷工証状ヲ授与ス其ノ証状ハ試験ノ成績ニ依リ各二等ニ分ツ
掌水雷証状ヲ有スル者ハ掌水雷兵ト称シ水雷工証状ヲ有スル者ハ水雷工ト称ス
第二十条 水雷術教員ト為スヘキ水雷術練習生卒業シタルトキハ水雷術教員適任証書及掌水雷証状ヲ授与ス
第二十一条 掌水雷証状、水雷工証状若クハ水雷術教員適任証書ヲ授与シタル者ニハ臂章ヲ附与シ且加俸ヲ給ス
第二十二条 掌水雷証状ノ有効期限ハ満五箇年トシ水雷術教員適任証書ノ有効期限ハ満三箇年トス其ノ期満レハ臂章ヲ除キ且加俸ヲ止ム
第二十三条 海軍水雷術練習所ニ練習用トシテ船艇ヲ附属ス
附 則
第二十四条 水雷術練習艦条例ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス