第一條 此ノ法律ニ於テ政談集會ト稱フルハ何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ラス政治ニ關ル事項ヲ講談論議スル爲公衆ヲ會同スルモノヲ謂フ政社ト稱フルハ何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ラス政治ニ關ル事項ヲ目的トシテ團體ヲ組成スルモノヲ謂フ
政談集會ヲ開クトキハ發起人ヨリ開會二十四時間以前ニ會場所在地ノ管轄警察官署ニ屆出ヘシ
政談集會ノ屆出ニハ左ノ事項ヲ記載シ發起人署名捺印スヘシ
前項ノ屆出アリタルトキハ警察官署ハ直ニ其ノ領收證ヲ交付スヘシ
屆書ニ記載シタル時刻ヨリ三時間ヲ過キテ開會セス若ハ三時間以上中斷スルトキハ屆出ノ效ヲ失フモノトス
法律ヲ以テ組織シタル議會ノ議員選擧準備ノ爲ニ選擧權ヲ行フヘキ者及被選擧權ヲ有スル者ニ限リ會同スル所ノ集會ハ投票ノ日ヨリ前五十日間ハ第二項ノ屆出ヲ要セス
第三條 屋外ニ於テ公衆ヲ會同シ若ハ多衆運動セムトスルトキハ發起人ヨリ二十四時間以前ニ會同スヘキ場所、年月日時及其ノ通過スヘキ路線ヲ管轄警察官署ニ屆出テ認可ヲ受クヘシ但シ祭葬、講社、學生生徒ノ體育運動其ノ他慣例ノ許ス所ニ係ルモノハ此ノ限ニ在ラス
屋外ニ於テ政談集會ヲ開キ又ハ政治ニ關ル意思ヲ表スルノ目的ヲ以テ公衆ヲ會同スルハ堅固ナル屏障ヲ設ケ自由ノ交通ヲ遮斷シタル地域內ニ限ルモノトス
警察官署ハ安寧秩序ニ妨害アリト認ムルトキハ何等ノ場合ニ拘ラス屋外ノ集會又ハ多衆運動ヲ禁止スルコトヲ得
第四條 帝國議會開會ヨリ閉會ニ至ルノ間ハ議院ヲ距ル三里以內ニ於テ屋外ノ集會又ハ多衆運動ヲ爲スコトヲ得ス但シ第三條第一項ノ但書ハ本條ニ於テモ之ヲ適用ス
第五條 左ニ揭クル者ハ政談集會ノ發起人タルコトヲ得ス
第六條 左ニ揭クル者ハ政談集會ニ會同シ若ハ其ノ發起人タルコトヲ得ス
法律ヲ以テ組織シタル議會ノ議員選擧準備ノ爲ニ開ク所ノ集會ハ投票ノ日ヨリ前五十日間ハ選擧權ヲ行フヘキ者及被選擧權ヲ有スル者ニ限リ本條ノ制限ニ依ルヲ要セス
第七條 政談集會ニ於テハ日本臣民ニ非サル者ヲシテ講談論議者タラシムルコトヲ得ス
第八條 警察官署ハ制服ヲ著シタル警察官ヲ派遣シ政談集會ニ臨監セシムルコトヲ得
發起人ハ臨監警察官ニ其ノ求ムル所ノ席ヲ供シ且集會ニ關ル事項ニ付尋問アルトキハ之ニ答フヘシ
政談集會ニアラサルモ其ノ狀況安寧秩序ヲ妨害スルノ虞アリト認ムル集會ニハ第一項ノ臨監ヲ爲スコトヲ得
第九條 集會及運動ニハ戎器又ハ兇器ヲ携帶シテ會同スルコトヲ得ス但シ制規ニ依リ戎器ヲ携帶スル者ハ此ノ限ニ在ラス
第十條 集會ニ於テ罪犯ヲ曲庇シ又ハ刑律ニ觸レタル者若ハ刑事裁判中ノ者ヲ救護シ又ハ賞恤シ又ハ犯罪ヲ敎唆スルノ談論ヲ爲スコトヲ得ス
第十一條 會場ニ於テ故ラニ喧擾ヲ爲シ又ハ狂暴ニ涉ル者アルトキハ警察官ハ之ヲ制止シ其ノ命ニ從ハサルトキハ會場外ニ退出セシムルコトヲ得
第十二條 集會ニ於テ講談論議安寧秩序ニ妨害アリト認ムルトキハ警察官ハ其ノ人ノ講談論議ヲ停止スルコトヲ得
第十三條 警察官ハ左ノ場合ニ於テ集會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
二 警察官ノ臨監ヲ拒ミ又ハ其ノ求ムル所ノ席ヲ供セス又ハ其ノ尋問ニ答ヘサルトキ
三 會衆騷擾ニ涉リ警察官之ヲ制止スルモ鎭靜セサルトキ
四 第六條第九條ノ違犯者多數ニシテ警察官ヨリ退場ヲ命スルモ其ノ命ニ從ハサルトキ
第十四條 第二條ノ屆出ヲ爲サスシテ政談集會ヲ開キタルトキハ發起人ヲ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二條ノ屆出ヲ爲スモ實ヲ以テセサルトキハ發起人罰前項ニ同シ
第十五條 第三條ノ認可ヲ受ケスシテ集會若ハ運動ヲ爲シタルトキハ發起人ヲ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條 第四條ヲ犯シタルトキハ發起人ヲ十一日以上六月以下ノ輕禁錮又ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十七條 第五條第六條ヲ犯シタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第七條ヲ犯シタル發起人又ハ政談集會ニ會同スルコトヲ得サル者ヲ勸誘シテ會同セシメタル發起人ハ罰前項ニ同シ
第十八條 第九條ヲ犯シタル者ハ十一日以上三月以下ノ輕禁錮又ハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十九條 第十條ヲ犯シタル者ハ十一日以上六月以下ノ輕禁錮又ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十條 警察官ヨリ解散ヲ命セラレタル後仍退散セサル者又ハ退出ヲ命セラレタル後仍退出セサル者ハ十一日以上三月以下ノ輕禁錮又ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 政社ニハ社員名簿ヲ備ヘ及役員ヲ置クヘシ
政社ハ組成後三日以內ニ其ノ役員ヨリ社名、社則、事務所及役員ノ氏名ヲ其ノ事務所所在地ノ管轄警察官署ニ屆出ヘシ其ノ屆出ノ事項ニ變更アリタルトキ亦同シ
前項ノ屆出アリタルトキハ警察官署ハ直ニ其ノ領收證ヲ交付スヘシ
役員ハ其ノ政社ニ關ル事項ニ付警察官ヨリ尋問アルトキハ之ニ答フヘシ
第二十二條 政社ニシテ政談集會ヲ開クトキハ第二條ノ手續ヲ爲スヘシ但シ會場及講談論議者ヲ豫定シテ定期ニ集會スルモノハ之ヲ初期ノ開會二十四時間以前ニ屆出ルトキハ爾後ノ例會ハ屆出ヲ要セス其ノ屆出ノ事項ニ變更アリタルトキハ仍第二條ノ手續ニ依ルヘシ
第二十三條 左ニ揭クル者ハ政社ニ加入スルコトヲ得ス
第二十四條 政社ニ於テハ日本臣民ニ非サル者ヲシテ加入セシムルコトヲ得ス
第二十七條 政社ニ於テハ法律ヲ以テ組織シタル議會ノ議員ニ對シテ其ノ發言表決ニ付議會外ニ於テ責任ヲ負ハシムルノ規定ヲ設クルコトヲ得ス
第二十八條 政社ニシテ支社ヲ設クルトキハ總テ政社ノ規定ニ依ル
第二十九條 結社ニシテ安寧秩序ニ妨害アリト認ムルトキハ內務大臣ハ之ヲ禁止スルコトヲ得
第三十條 第二十一條ニ違フトキハ其ノ役員ヲ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條ノ屆出ヲ爲スモ實ヲ以テセス又ハ尋問ヲ受ケテ答フルニ實ヲ以テセサル役員ハ罰前項ニ同シ
第三十一條 第二十三條ニ背キ入社シタル者及入社セシメタル役員ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條 第二十五條ニ背キ標章旗幟ヲ用井タル者及其ノ政社ノ役員ハ罰前條ニ同シ
第三十三條 第二十六條ヲ犯シタルトキハ其ノ役員ヲ十一日以上六月以下ノ輕禁錮又ハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十四條 第二十九條ノ禁止ノ命ニ從ハスシテ仍結社ノ實アル者ハ一月以上六月以下ノ輕禁錮又ハ十圓以上百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十五條 此ノ法律ヲ犯シタル者ハ刑法ノ自首減輕、再犯加重、數罪俱發ノ例ヲ用井ス
第三十六條 此ノ法律ニ關ル公訴ノ時效ハ六箇月ヲ經過スルニ由テ成就ス
第三十七條 法律命令ニ定ムル所ノ集會ハ此ノ法律ニ依ルノ限ニ在ラス