衆議院議員選挙法罰則補則
法令番号: 法律第四十號
公布年月日: 明治23年5月30日
法令の形式: 法律
朕衆議院議員選擧法罰則補則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年五月二十九日
內閣總理大臣 伯爵 山縣有朋
內務大臣 伯爵 西鄕從道
司法大臣 伯爵 山田顯義
法律第四十號
衆議院議員選擧法罰則補則
第一條 投票ヲ得又ハ他人ニ投票ヲ得セシメ若クハ他人ノ爲ニ投票ヲ爲スコトヲ抑止スルノ目的ヲ以テ選擧會場又ハ投票所ノ近傍若クハ選擧人往來ノ途中ニ於テ選擧人ニ酒食ヲ供シ又ハ選擧會場若クハ投票所ニ往復スル爲車馬ノ類ヲ給シ及其供給ヲ受ケタル者又ハ選擧人ノ爲ニ選擧會場若クハ投票所ニ往復スル車馬賃又ハ路費若クハ休泊料ノ類ヲ代辨シ又ハ代辨スルコトヲ約束シ及其代辨又ハ約束ヲ受ケタル者ハ衆議院議員選擧法第九十條ノ例ニ依リ處斷ス
第二條 第一條ニ記載シタル目的ヲ以テ選擧人ヲ脅逼シ拐引シ若クハ其往來ノ便ヲ妨ケ若クハ詐僞ノ手段ヲ以テ其選擧權ノ施行ヲ妨害シタル者ハ衆議院議員選擧法第九十二條ノ例ニ依リ處斷ス
本條ニ記載シタル所業ヲ爲シテ第一條ニ記載シタル目的ヲ達シタル者ハ衆議院議員選擧法第九十三條ノ例ニ依リ處斷ス
第三條 被選人タルコトヲ得ル者ヲ指シテ被選人タルコトヲ得ス又ハ當選ヲ承諾スルノ意ナシトノ虛報ヲ流傳セシメタル者ハ五圓以上五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第四條 選擧會場又ハ投票所所在ノ郡市內ニ於テ選擧ノ氣勢ヲ張ル爲多衆集合シ若クハ隊伍ヲ組ミテ往來シ又ハ篝火松明ヲ焚キ若クハ鐘皷法螺喇叭ノ類ヲ鳴ラシ旗幟其他ノ標章ヲ用井ル等ノ所業ヲ爲シ警察官ノ制止ヲ受クルモ仍其命ニ從ハサル者ハ十五日以上三月以下ノ輕禁錮ニ處シ五圓以上五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第五條 第一條ニ記載シタル目的ヲ以テ張札ノ類ヲ公然揭示シタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第六條 當選人第一條乃至第四條ニ依リ刑ニ處セラレタルトキハ衆議院議員選擧法第九十九條ノ例ニ依ル
第七條 本法ニ關スル犯罪ハ衆議院議員選擧法第百四條ノ例ニ依ル
朕衆議院議員選挙法罰則補則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十三年五月二十九日
内閣総理大臣 伯爵 山県有朋
内務大臣 伯爵 西郷従道
司法大臣 伯爵 山田顕義
法律第四十号
衆議院議員選挙法罰則補則
第一条 投票ヲ得又ハ他人ニ投票ヲ得セシメ若クハ他人ノ為ニ投票ヲ為スコトヲ抑止スルノ目的ヲ以テ選挙会場又ハ投票所ノ近傍若クハ選挙人往来ノ途中ニ於テ選挙人ニ酒食ヲ供シ又ハ選挙会場若クハ投票所ニ往復スル為車馬ノ類ヲ給シ及其供給ヲ受ケタル者又ハ選挙人ノ為ニ選挙会場若クハ投票所ニ往復スル車馬賃又ハ路費若クハ休泊料ノ類ヲ代弁シ又ハ代弁スルコトヲ約束シ及其代弁又ハ約束ヲ受ケタル者ハ衆議院議員選挙法第九十条ノ例ニ依リ処断ス
第二条 第一条ニ記載シタル目的ヲ以テ選挙人ヲ脅逼シ拐引シ若クハ其往来ノ便ヲ妨ケ若クハ詐偽ノ手段ヲ以テ其選挙権ノ施行ヲ妨害シタル者ハ衆議院議員選挙法第九十二条ノ例ニ依リ処断ス
本条ニ記載シタル所業ヲ為シテ第一条ニ記載シタル目的ヲ達シタル者ハ衆議院議員選挙法第九十三条ノ例ニ依リ処断ス
第三条 被選人タルコトヲ得ル者ヲ指シテ被選人タルコトヲ得ス又ハ当選ヲ承諾スルノ意ナシトノ虚報ヲ流伝セシメタル者ハ五円以上五十円以下ノ罰金ニ処ス
第四条 選挙会場又ハ投票所所在ノ郡市内ニ於テ選挙ノ気勢ヲ張ル為多衆集合シ若クハ隊伍ヲ組ミテ往来シ又ハ篝火松明ヲ焚キ若クハ鐘鼓法螺喇叭ノ類ヲ鳴ラシ旗幟其他ノ標章ヲ用井ル等ノ所業ヲ為シ警察官ノ制止ヲ受クルモ仍其命ニ従ハサル者ハ十五日以上三月以下ノ軽禁錮ニ処シ五円以上五十円以下ノ罰金ヲ附加ス
第五条 第一条ニ記載シタル目的ヲ以テ張札ノ類ヲ公然掲示シタル者ハ二円以上二十円以下ノ罰金ニ処ス
第六条 当選人第一条乃至第四条ニ依リ刑ニ処セラレタルトキハ衆議院議員選挙法第九十九条ノ例ニ依ル
第七条 本法ニ関スル犯罪ハ衆議院議員選挙法第百四条ノ例ニ依ル