第一條 凡テ選擧資格ニ必要ナル事項ヲ詐稱シテ選擧人名簿ニ記載セラレタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
議員タルコトヲ得サルノ實ヲ吿ケスシテ議員トナリタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二條 投票ヲ得又ハ他人ニ投票ヲ得セシメ若クハ他人ノ爲ニ投票ヲ爲スコトヲ抑止スルノ目的ヲ以テ直接又ハ間接ニ金錢物品手形若クハ公私ノ職務ヲ選擧人ニ授與シ又ハ授與スルコトヲ約束シタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第三條 第二條ニ記載シタル目的ヲ以テ選擧會場ノ近傍若クハ選擧人往來ノ途中ニ於テ選擧人ニ酒食ヲ供シ又ハ選擧會場ニ往復スル爲車馬ノ類ヲ給シタル者ハ第二條物品授與ノ例ニ依リ處斷ス
第四條 第二條ニ記載シタル目的ヲ以テ選擧人ノ爲ニ選擧會場ニ往復スル車馬賃又ハ路費若クハ休泊料ノ類ヲ代辨シ又ハ代辨スルコトヲ約束シタル者ハ第二條金錢授與ノ例ニ依リ處斷ス
第五條 第二條第三條及第四條ニ記載シタル所業ヲ爲シテ第二條ニ記載シタル目的ヲ達シタル者ハ刑法第二百三十四條ノ例ヲ以テ論ス
第六條 第二條ニ記載シタル目的ヲ以テ選擧人ニ暴行ヲ加ヘタル者ハ十五日以上三月以下ノ輕禁錮ニ處シ二圓以上二十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第七條 第二條ニ記載シタル目的ヲ以テ選擧人ヲ脅逼シ拐引シ若クハ其往來ノ便ヲ妨ケ若クハ詐僞ノ手段ヲ以テ其選擧權ノ施行ヲ妨害シタル者ハ第六條暴行ノ例ニ依リ處斷ス
第八條 第六條及第七條ニ記載シタル所業ヲ爲シテ第二條ニ記載シタル目的ヲ達シタル者ハ二月以上二年以下ノ輕禁錮ニ處シ五圓以上五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第九條 選擧人ヲ脅逼シ若クハ選擧會場ヲ騷擾シ又ハ投票函ヲ抑留毀壞若クハ劫奪スルノ目的ヲ以テ多衆ヲ嘯聚シタル者ハ二月以上二年以下ノ輕禁錮ニ處シ五圓以上五十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
其情ヲ知リ嘯聚ニ應シタル者ハ十五日以上二月以下ノ輕禁錮又ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十條 選擧ノ際選擧ニ關スル吏員若クハ選擧掛ニ暴行ヲ加ヘ又ハ暴行ヲ以テ選擧會場ヲ騷擾シ又ハ投票函ヲ抑留毀壞若クハ劫奪シタル者ハ三月以上三年以下ノ輕禁錮ニ處シ十圓以上百圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第十一條 多衆ヲ嘯聚シテ第十條ノ罪ヲ犯シタル者ハ二年以上五年以下ノ輕禁錮ニ處シ二十圓以上二百圓以下ノ罰金ヲ附加ス
其情ヲ知リ嘯聚ニ應シタル者ハ十五日以上六月以下ノ輕禁錮又ハ四圓以上四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十二條 第九條第十條第十一條ノ場合ニ於テ犯罪者戎器又ハ兇器ヲ携帶シタルトキハ各本刑ニ一等ヲ加フ
第十三條 選擧會場所在ノ郡市內ニ於テ選擧ノ氣勢ヲ張ル爲多衆集合シ若クハ隊伍ヲ組ミテ往來シ又ハ篝火松明ヲ焚キ若クハ鐘皷法螺喇叭ノ類ヲ鳴ラシ旗幟其他ノ標章ヲ用井ル等ノ所業ヲ爲シ警察官ノ制止ヲ受ルモ仍其命ニ從ハサル者ハ十五日以上二月以下ノ輕禁錮ニ處シ三圓以上三十圓以下ノ罰金ヲ附加ス
第十四條 被選人タルコトヲ得ル者ヲ指シテ被選人タルコトヲ得ス又ハ當選ヲ承諾スルノ意ナシトノ虛報ヲ流傳セシメタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十五條 戎器又ハ兇器ヲ携帶シテ選擧會場ニ入リタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條 第二條ニ記載シタル目的ヲ以テ張札ノ類ヲ公然揭示シタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十七條 他人ノ姓名ヲ詐稱シテ投票ヲ爲シ又ハ選擧人タルコトヲ得スシテ投票ヲ爲シタル者ハ三圓以上三十圓以下ノ罰金ニ處ス
第十八條 當選人第二條乃至第十六條ニ依リ刑ニ處セラレタルトキハ其當選ハ無効トス
第十九條 本法ニ規定シタルモノノ外刑法ニ正條アルモノハ各〻其條ニ依リ重キニ從テ處斷ス
第二十條 本法ニ關スル犯罪ハ六箇月ヲ以テ期滿免除トス
第二十一條 本法ハ市町村會ノ外市制町村制竝ニ明治二十二年法律第十一號ニ據リテ開設スル各種ノ議會ノ議員選擧ニモ適用ス