小学校令
法令番号: 勅令第十四號
公布年月日: 明治19年4月10日
法令の形式: 勅令
朕小學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年四月九日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
文部大臣 森有禮
勅令第十四號
小學校令
第一條 小學校ヲ分チテ高等尋常ノ二等トス
第二條 小學校ノ設置區域及位置ハ府知事縣令ノ定ムル所ニ依ル
第三條 兒童六年ヨリ十四年ニ至ル八箇年ヲ以テ學齡トシ父母後見人等ハ其學齡兒童ヲシテ普通敎育ヲ得セシムルノ義務アルモノトス
第四條 父母後見人等ハ其學齡兒童ノ尋常小學科ヲ卒ラサル間ハ就學セシムヘシ其就學ニ關スル規則ハ文部大臣ノ認可ヲ經テ府知事縣令ノ定ムル所ニ依ル
第五條 疾病家計困窮其他止ムヲ得サル事故ニ由リ兒童ヲ就學セシムルコト能ハスト認定スルモノニハ府知事縣令其期限ヲ定メテ就學猶豫ヲ許スコトヲ得
第六條 父母後見人等ハ小學校ノ經費ニ充ツル爲メ其兒童ノ授業料ヲ支辨スヘキモノトス其金額ハ府知事縣令ノ定ムル所ニ依ル
第七條 寄附金及其他ノ收入金アリテ小學校ノ經費ニ供スルトキハ其收入及支出ノ方法ハ府知事縣令ノ定ムル所ニ依ル
第八條 授業料及寄附金等ヲ以テ小學校ノ經費ヲ辨シ能ハサル場合ニ於テハ區町村會ノ議決ニ依リ區町村費ヨリ其不足ヲ補フコトヲ得
第九條 小學校敎員ノ俸給旅費ハ府知事縣令ノ定ムル所ニ依ル
第十條 小學校資金ノ收入及支出ハ其管理者ヨリ每三箇月府知事縣令ニ報吿スヘシ
第十一條 小學校ニ屬スル資產ノ管理ニ關スル規程ハ府知事縣令ノ定ムル所ニ依ル
第十二條 小學校ノ學科及其程度ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十三條 小學校ノ敎科書ハ文部大臣ノ檢定シタルモノニ限ルヘシ
第十四條 私立學校ニ於テ小學校ト均シキ普通敎育ヲ兒童ニ施サントスルモノハ豫メ府知事縣令ノ認可ヲ經ヘシ
第十五條 土地ノ情況ニ依リテハ小學簡易科ヲ設ケテ尋常小學科ニ代用スルコトヲ得但其經費ハ區町村費ヲ以テ之ヲ支辨スヘシ
第十六條 小學簡易科敎員ノ俸給ハ地方稅ヲ以テ之ヲ補助スルコトヲ得
朕小学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治十九年四月九日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
文部大臣 森有礼
勅令第十四号
小学校令
第一条 小学校ヲ分チテ高等尋常ノ二等トス
第二条 小学校ノ設置区域及位置ハ府知事県令ノ定ムル所ニ依ル
第三条 児童六年ヨリ十四年ニ至ル八箇年ヲ以テ学齢トシ父母後見人等ハ其学齢児童ヲシテ普通教育ヲ得セシムルノ義務アルモノトス
第四条 父母後見人等ハ其学齢児童ノ尋常小学科ヲ卒ラサル間ハ就学セシムヘシ其就学ニ関スル規則ハ文部大臣ノ認可ヲ経テ府知事県令ノ定ムル所ニ依ル
第五条 疾病家計困窮其他止ムヲ得サル事故ニ由リ児童ヲ就学セシムルコト能ハスト認定スルモノニハ府知事県令其期限ヲ定メテ就学猶予ヲ許スコトヲ得
第六条 父母後見人等ハ小学校ノ経費ニ充ツル為メ其児童ノ授業料ヲ支弁スヘキモノトス其金額ハ府知事県令ノ定ムル所ニ依ル
第七条 寄附金及其他ノ収入金アリテ小学校ノ経費ニ供スルトキハ其収入及支出ノ方法ハ府知事県令ノ定ムル所ニ依ル
第八条 授業料及寄附金等ヲ以テ小学校ノ経費ヲ弁シ能ハサル場合ニ於テハ区町村会ノ議決ニ依リ区町村費ヨリ其不足ヲ補フコトヲ得
第九条 小学校教員ノ俸給旅費ハ府知事県令ノ定ムル所ニ依ル
第十条 小学校資金ノ収入及支出ハ其管理者ヨリ毎三箇月府知事県令ニ報告スヘシ
第十一条 小学校ニ属スル資産ノ管理ニ関スル規程ハ府知事県令ノ定ムル所ニ依ル
第十二条 小学校ノ学科及其程度ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十三条 小学校ノ教科書ハ文部大臣ノ検定シタルモノニ限ルヘシ
第十四条 私立学校ニ於テ小学校ト均シキ普通教育ヲ児童ニ施サントスルモノハ予メ府知事県令ノ認可ヲ経ヘシ
第十五条 土地ノ情況ニ依リテハ小学簡易科ヲ設ケテ尋常小学科ニ代用スルコトヲ得但其経費ハ区町村費ヲ以テ之ヲ支弁スヘシ
第十六条 小学簡易科教員ノ俸給ハ地方税ヲ以テ之ヲ補助スルコトヲ得