-
『人事興信録』データベースについて
『人事興信録』は、明治35(1902)年に内尾直二が人事興信所を創業した翌年に創刊した人物情報誌です。近代日本社会の最上層の人々を採録し、身分・職業だけでなく、戸籍調査等に基づく家族・親戚情報を掲載した点に特徴があります。2,3年毎に記載事項を更新し版を重ね、昭和9(1934)年に株式会社となり、戦時下で類書の統合を経て、平成21(2009)年まで刊行され続けました。
『人事興信録』は、人物情報のレファレンス資料として幅広く活用されてきました。それにだけにとどまらず、『人事興信録』は、明治以降の急速な西洋文明化、工業化、都市化、海外進出、戦争、恐慌等の影響を受けて日本社会がどのように変化したのかを解明する人文社会学における重要な研究資源だと考えられます。しかし、人名索引しかないため、収録されている多彩な情報を十分活用できていませんでした。国立国会図書館のデジタルコレクションでは、電子画像が一般公開されており閲覧が可能です。しかし、検索システムがないため、「いろは順」に並べられた数万名に及ぶ採録者の情報は、人名の検索すら容易ではありません。
本データベースは、『人事興信録』に掲載されている特定の版の情報を、そのまま全文テキストデータとして電子化し、そこから、個人単位の情報(性別、生年月日、出自、身分、位階勲等、家族、親戚、学歴、職歴、住所等)を抽出して作成したものです。全文検索はもちろん、抽出した個別項目を使って検索をすることもできるようになっています。現在は、初版(明治36年版)、第四版(大正4年版)、第八版(昭和3年版)を公開しています。
他の歴史資料・文献との照合を行いながら、江戸時代から明治時代への体制転換を経たエリートの属性、産業革命による工業化・富裕化する社会における信用調査・秘密探偵業の勃興、新旧華族からなる「新貴族」の形成、家制度と女性の変化の解明等、様々な側面から新しい研究成果を生み出すことに成功しています。さらに、複数の版の『人事興信録』を照合することにより、十数年にわたる自由主義の時代の富裕層について、経済変動の影響、政党及び国家との関係の変化を見通す分析をおこなっています。 -
検索
[A-1] - 検索対象とする項目を指定した検索ができます。
- 項目の右に付いているボタンが「and」の場合は、スペースがand検索として機能します。 クリックで「or」に切り替えることができ、この場合は、スペースがor検索として機能します。
- プルダウンから選択して指定する項目は、クリックすることで選択でき、選択されたものは、色が変わりチェックマークが入ります。 もう一度クリックすると、選択が解除されます。同時に複数の項目にチェックを入れることができます。 上の「全選択」「解除」ボタンで、一括選択・解除ができます。 各項目の右側の数値は、該当者の人数を示しています。
- 各項目間は、デフォルトではand検索となりますが、下部の「項目間の検索」からor検索に切り替えることができます。
全項目一括検索 全項目を一括して検索できます。例えば、「福沢諭吉」は、採録者ではありませんが、親や記述部分に登場します。どの項目でもいいから関係あるものを探したい場合や、どの項目に記載されているかわからない場合にお使いください。 版指定 検索対象とする版を指定することができます。 採録者名 採録者名による検索ができます。『人事興信録』には、辞書・辞典の「見出し」に相当するものとして、氏名が記載されています。本研究では、この部分を指す用語として、「採録者名」という言葉を用い、採録されている者を「採録者」と呼んでいます。 読みを使ったひらがなやローマ字による検索もできますが、読みは自動的に推定しているため、正しい読み方とは異なる場合があります。 性別 採録者の性別による検索ができます。性別は、『人事興信録』には明示されていないため、記述部分から推定しています。 生年月日 記述部分から自動的に取得した採録者の生年月日による検索ができます。「日付指定」を選んだ場合は、その年月日に出生した採録者を検索します。「範囲指定」を選んだ場合は、その範囲の年月日に出生した採録者を検索します。年・月・日は、いずれかが空でも構いません。 年齢 採録者の生年から計算した満年齢による検索ができます。「年齢指定」を選んだ場合は、その年齢の採録者を検索します。「範囲指定」を選んだ場合は、その範囲の年齢の採録者を検索します。デフォルトでは、『人事興信録』の出版年を基準とした年齢となっていますが、基準年を変更することも可能です。 位階 採録者の位階による検索ができます。 勲等 採録者の勲等による検索ができます。 功級 採録者の功級による検索ができます。 爵位 採録者の爵位による検索ができます。 その他・資格 採録者の資格として、「麝香間祗候」と「錦鷄間祗候」による検索ができます。 身分 採録者の身分による検索ができます。身分が明示されていない場合でも、有爵者は、華族としています。 在籍地 採録者の在籍地による検索ができます。『人事興信録』において、身分と共に記載されている道府県等を、在籍地としています。 旧身分・家柄 旧身分・家柄が記載されている採録者を検索できます。旧身分として、将軍家・幕臣・公卿・琉球王・城主・領主・藩主・国老・家老・藩士が該当します。家柄として、○○家一門・分家といった形式で記載されているものが該当します。 職業 採録者の職業による検索ができます。 親 記述部分から推定した採録者の親の氏名による検索ができます。 親との続柄 記述部分から推定した採録者の親との続柄による検索ができます。 家族 採録者の家族欄を検索できます。 記述部分(略伝) 採録者の記述部分(略伝)を検索できます。 出身校 記述部分からパターンマッチングをして取得した採録者の出身校による検索ができます。 政党 記述部分に記載されている政党名による検索ができます。 所得税・営業税 採録者の納税額による検索ができます。
第十版から登場する項目であるため、公開版では使用できません。
第四版では、『日本紳士録』第19版(大正3年12月、交詢社)から同一人物を推定し、注記した上で税額を表示していましたが、別の情報を混在させることは不適当と考え、削除いたしました(2019年2月6日)。住所 採録者の住所による検索ができます。原記載では、道府県名が省略されている場合がありますが、その場合でも道府県名を補っています。 電話番号 採録者の電話番号による検索ができます。 参照人物(親類) 『人事興信録』において「参照」として挙げられている氏名による検索ができます。 参照次数 『人事興信録』において「参照」として挙げられている人物をノードとするネットワークを描いた場合の次数を用いて検索できます。
-
検索結果一覧
検索結果一覧画面には、採録者名・生年月日と、検索に使用した項目が表示されます。
検索に使用したキーワード等はハイライトされます。(全項目一括検索で検索した場合は、除きます。)
各項目は、∧∨をクリックして、昇順または降順に並び替えることができます。
例:採録者名「井上」、記述部分(略伝)「東京帝国大学」をキーワードにして検索した結果
-
詳細表示画面
[B-1] 採録者名を表示しています。 [B-2] 記載内容を各項目ごとに表示しています。表示される各項目については、検索に関する [A-1] も参照してください。 - 「記述部分(略伝)」は、内容を読みやすくするために、家系に関する事項と家族に関する事項を別の段落に分ける処理をしています。
- 「参照人物(親類)」は、リンクになっており、名前をクリックして該当人物にアクセスできます。
- 「読み」は、自動的に推定しているため、正しい読み方とは異なる場合があります。
- 「別名」は、記述部分に出てくる「前名」や「幼名」を表示しています。
[B-3] 『人事興信録』の該当ページの画像を表示します。 [B-4] 関連情報を表示します。 - 他版にも掲載がある場合、そのページにアクセスすることができます。
-
『人事興信録』中に実親子関係がある採録者がいる場合、該当人物を表示します。
表示したページの採録者本人は赤色で表示されます(図は、「安田善之助」のページから開いた場合)。
実親子関係でつながっている採録者はすべて表示されるため、兄弟も表示されます。
もっとも、親子関係を表示する機能であるため、親が採録されていない場合には、兄弟がいても表示されません。
-
データベース開発状況
- 第七版[1925(大正14)年8月] (制作中)
- 第九版[1931(昭和6)年] (完了)
- 第十版[1934(昭和9)年] (完了)
- 第十四版[1943(昭和18)年] (制作中)
- 第十五版[1946(昭和23)年] (制作中)