336 肥料の生産、分配及び使用に關する覺書
一九四六年五月一七日
1. 日本に於ける肥料の深刻な不足に鑑みて、日本帝國政府は卽時次の各項を達成するための措置を講ずるやう指令さた。
a. 金肥(販賣肥料)
(1) 總ての金肥の現在生產量を增加し、將來の生產に於ても急速繼續的增產を確保すること。日本政府の處置は次の各項の實施を確保するため、總ての政府機關を卽時協力せしめる措置を含むべきこと。
(a) 價格 生產者及び消費者の雙方に對して公正均等な價格を設定維持すること。如何なる場合に於ても、價格差のため生產が減少されることなきやうすること。
(b) 原料 現在及び將來の生產施設の完全使用を確保し得るやう、關係工場の總てに對し石炭その他原料を十分に割當て引渡すこと。
(2) 窒素工場の修理及び轉換に關し、日本政府は次の通り指令された。
(a) 要求事項の卽時決定と必要裝備の位置決定、引渡及び設置によつて許可された工場の急速な修理及び轉換を實施すること。認可工場は本覺書の別紙附屬書に記載されてゐるものである。一覽表所載以外の窒素工場の修理轉換は、聯合國最高司令部の認可によるの他着手されてはならない。
(b) 本指令受領後三週間以內に、以下に從つて修理及び建造に要する裝備及び材料の一覽表三通を聯合國最高司令部に提出のこと。
1. 已に操業し得られる工場に於て一九四六年度の窒素肥料生產を著しく增加するに必要であつて、然も日本の公私機關が利用し得る源泉からは入手出來ない材料種目の全部。
2. 上記指令に從つて列記された以外の材料種目で、認可された工場の修理及び轉換を完成するため必要であり、然も日本の公私機關が利用し得る源泉からは入手出來ないもの全部。
b. 副製肥料
(1) 現在利用されてゐる副製肥料を最大限に活用すること。
(a) 副製肥料とは堆肥、混合肥料、綠肥、下肥、その他肥料として使用し得られる木灰、臺所屑、商品廢物の如き植物養分の源泉をいふ。
(2) 日本政府は本指令受領後三週間以內に、副製肥料の活用を增進するため必要であり、然も現在入手し得ない裝具資材の一覽表を提出するやう指令された。各要求事項を確證するため、その必要の正當なことを示す情況を提示せねばならない。
(3) 都市より農園に對する下肥の集荷引渡が促進せられること。
c. 肥料の生產、分配及び使用を增進する一般的措置
(1) 肥料の生產工場から農園への移動を促進せしめること。
(2) 金肥及び農場生產肥料の取扱、貯藏、輸送及び作物に施す場合に起る損耗を最小限にすることを確保するため管理措置を開始すべきこと。
(3) 最も緊急を要する地域に對する肥料の配給には特別の考慮が拂はるべきこと。
(4) 農場生產肥料の生產と有效な使用法についての知識を廣く農夫に與へるため、あらゆる可能な手段を用ひた强力な敎育計畫が卽時開始せらるべきこと。この計畫は最大限の收穫を得るために金肥及び農場生產肥料を施し、又使用する上に於ても優れた旣知の方法を用ふることの必要を强調すること。
2. 日本政府は更に半月每に肥料報吿書を聯合國最高司令部に提出するやう指令される。これらの報吿書は上に列記された肥料問題の各部面に關して、日本帝國政府によつて講ぜられた措置の記述を含まねばならない。最初の報吿は金肥及び農場生產肥料の增產實施上、日本帝國政府によつて講ぜられるべき措置計畫案を含まねばならない。報吿は一五日期間に亙るもので各月一日及び一五日より一週間以內に提出せられねばならない。
別紙一通
窒素肥料の製造を認可せられた工場一覽