四二　外國爲替資産及關係事項ノ報告ニ關スル覺書
（一九四五年一〇月六日）
一　「金融取引ノ統制ニ關スル件」ト題スル昭和二十年九月二十二日附當司令部覺書ノ附屬文書ニ述ベラレシ諸定義ハ本覺書ニモ適用サレルモノトス。尙次ノ定義モ追加ス
A　「外國爲替資產」ハ金銀貨、金、銀、白金ノ地金及ビ地金ノ形態ニ於ケルコレラノ合金及ビ外國資產ヲ含ムモノトス
B　「所有權ヲ證明スル書類」ハ證券、土地權利證、抵當證券、銀行預金通帳又ハ證書、受領證、小切手、送金手形、約束手形、爲替手形、債務證書、著作權、商標權、特許權、又ハコレニ準ズモノヲ包含スルモ之ノミニ限ラルルモノニ非ズ
二　日本政府ハ直ニ日本內地ニアル凡テノ銀行、信託會社、保險會社、證券仲買人其他ノ金融機關ヲシテ、自己ノ勘定タルト否トヲ問ハズ保有スル一切ノ外國爲替資產及ビ一切ノ所有權ヲ證明スル書類竝ニソレニ關スル帳簿書類又ハ報吿ヲ一括分離スルヤウ適當ノ措置ヲ執ルベシ
三　日本政府ハ當司令部ノ許可ナクシテ一切ノ外國爲替資產若クハソレラノ所有權ヲ證明スル書類乃至ハソレラニ關スル帳簿、書類又ハ報吿等ヲ金融機關內ノ金庫室又ハ安全保管函或ハソノ他ノ安全保管場所ヨリ移動セシメザルヤウ直チニ必要ノ措置ヲ執ルベシ。本覺書ニ規定スル報吿ヲ作成スルタメ必要アル場合ハ移動ヲ許可スベキモ、上記第二項ニヨリ分離サレタル保有者タル金融機關ニ引渡スベキモノナリ
四　日本政府ハ日本國內ニ在ル凡テノ者ノ所有管理又ハ押收セル一切ノ外國爲替資產ノ報吿ヲ次ノ如キ順序ニ於テ當司令部ニ提出スベシ
A　日本帝國政府、縣廳及道廳ニソノ政府機關ガ直接タルト間接タルヲ問ハズ、全部タルト一部タルヲ問ハズ、所有又ハ管理シアル一切ノ外國爲替資產又ハソレラノ所有權ヲ證明スル書類ノ完全ナル報吿ヲ三十日以內ニ當司令部ニ提出スベシ
B　皇室ガ直接タルト間接タルヲ問ハズ、全部タルト一部タルヲ問ハズ、所有又ハ管理スル一切ノ外國爲替資產又ハソレラノ所有權ヲ證明スル書類ノ完全ナ報吿ヲ三十日以內ニ提出スルコト
C　銀行、信託會社、證券仲買人其他ノ金融機關ガ、直接タルト間接タルヲ問ハズ、全部タルト一部タルヲ問ハズ、所有又ハ管理スル一切ノ外國爲替資產、又ハソレラノ所有權ヲ證明スル書類ノ完全ナル報吿ヲ四十五日以內ニ提出スルコト
D　他ノ商會、協會、組合其他ノ組織團體ガ直接タルト間接タルヲ問ハズ、全部タルト一部タルヲ問ハズ、所有又ハ管理スル一切ノ外國爲替資產又ハソレラノ所有權ヲ證明スル書類ノ完全ナル報吿ヲ六十日以內提出スルコト
E　日本國內ニ在住スル其他ノ凡テノ個人ガ直接タルト間接タルヲ問ハズ、全部タルト一部タルヲ問ハズ、所有又ハ管理スル一切ノ外國爲替資產及ビソレラノ所有權ヲ證明スル書類ノ完全ナル報吿ヲ七十五日以內ニ提出スルコト
F　日本國內ニ在住スル者ノ所有又ハ管理スル外國爲替資產及ビソレラノ所有權ヲ證明スル書類ニシテ、今迄ニ報吿セラレザリシモノニツキテハ、九十日以內ニ完全ナル報吿ヲ提出スルコト
五　各人ノ保有スル持分ハ當司令部ガ豫メ指示セル書式及方法ニ從ヒ別別ニ報吿スベシ。日本政府ハ五日以內ニ、日本側ニ於テ使用ヲ希望スル書式ヲ當司令部ニ提出スベシ
六　報吿ハ凡テ六通ノ謄本ヲ要ス
七　何分ノ通知アル迄ハ、本覺書第二項ノ規定ハ當司令部ノ指令ニヨリ閉鎖セラレシ機關ニハ適用セラレズ。報吿準備ノタメコレラ閉鎖機關ノ帳簿及ビ記錄ヲ檢セントスル者ハソノ旨大藏省ニ申出ヅルヲ要シ、大藏省ハ右事實ヲ當司令部ニ屆出ヅルモノトス
八　日本政府ハ直ニ當司令部ニ對シ、右要求ニ對シ執リタル措置ヲ報吿スベシ