二九七 現存指令の不履行及びその結果生じた救濟用豫備物品の不足及び救濟用衣類の不十分な配給に關する覺書
一九四六年四月二六日
1. 一九四五年一二月二一日附日本帝國政府宛の覺書「救濟配給のため保管されてゐる豫備物資」に關する件の第二項c、第三項及び第四項及び一九四六年二月二一日附日本帝國政府宛覺書「救濟目的のため保管されてゐる冬衣類配給」に關する件の第二項參照すること。
2. 前記第一項に述べられてゐる指令不履行の情報が受け取られてゐる。缺陷の明細次の通り。
a. 救助物資の配給が聯合國最高司令官の特別の承認を經ずしてなされた縣のあること。
b. 豫備救助物資目錄に見出された不同が、速やかに最高司令官に報吿されなかつたこと。
c. 救濟用豫備物資の配給計畫案に關聯して制定された一切の規則及び訓令の英譯寫しが聯合國最高司令官に提出されなかつたこと。
d. 救濟目的を以て保管されてゐた冬衣類及び毛布の配給が、いくつかの府縣に於て始められなかつたこと。
e. 日本帝國政府の代理機關として行動する厚生省は、各地域每の必要を基礎として各府縣に救濟用豫備物資の割當配給をしなかつたこと。
f. 補給物資の變質及び盜難を防止するための、適切な貯藏、保管及び循環を怠つた府縣がいくつかあつたこと。
3. 日本帝國政府は卽時これらの缺陷を是正し、一切の府縣及び地方政府關係官吏が救濟用豫備物資に關聯するその義務と責任について、十分の知識を與へられるやう保證することによつて、再びかゝる不履行の起らないやう措置を講ずる必要がある。
4. 講ぜられた措置についての報吿書は、遲くとも一九四六年五月三日までに聯合國最高司令官に提出されねばならない。