二八六 掠奪された財産の沒收と報告に關する覺書
一九四六年四月一九日
1. 日本帝國政府は一九三七年七月七日以來、日本軍によつて占領された地域に於て强制による移轉、沒收、剝奪又は掠奪等の不法行爲の對象となり(それが法規に從つたものであると、又は法律の形式を踏んだような手續によると、又はその他の方法によつたものであるとを問はず)、現在日本國內にあるところの明らかに不法取得されたものと認められる總ての財產についてその明細目錄を求め、直ちにその財產を沒收すべきことを命ぜられた。
2. 完全な財產目錄は一九四六年六月一日までに聯合國最高司令部に提出されることを要し、その財產が取得された領土又は地域每に作製され、次の各項を含まねばならない。
a. 財產の詳細說明
b. 數量
c. 押收時の所有者の氏名
d. 財產の日本到着後の處分
e. 現在の權原保持者とその住所
f. 財產の現在の所在地
この財產目錄五通が聯合國最高司令部に英文にて提出されることを要する。
3. 日本帝國政府はこの種の財產のすべてを保管し、それら財產の取引と移動を許可しないやうに指令される。
4. 日本帝國政府は上記の指示事項を含み、違反者に對する適切な罰則を規定した法令を發布することを要する。かゝる法令五通が日英兩文にて、一九四六年五月七日までに聯合國最高司令部に提出されねばならない。