二七三 輸出向絹纖物の生産に關する覺書
一九四六年四月八日
1. 日本帝國政府は生絲在庫品を解除し、日本國內にて織物を生產しその織物を本覺書に記されてゐる指示に從つて處分するやう指令する。
2. 五萬五千內地俵(各俵八三ポンド)の生絲在庫品は、次の條件附で一九四六年四月一日より六月三〇日迄の期間に解除されねばならない。
a. 織機業者の手にある開封俵、Eよりも低い等級俵及び等級を問はず四二デニールよりも粗な絲のみ使用して差支ない。如何なる場合にも織機業者は、一九四五年一二月三一日の目錄に報吿された數量の輸出等級未開封俵數を所有してゐなければならない。輸出等級には等級E以上のものが含まれる。
b. 日本帝國政府によつて指定された公認機關が、輸出向生產をなすやう選んだ特定織機業者の間に右の生絲を割當てること。
c. すべての割當は右機關によつて番號が與へられ、右機關はこのやうにして給付された生絲に對する割當番號を各織機業者に發行する。この割當番號はこのやうにして解除された生絲で生產された完成織物の目錄一切に含まれる(附屬書第二參照)。指定された政府機關は生絲割當の詳細及び日本で生產される一切の絹について洩れなく述べた月々の報吿書を提出するやう指示されねばならない。この目錄は一九四六年一月一日現在に遡るものとする。
3. 絹織物は次に列擧する所に從つて生產されるものとする。
a. 純絹廣巾織物のみを生產すること。
b. 織物の種類とその率は次の通り
クレープ 二八% 羽二重 三八%
富士絹 一〇% 繻子 三%
琥珀織 二・五% ポプリン 二・五%
ネクタイ 三% ジヨーゼツト 二・五%
ビロード 二% 肌衣 二・五%
新型織方 三% 篩布 三%
c. 前記數量は別途の指令なき限り生絹にて輸出さるべきこと。
4. 完成絹織物は次の通り處置せらるべきこと。
a 完成製品は附屬書第一に從つて檢查檢閲を受けるため、蒐荷の上適當な倉庫に貯藏せらるべきこと。
5. 本指令に從つて生產され、倉庫に貯藏された絹織物の目錄は、附屬書第二によつて每週提出せられねばならない。
6. 見本は每週の目錄と共に提出され、生產者の指定割當番號を記入すること。日本帝國政府は「合格及び不合格」となつた織物の處分について、聯合國最高司令官によつて通吿せられる筈である。
7. 日本帝國政府より公式に生絲の割當を受けずに生產された織物は、檢查のために受容れられることなく、又一九四五年一二月一三日附の指令「生絲絹半製品、生絹及び絹完成品の目錄」に關する件に從つて、前以つて目錄に記載されてゐない絹は、生產又は賣却に提出されてはならない。
8. 日本帝國政府は本指令の規定條項嚴守を確保するため適切な規則及び罰則を直ちに設定するやう指令する。
附屬書二通
1. 檢查及び荷造措置
2. 目錄書式