二六八 聯合國と交戰關係に在つた諸國の國民に對する制限に關する覺書
一九四六年四月五日
1. 終戰連絡中央事務局書翰第一三三三(五・一)號、「聯合國と交戰關係に在つた諸國民の制限」に關する件の囘答として、日本帝國政府宛の覺書(一九四五年一二月一二日)「聯合國と交戰關係に在つた諸國の國民に對する制限」に關する件について次の解釋と解明がなされた。
2. 關聯覺書のa項はこれを改めてその規定條項からシヤム(泰國)外交團のほか、伊太利國王及びバドリオ政權に忠誠を宣言した伊太利政府外交團及び領事關係員をも除外することとする。
3. 關聯覺書中、外交團に對する配給及び外交團の取扱を規定したa(2)項(但次の第六項の解釋による)及びa(4)項の規定條項は、次に擧げる舊傀儡政府の外交團及び領事關係員には適用しない。
a. 舊南京中國政府
b. 舊フィリッピン政府
c. 舊ビルマ政府
d. 舊滿洲國政府
4. 關聯覺書a項の「外交團」なる用語は、外交代表及び領事代表及びその館員並に家族を含む。
5. 關聯覺書a項の規定に該當する外交人員は、引續き自辨にて日常食料及び必要品を購入し、住居を賃貸借するものとする。
6. 關聯覺書a(2)項について「基準配給」とは、「外交團に對する配給」を意味するもので、日本政府所定の糧食日用品配給を意味するものとは解釋せられない。
7. 外交人員に對する增加給與については、一九四五年一〇月二日附の日本帝國政府宛覺書に擧げられてゐる數字を超過する追加引出が許可せられることは豫期されてゐない。
8. 一九四五年一一月二三日附、日本帝國政府宛の覺書に規定されてゐる外交人員の移動に關する方針は、現在何等の變更も加へられてゐない。
9. 關聯覺書b項の規定條項は、一九四五年一〇月三一日附、日本帝國政府宛の覺書「『聯合國』、『中立國』及び『敵國』の定義」に關する件中の定義による「敵國」の國民に限定せられる。
10. 「敵國」の國民に對し、現在居住する府縣外への旅行許可を與へる權限は從來通りその地方の防諜部分遣隊の手にある。
11. 一九四五年一〇月一六日附及び同年一〇月二九日附、日本帝國政府宛の覺書は何れも從來通り有效である。