239 恩給年金及び利益に關する覺書
一九四六年三月一九日
1 左記の覺書を參照せよ
a 一九四六年二月五日附、聯合國最高司令部發、終戰連絡中央事務局發、第五三九(二・一)號「恩給年金及び利益」に關する覺書。
b 一九四五年一一月二四日附、聯合國最高司令部發、日本帝國政府宛、「恩給年金及び利益」に關する覺書。
2 關係書類(b)は、「戰爭勤務」に分類された總ての恩給及び扶助料證書が、一九四六年二月一日現在で失效すべきことを要求してゐる。
3 「文官勤務」の分類に屬する恩給及び扶助料證書については、日本帝國政府は責任を以て遲くとも一九四六年七月一日迄に、「無疵な」證書、卽ち、證書の所有者が全然軍勤務の期間を持つてゐない場合と、「疑はしい」證書、卽ち、恩給年限の一部が軍勤務を基にしてゐるかも知れない場合との區別を決定する爲め、豫備的調查を完了しなくてはならない。一九四六年四月中になさるべき支拂は、恩給局の綴込書類の調查未完了の場合には、これを行つても差支ない。併し乍ら四月三〇日以後に於ては、「無疵な」證書又は、軍勤務期間又はこれに對する權利を除外する爲め訂正の完了した證書以外については、一切支拂をしてはならない。又四月以前に「疑はしい」證書であることが判明したものについては、支拂は許されない。尙その後訂正された證書に對する四月分の支拂超過額は、今後の支拂金から差引くことが必要である。
4 前記關係書類(b)によつて支拂停止となつた軍恩給の支拂については、支拂が二月以前に豫定されてゐたものであつて、機械的又は技術的な過誤によつて遲延してゐた場合にのみ、一九四六年二月一日以後同年四月末日迄許可せられる。一九四六年二月一日迄に恩給局が承認したもの以外、一切の軍恩給支拂は許されない。
5 日本政府は、前記關係書類(b)に指令されてゐる通り、一切の傷痍軍人の恩典を縮小させねばならない。一九四六年四月に支拂ふべきものは、四月三〇日迄現在の豫定通り支拂つて差支ない。併し乍らそれ以後の支拂迄に、豫定計畫全般を改訂して、變更された率を超過する四月分支拂額は、今後の支拂額から控除しなければならない。
6 上に記した證書の調查及び支拂豫定計畫の改正と、その他關係書類(b)の規定條項の要求を完全に實施するに必要な措置を、出來るだけ速やかに完了することは、日本帝國政府の責任である。每月一〇日に、前月中に講ぜられた措置及び進捗狀況について、詳細な報吿を提出することが要求せられてゐる。