226 占領軍及びその家族の居住計畫に關する覺書
一九四六年三月六日
1 日本帝國政府に對し、一九四六年中に、約二萬家族を收容し得る家族住宅が要求せられる豫定である。この要求は本年末迄の間續くであらう。この要求を滿す爲に集團住宅の建設と、日本の請負業者及び勞働者を使用して從來もなされて來、又現在も續けられてゐる旣存の建物の改修工事も繼續せられる。右の家族住宅が、聯合軍の居住に適するやうにする爲、第八軍司令官は、計畫されるべき集團住宅及び旣存の建物の改修に對し計畫案と明細設計書とを提示する筈である。
2 この家族住宅の必要に應ずる爲、日本帝國政府は、次の處置を遂行する準備をなすことを要する。
a 必要な資材及び備品の生產
b 右資材及び備品の貯藏所への引渡
c 右資材が建設機關に引渡される迄の貯藏と保管
d 建設機關の要求に應ずる爲、右資材及び備品の製造、引渡の促進
e 第1項に槪說した全計畫に必要な請負業者又は建設機關の提供、及び家族住宅とこれに關聯する諸施設の建設實行に要する一切の監督者と勞務者の提供
f 改修又は建設されるアパート建築、家族住宅團及び集團住宅の維持整備
3 日本帝國政府は右計畫案の迅速な實施を計畫指揮する爲、團體又は機關を設定しなければならない。この團體又は機關は、常時聯合國最高司令官の代表と連絡し得る事務所を持ち、尙主要建設地又はその近くに地方軍指揮官との直接連絡に當る事務所又は施設を持たねばならない。右建設機關の組織については、日本帝國政府各省に於て、勞務者の雇傭及び指揮の統制、ならびに必要各種資材の生產、運搬及び貯藏に關する統制上、最善の責任を負ふ者と直接關聯を持つ如きものとする必要がある。
4 右の家族住宅は早急に必要とせられることを豫想し、必要な資材及び備品の生產、集荷、貯藏は至急に着手し、建設が速かに開始され、一時も早く完成するやうしなければならない。附屬別紙二通は、入手を要する資材の種類と數量の大樣を示す資材表である。これらの目錄は最終的のものと考へてはならない。只生產開始の爲直ちに措置を講じ得るやう、必要な生產範圍を示すものとして提示されたものである。
5 この覺書に略記された生產計畫案に對する準備作業と完成の狀況報吿を、每週月曜日に米第八軍司令官に提出し、同時に聯合國最高司令官宛の報吿書をも添附しなければならない。
別紙
1資材表 家族住宅
2資材表 軍人宿舍