一八九 若干の外廓地域を政治上行政上日本から分離することに關する覺書
一九四六年一月二九日
一 日本國外の總ての地域に對し、又その地域內にある政府役人、雇傭員その他總ての者に對して、政治上又は行政上の權力を行使すること、及、行使しようと企てることは總て停止するやう日本帝國政府に指令する。
二 日本帝國政府は、已に認可されてゐる船舶の運航、通信、氣象關係の常軌の作業を除き、當司令部から認可のない限り、日本國外の政府の役人、雇傭人其の他總ての者との間に目的の如何を問はず、通信を行ふことは出來ない。
三 この指令の目的から日本と言ふ場合は次の定義による。日本の範圍に含まれる地域として
日本の四主要島嶼(北海道、本州、四國、九州)と、對島諸島、北緯三〇度以北の琉球(南西)諸島(口之島を除く)を含む約一千の隣接小島嶼
日本の範圍から除かれる地域として
(a)欝陵島、竹島、濟州島。(b)北緯三〇度以南の琉球(南西)列島(口之島を含む)、伊豆、南方、小笠原、硫黃群島、及び大東群島、沖ノ鳥島、南鳥島、中ノ鳥島を含むその他の外廓太平洋全諸島。(c)千島列島、齒舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志發、多樂島を含む)、色舟島。
四 更に、日本帝國政府の政治上、行政上の管轄權から特に除外せられる地域は次の通りてある。
(a)一九一四年の世界大戰以來、日本が委任統治その他の方法で、奪取又は占領した全太平洋諸島。(b)滿洲、臺灣、澎湖列島。(c)朝鮮及び、(d)樺太。
五 この指令にある日本の定義は、特に指定する場合以外、今後當司令部から發せられる總ての指令、覺書又は命令に滴用せられる。
六 この指令中の條項は何れも、ポツダム宣言の第八條にある小島嶼の最終的決定に關する聯合國側の政策を示すものと解釋してはらなない。
七 日本帝國政府は、日本國內の政府機關にして、この指令の定義による日本國外の地域に關する機能を有する總てのものの報吿を調製して、當司令部に提出することのを要する。この報吿は關係各機關の機能、組織及職員の狀態を含まなくてはならない。
八 右第七項に述べられた機關に關する報吿は、總てこれを保存し、何時でも當司令部の檢閲を受けられるやうにしておくことを要する。