一六九 若干の會社のなすべき報告に關する覺書
一九四六年一月一九日
一 以下に表記する各商社について、この覺書添附の別紙第一に詳記するやうな報吿書を聯合國最高司令部に提出することを指令する。
三井持株會社、三菱持株會社、住友持株會社、安田保善社、川崎重工業、日產株式會社、淺野本社、富士產業株式會社、澁澤同族會社、日本窒素肥料會社、古河鑛業株式會社、大倉鑛業株式會社、野村會社、理硏工業株式會社、日本曹達株式會社、滿洲投資證券株式會社、日立株式會社、日電興業株式會社
二 以下に表記する各家族について、この覺書添附の別紙第二に詳記するやうな報吿書を聯合國最高司令部に提出すること、並にこの各家族についての報吿書が完全且正確なものであることを當該家族の家長が證明することを指令する。
三井、岩崎、住友、安田、川崎、淺野、中島、澁澤、古河、大倉、野村、野口、鮎川、大河內
三 指令された報吿は、英語で橫八吋縱一一吋の用紙にタイプし、その五通を、この覺書の日附より三〇日以內に、最高司令部に提出しなければならない。
別紙第一―經營役員についての報吿書
一 一九四四年一月一日以後、その時期を問はず、首題覺書の第一項に表記した商社のいづれかにおいて、その管理又は經營に關與した各人について以下の報吿書を提出せよ。關與の範圍は、社長、專務取締役、取締役、業務執行社員、社員、業務顧問、監查役、工場支配人又は管理者の地位にあつた者、その會社の或る種類の株式の一パーセント又はそれ以上の收益的所有權を直接又は間接に有しした者、又はその他の方法で會社の經營或は政策決定の責任を果した者を含む。
(a) 氏名、業務と現住所
(b) 「制限會社一覽表」(一九四五年一二月八日附書翰の別紙)記載の企業に關係して占めた凡ての地位とその地位にあつた期間。
(c) その他の企業で占めた凡ての地位。
(d) 國策會社と特殊會社で占めた凡ての地位。
(e) 事業會社の凡ての社券、債券、社債、流通證券その他の形式の財務的利益。
一九四五年一月一日及び同年一一月一日に於て所有せるこれ等の利益の額と、その他の詳細事項とを次に述べる表の形で示すこと
持株の種類 四五・一・一日 一一・一日
會社名 株式數 額面價格 現在 現在
(f) 一九三五年一月一日以後、日本政府機關に於いて占めた凡ての公職と日本陸海軍に於て有した任務(地位と官等、その地位官等にあつた期間を正確に記入すること)。
(g) 祕密結社又は統制會に於て會員たりしこと及びその占めた凡ての地位(結社、又は統制會の名稱、會員であつたか又は地位に就いてゐた期間)。
(h)一九三五年一月一日以後、次の團體又はその前身團體の何れかに於て占めた凡ての地位とその地位に在つた期間。次の形式を用ひること。
團體名 會員又は役員たりしこと 自至
地位の性質を記すこと
日本經濟聯盟會、商工組合中央會、全國商工經濟會協議會、重要產業協議會、全國銀行協會聯合會
二 首題覺書第一項に表記した各商社と、その各子會社について、少くとも一九四五年九月二九日以後に於ける最近の貸借對照表と損益精算書とを含む財政報吿を提出せよ。
三 この報吿を提出する會社と、「制限會社一覽表」に表記された他の會社との間の凡ての相互關係、及びその會社の子會社と「制限會社一覽表」に表記された他の會社との間の相互關係について、完全な報吿書を提出せよ。この報吿書には次の事項の記載を要するが、その他にも記載事項があれば記すこと。
(a) 長期の又は繼續的な購賣契約。
(b) 特許免許又は特許權の交換に關する協定。
(c) 商標の使用に關する協定。
(d) 企業の經營又は管理に關する契約又は協定。
(e) 事業の金融に關する契約又は協定。
別紙第二―家族關係についての報吿
一 首題覺書の第二項に表記された家族の家長は、次の報吿を提出しなければならない。
(a) その家族の家憲の寫二通。ここに用ひた家憲といふ語は、例へば三井家遺言(訂正があればそれも含む)とか、その他一家の組織や各家族員相互間の義務を規定した書類を意味する。
(b) 別紙第一に從つて提出された報吿書中に揭げられた者で、その一家と血統、婚姻又は養子の關係によつて親類たる者の全員の名簿。その表には親類關係の性質を明示することを要する。若し記載の個人が、首題覺書の第二項に表記された他の家族と親類關係がある場合は、その關係の事實をも併せ記すことを要する。