一七〇 輸出統制に關する補足覺書
一九四六年一月一九日
一 關係書類―一九四五年九月二二日附覺書「金、銀、有價證券及金融上の諸證書の輸出入等の制限について」。
二 次の制限條項は日本國外にある一切の者に適用される。但し、次の者を除く。
(1)聯合國陸海軍將兵(2)聯合國陸海軍部隊に委託された者(3)朝鮮、臺灣、支那及琉球諸島人(4)ドイツ、ハンガリー、ブルガリヤ及ルーマニヤ人。
(a) 個人は、二五〇弗又はこれに相當する額を越えない通貨を、携行して差支ない。この額を越える通貨は、日本政府が保管し、領收書を發行すること。
(b) 個人は、個人の銀行通帳(日本の金融機關發行のものと否とを問はず)、個人の保險證書、不流通貯蓄證書、受取證、日本國內にある財產に關する所有權の證據書類、その他所有者が携行する一切の不流通金融書類を持ち出して差支ない。
(c) 日本政府は、一九四五年九月二二日附覺書に列擧されてゐる右以外の種目を保管して、その受取證を發行すること。
(d) 日本政府は、各人の出發前に、申吿書に署名を求めること。申吿書の寫は「附屬書類A」としてこの覺書に添附されてゐる。
(e) 外交官の特權を享受する資格ある者は、私有品の檢查、添附申吿書の署名に從ふ事を要求されない。
三 日本政府は、卽刻橫濱港に、右に述べた金融上の統制措置を實施する資格をもつた稅關吏を配置すること。今後最高司令部より指示される各出發港に於ても、同樣の用意をすること。
四 日本政府は、その保管に移した一切の種目について、目錄とその種類及所有者の氏名と國籍を記載した報吿書を、最高司令部に提出のこと。この報吿は、出發後五日以內に提出しなければならない。
五 日本政府は、この覺書實施の爲取つた處置について早急に、最高司令部宛報吿することを要する。