1202 從來ドイツ人が所有した特許、實用新案、意匠及び出願中のものの最終的處理に關する覺書
(SCAPIN2176)一九五一年一〇月一五日
1. 連合國最高司令部發日本政府宛の次の各覺書を參照すること:
a. 一九四五年九月一三日附(SCAPIN26)「連合國及び枢軸國財產の保護」に關する件
b. 一九四九年一〇月一三日附(SCAPIN2051)アメリカ、イギリス及びフランスが或種の在日前ドイツ人財產の所有者たることの通吿」に關する件
c. 一九五一年八月一日附(SCAPIN2051/1)「アメリカ、イギリス及びフランスが或種の在日ドイツ人財產の所有權者たることの通吿」に關する件
2. 現在合衆國、連合王國及びフランスの所有する首題の工業所有權を次の通り處置すべきことが決定された:
a. 上記第一項a參照覺書によって指令された沒收よりの解除
b. 新しい登錄濟所有者(單數または複數)への移轉及び、上記第一項a參照覺書の指令による沒收よりの解除
c. 法定の有効期間の滿了
d. 取消、申請中のものについては公示。
3. 日本政府通產省特許局は、登錄番號及び登錄者氏名によって確認された首題工業所有權の特定種目表を、その處理方法の明細に定めた指令と共に隨時提供される。處理される工業所有權が、連合國最高司令官によって承認された非獨占的使用料無料の免許に屬するもので、自由に取消し得るものである場合は、指令條項は、その工業所有權の處理と同時に免許の取消をも規定する。
4. 上記第二項aによる處理に關しては、登錄所有者が希望する場合は、この工業所有權の管理權を回復することができるが、日本政府は、登錄所有者に對して、右財產權が沒收處分から解除された日において滯納となっている管理手數料のすべての支拂いを要求することができる。日本政府は登錄所有者に對して、沒收解除公示の日から最低六ヶ月の裕餘期間を與え、所有者はこの間にその財產物權管理權の回復要求の意志を特許局に通吿し、またこの期間內に延滯手數料金を支拂うものとする。しかし日本政府は、その財產物件が上記第一項a.b及びc參照覺書の措置を受けていた期間の所有者の管理手數料未拂に對する罰則として、特別手數料または料金を課してはならない。所要手數料が日本政府の定めた猶豫期間內に支拂われない場合は、問題の工業所有豫は、右猶豫期間の終了後取消處分を受けるものとする。
5. 上記第二項bによる措置に關しては、日本政府は、所有權が新登錄所有者に移った日における延滯管理手數料一切の支拂を、新登錄所有者に要求することができる。特許局が權利移轉の通吿を受けた日から最低三ヶ月の猶豫期間が新所有者に與えられ、その期間內に右の支拂をなすものとする。しかし日本政府は、その財產物件が上記第一項a、b及びc參照覺書の處置を受けていた期間の管理手數料未拂の罰則として、特別手數料または料金を課してはならない。所要手數料が日本政府の定めた猶豫期間內に支拂われない場合は、問題の財產物件は、右猶豫期間終了後取消處分を受けるものとする。
6. 上記第二項dによる取消處分の場合においては、右取消は以上第一〇項に記されている通り公示以後六〇日をもって効力を發生するものとする。右公示には、處分される物件に利害關係を持つと信ずるものは何人たるを問わず、その猶豫期間に特許局に異議申立を爲すことができ、それによって取消處分を防止し得る旨の通吿を含むべきものとする。特許局に提出された異議申立は遲滯なく連合國最高司令部に送達してその決定を待ち、特許局はその決定まで、右物件の最終的處分を延期するものとする。
7. 申請中のものの上記第二項dによる處分及び公示に關しては、取消處分を受けた申請の中において明らかになった及び/または所有權の要求された事項に對しいかなる特許、實用新案または意匠も今後認可してはならない。但し、事實上又は推定上の申請提出日が取消された申請の日附より前である場合を除く。
8. 上記管理手數料は、支拂のなされるべき日に現存していた法定年賦金その他の手數料に從って計算されなければならない。
9. 處分後に登錄ドイツ人所有者が、所有權を保持している工業所有權を處分する場合には、右ドイツ人は年賦手數料の支拂われていない期間の使用料及び/または權利侵害の補償を要求してはならない。その他のすべての場合においては、いかなる場合にも、登錄ドイツ人所有者に對して、使用料及び/または權利侵害の補償を要求してはならない。
10. 上記第三項に記されている指示事項の受領後できる限り早い時期に、特許局はその中に指令されている措置を、適當な特許局刊行物において公吿しなければならない。第二項cによる處分については、期間滿了によって權利の消滅した特許、實用新案及び意匠が、沒收處分から解除されたか、またはやがて解除となり、一般の自由使用が差支えない旨公吿すれば十分である。
11. 本覺書のいずれの規定條項も、上記第一項a、b及びc參照覺書の規定から日本政府を免除するものと解釋されてはならない。ただし、第三項に記されている指示事項によって明確に免除が規定されている場合はこの限りでない。
12. 日本政府が、本覺書の日附から遲くも二一日以內に、本覺書の規定を實施するための法律、手續及び實施要綱を述べた規則、閣令及び/または省令案を連合國最高司令部に提出して承認を受けなければならない。
13. 本覺書に關連するすべての事項に關して、連合國最高司令部關係部局と、日本政府當該各省間の直接交涉を認可する。