1151 終戰處理(事業)費による調達方針に關する覺書
(SCAPIN2129)一九五〇年一一月二日
1. 連合國最高司令官發日本政府宛覺書AG400,12(26Jun50)COM-B、SCAPIN2104、件名:「占領軍要求豫算の支出負擔行爲及支出の管理について」昭和二五年六月二六日附けは本指令を以て取消す。本SCAPINの各條項は前記のSCAPINに含まれた政策の變更となるものではなくて、現行の手續を規定する政策を明確にするものである。
2. 在日兵站司令部司令官は占領軍に對する唯一の調達機關である。同司令官は調達手續及び書式を制定し、これに關する必要な實行指令を發出する。
在日兵站司令部司令官の任命した調達官以外の職員は占領軍のための調達をなし、又は調達のため交涉することを許されない。
3. 日本政府は占領軍のための占領軍用鐵道業務、信號通信施設、徵用勞務者を除いて、需品、建設、不動產及び役務の調達を實施する唯一の機關を指定すること。在日兵站司令部司令官はその機關の設立及運營を監督すること。
4. 調達は在日兵站司令部司令官の發する調達文書に基いてのみ開始及び實施すること。
a. 業者の選擇は通常日本政府の責任である。占領軍による業者の特殊の特定は在日兵站司令部司令官の承認ある場合に限り認められる。
b. 使用すべき契約の方式は在日兵站司令部司令官の指令通りとすること。調達文書に基く調達豫吿が、指定の計量單位で調達される、エンドアイテム(end items)及び又は、エンドサービス(end services)を以て明細に記載することの出來る場合には何時も、受理された入札價格を、其の品目又は役務に對する公定價格と認むること。
5. 第4項に示した調達文書に加うるに、別添1号雜支拂證明書(miscellaneous Expenditure Voucher)SCAP書式20号を下記の使用のため認可する:
a. 調達文書に依らない要求に對する勞務者に關して日本法律の要求する支出を管理するための使用、例えば:
(1) 占領軍の日本人雇傭人に關する健康保險、船員保險、失業保險及厚生年金保險に對する支拂保險料の日本政府分擔金
(2) 特別調達廳規程の認める、部隊給與法による正規給與の90日分を超過する、勞務者の災害保償に基く傷害手當又は死亡手當
(3) 退職手當
6. 第4及び5項に示した調達文書に加うるに、償還證明書(Reimbursement Voucher)SCAP書式14號別添2號は、占領軍のためにする日本雇傭人の、認可濟の出張に對して占領軍の經理又は支出擔任官の正當に認證された場合には特定金額の支拂用として認められる。支拂は支出明細表(雜支出として)、別添3號に依り報吿すること。
7. 受領官は供給され又は爲された需品、役務、建設、及び、不動產に對して、在日兵站司令部司令官の制定した手續に從つて作製した正規の受領書を業者に與うること。かかる受領書に基く時には、終戰處理(事業)資金からの支拂が認められる。
a. 受領證は占領軍の「オブリゲイテイング」士官又は經理士官により、當該支出に充當される會計區分內の資金使用可能性に就ての認證がなされる。斯して使用可能であると認證された金額を超過した支拂をしてはならない。
b. 支出官には、資金の認證を委任された占領軍職員の署名カードが給付される、支出官は署名カード綴込を保管し、支拂を爲す前に受領書にある署名と照合確認すること。
c. 支出官は受領書上に認證された金額と、納入者の「インボイス」と、契約書とを照合してその3文書の內の最低金額を支拂うこと。
d. 支拂要求書を審査の上で、支拂は昭和24年日本法律第256號に基く支拂遲延による利子の支拂を避けるように爲すこと。
e. 支出官は連合國軍最高司令部主計局、日本人關係調停係(lndigenous Reconciliation Unit)に支出明細表(人事用)別添3號、支出明細表(調達證明書用)別添3號及び支出明細表(雜支出分)別添3號をかかる支出の生じた日の事務締切後、直ちに送付すること。通信役務に對する記入は支出明細表(調達證明書分)別添3號に示すこと。雜支出證明書SCAP AGO書式20號によるすべての支出は支出明細表(雜支出分)に記入すること。
f. 日本政府は連合國軍最高司令官に、支出官駐在地表を作製するために終戰處理資金の支出を爲す各種支出官の氏名及駐在地の表を提出すること。
最初の表に對しては、場所の變更、削除又は追加は其の起きた都度報吿すること。
g. 契約金額の30%を超過しない業者に對する前渡拂は在日兵站司令部司令官の承認の上はこれを爲して差支えない。斯かる支拂はさきに示した資金使用可能なることを認證された正式の受領書提出の上で認められる。
8. 調達文書に基き占領軍に供給された、需品、資材、施設及び不動產が占領軍の所要以上に達する時は第3項によつて指定された日本政府機関に之を解除すること。
9. 上述の手續に悖る場合は總て、速報を連合國軍最高司令官に提出すること。事實が判明次第、すべての關連する詳細を記述した完全報吿を提出すること。各報吿の1通は在日兵站部司令官に提出すること。
10. 連合國軍總司令部主計官と在日兵站司令部司令官の承認された代表者は本覺書の規定の遵守を確保するために占領軍支持のために配賦された資金からの日本政府の支出を週期的に檢査すること。
11. 日本國民の利益のため、または降伏條件の實施または其他占領目的完遂のための事業または計畫の完遂のため連合國軍最高司令官の發した指令は連合國最高司令官より監視の任を負はされた占領軍の監視の下に實施すること。この種要求を示すためには何等の調達文書の書式も發出せず、また、その完遂に必要なる製品又は役務に對しては受領書を與えないこと。連合國最高司令官の指示に從い支拂が適用されるSCAPINの規程により、または監視の任を負はされた占領軍機關の發した實施命令により、または日本政府の提出し、連合國軍最高司令官の承認した計畫によつて、充分に正當化されない限り、之を終戰處理(事業)資金より支拂つてはならない。
3. 別添物:
1. SCAP AGO書式20號
2. SCAP AGO書式14號
3. WD書式35號署名カード及附属支拂明細表略