1133 入國資格及び日本國內における事業活動に關する覺書
(SCAPIN2105)一九五〇年六月二六日
1. 參照文書及び廢棄文書:
a. 一九五〇年六月一六日附連合國最高司令部回章第一一號「入國資格及日本國內における事業活動」に關する件を參照すること。
b. 日本政府宛の次の各覺書を取消す:
(1) 一九四九年一月一四日附SCAPIN1961「日本國內における外國人の事業活動」に關する件
(2) 一九四九年一〇月二一日附SCAPIN1961/1「日本國內における外國人の事業活動」に關する件
2. 參照囘章は次の條件を細目規定している:
a. 占領軍要員でない者の日本に入國しうる條件。
b. 占領軍要員以外の外國人。外國人の支配する商社及び日本に在住していない日本人の商業、知的職業及び投資活動を行いうる條件。
3. 日本經濟を自立の基礎におく目的をもつて、平常の經濟關係の囘復を容易ならしめるため、日本政府が次の各項に從つて、參照囘章に述べられている諸原則を實施することを要望する:
a. 日本國內において事業活動に從事することを許可された外國人及び外國商社に對して日本人及び日本商社と平等にして無差別な待遇を保證するため、必要な法的處置をとること
b. 銀行業、保險業、通信業、運送業、公益事業、知的職業その他今後指定される諸事業に從事するための外國人及び外國人の支配する商社の申請を受理しかつこれを許可しまたは許可しないこと。上記各事業活動に從事する申請の許可書の發行または不許可に先立つて、日本政府は申請書を含むその草案を、連合國最高司令官に提出して同意を求めねばならない。各許可證には、許可を受けた者が連合國最高司令部の特別許可書なしに、外國爲替の移動または交換勘定の移動を含む事業を、占領軍機關及要員との間で行う事は許されない旨を記入しなければならない。
c. 雜誌、書籍、映畫、ニュース及び寫眞、その他大量通報手段の輸入または配布に關係ある事業に從事する外國人及び外國商社の申請、及び、軍人及び占領軍に所屬または隨伴する職員及びその家族による事業活動に從事すための申請はすべて、直ちに連合國最高司令官に提出されねばならない。
d. (a)占領要員及び(b)日本滯在が七二時間を超えない者を除き、すべての日本入國者の入國登錄を定める適切な制度を繼續すること。これに要する登錄事務所は、日本への入國港と日本からの出國港から容易に達し得る所でなければならない。
e. (a)占領要員及び(b)日本滯在が七二時間を超えない者を除き、すべての日本入國者から次の報吿を受けること:氏名(英語及び本國の文字の兩方にて記す)、國籍、人種、旅券番號及び發行日附及び發行國名、本籍地、姓別、身長、體重、頭髮の色、眼の色、顏色、身體の作り、特徵ある傷瘍または斑点、出生日及び場所、雇用者の氏名、宛先及び事業、日本入國を許可した國名、入國港名、入國日、輸送機關名、日本滯留中の住所及びまたは商業上の宛先、及び本規則その他適用ある規則によつて要求される諸追加報吿事項。日本政府は入國後四八時間以內に、入國者に要求される登錄書式の寫し一通を、連合國最高司令官に送達せねばならない。
f. (a)占領要員及び(b)日本滯在が七二時間を超えなかつた者を除き、すべての日本からの出國者から次の記錄を受けること:氏名(英語及び本國の文字兩方にて記す)、國籍、人種、出國日、行く先、輸送機關名、旅券番號及び發行國名、日本からの出國者の作製した書式の寫し一通を、出國後四八時間以內に、連合國最高司令官に送達せねばならない。
g. 日本入國の商業關係者及び傳道者に、參照の囘章一部を提供し、その領收書を受け取り保存すること。日本入國の旅行者には、必要な旅行者情報及び關係規則を記した小册子を供與すること。
h. 事業が適用されるべき日本の法律及び連合國最高司令官規則に從つて行われているか否かを發見するため、合理的な記錄の檢査、その他必要な事業檢査を行うこと。法律規則等の遵守を監督し、すべての法律規則の條項、連合國最高司令官または日本政府が外國人及び外國人の支配する商社に發行した許可證または許可書の條項の違反を調査し、これを發見した場合には最寄りの連合國最高司令部地方民事局長に報吿すること。ただし、上記の調査及び實施處置において、日本政府は、一九四六年二月一九日附日本政府宛の覺書(SCAPIN756)「刑法裁判權の行使」に關する件の修正覺書の規定による制限を受けねばならない。日本政府に對して一九四六年二月一九日附日本政府宛の覺書(SCAPIN756)「刑法裁判權の行使」に關する件の修正覺書の規定により課せられた制限により、上記の指令事項の實施が妨げられまたは制限される場合には、日本政府が最寄りの連合國最高司令部地方民事局長の助力を要請するよう指令する。
i. 參照囘章第三四項に規定されている違法取引に參加または、加擔することは、これを犯罪とするに必要な處置をとること。
j. 外國人及び外國人の支配する商社が、日本人、日本人または日本の商社が所有する商社、または日本政府機關から、次に記す項目の財產利益または權利を取得することに對する確認申請を受理し、連合國最高司令官の承認を得てこれを許可し、またはこれを許可しないこと。
(1) 從前に確認された株式取得に基ずく新株の取得以外の株式及び持分に對する權利取得
(2) 事業に使用される土地及びまたは建物に對する權利及び商工業用建物設備及びこれらに附隨する工場及び施設に對する權利の取得(個人の常時または一時的に居住するために當然必要とする土地及び建物は、事業財產とは考えられない)。
(3) 上記(1)及び(2)號指定種目の財產の、五年をこえる期間に亙る賃貸借賣渡抵當またはその他の擔保及び將來の取得の豫約または選擇權。
(4) 日本人考案の特許及びこれに基く權利の取得。
(5) (a)特許權または技術の讓渡、繼續的な技術或は工場經營援助協定、特許實施協定またはその他による一年を超える期間に亙る事業の利益、賣上高、賣上價格または生產高の一部に對する權利の取得。
(b) 特許權または技術の讓渡、繼續的技術または經營上の援助協定、特許實施協定または同種契約の報酬としての一年を超える期間にわたる特定定期支拂に對する權利の取得。
k. 日本政府は、上記第三項jに記されている取引を確認する場合は次の各項を明記することを要する:
(1) 確認された財產利益または權利の取得を調査した結果、それが絕對に占領という事實に歸すべき詐欺、强迫、不當な壓迫のもとに行われたものでないことを知つた者、及び
(2) 右財產の取得によつて認可または許可される外國爲替の外國移送のために、外國爲替豫算において適切な豫算上の準備がなされていることまたは今後なされること、
l. 參照囘章第一一號によつて確認を要求されている財產及び權利の取得、賃貸借、擔保、賣渡抵當、選擇權、及び將來の取得の豫約が、一九四九年一月一四日以後になされ、かつ連合國最高司令官の同意を得て日本政府により個別的に確認されていなかつた場合は、すべて法律上無効である旨を日本政府が宣言することを希望する。
4. この覺書實施のため、日本政府及び連合國最高司令部各關係機關の直接交涉を認可する。
5. この覺書に含まれる規定はいずれも、日本政府宛の取消覺書、一九四九年一月一四日附SCAPIN1961及び一九四九年一〇月二一日附SCAPIN1961/1によつて取得した權利またはこれに從つて取られた處置に變更を加えるものと考えられてはならない。