1105. 日本商船に關する覺書
(SCAPIN2086)一九五〇年三月三日
1. 次の各覺書を參照すること:
a. 一九四八年九月二日附(SCAPIN1931)「日本商船」に關する件。
b. 一九四九年八月五日附(SCAPIN1931/1)「日本商船」に關する件。
2. 一九五〇年三月三一日以後、參照覺書a及びbをこの覺書によつて取消す。
3. 一九五〇年四月一日以後、船舶運營會管理下の船舶に對する現在の傭船協定を破棄する。總トン數八〇〇トン以上の一切の貨物船は、これを二種類に分ける:第一種 外航船舶、第二種 總トン數八〇〇トン以上の他のすべての船舶。右二種の船舶に對する管理は、次項に從つて解除す:
第一種
外航船舶
4. 外航に從事する銅製の貨物船は、一九五〇年四月一日各船主に對し返還を開始、船主の勘定による民間運營に移す(政府補助金は交付されない)。上記によつて自己船舶を運航しようとする船主は、船舶運營會を通して次の手續をしなければならない。
a. 連合國最高司令官に對し外航船舶の通關手續に關する申請書を提出すること。
b. 運賃案を連合國最高司令官に提出してその審査を受けること。
c. 連合國最高司令官を通して、日本國外の機關との間の、船積、船舶管理及び仲立に關する一切の積荷支拂及び勘定の決濟を處理すること。
5. 國際的所要條件(國際滿載吃水線證明書、海上における人命安全證明書及び通信證明書)を充す船舶はすべて管理解除適格とする。他の船舶も連合國最高司令官の承認を得た場合はこの部類に追加され得る。上記の承認により一たん第一種(外航船舶)に認定された船舶は、第二種に返ることは許されない。
第二種
第一種に含まれない總トン數八〇〇トン以上の各船舶
6. 日本政府は、船舶運營會に割當てられている補助金の管理に關して、次の處置をとらねばならない。
a. 一九五〇―五一會計年度の開始以後はいかなる船舶に對しても一切の傭船料の支拂を停止すること。たゞし、完全に政府の所有に係る貨物の現實の運送に對して支拂われる傭船料はこれを除外する。
b. 次の規則に從つて總トン數八〇〇トン以上の鋼製貨物船々主に對する繫船補助金の支拂を開始する:
(1) 基本けい船補助金は船舶運營會がこれを決定し、各船舶をけい船狀態におくために必要な最小限度の乘組員、燃料及び補給物資の供給に要する最小限度の補助金とする。右は最小限の保險費用を含むが、船主に對する利益、利得またはその他の支拂金を含まない。一般に、八〇〇トン乃至二〇〇〇トンの船舶に對する待機乘組員は四名とし、そのうち一人は船長たるも差支えない。2,000トン以上の大船舶に對しても、乘組員は同じように最小限度の員數に抑えること。
(2) けい船補助金の目的のため、總トン數八〇〇トン以上の日本商船を次の各群に分ける:
(a) 第一群國際船級協會規則に適合する船舶。
(b) 第二群日本船級協會規則に適合し上記(a)項に適合しない船舶。
(c) 第三群第二群の標準には合わないが、第二群に揭げる船舶と平均同一費用にて運航し得る船舶。第三群に加えるための最低標準は、一九四九年九月三〇日以後最小限總計五〇〇哩の一又は二航海を終えること。
(d) 第四群運航狀態にない船舶または第三群の標準に合致しない船舶。
(3) 一九五〇―五一日本會計年度初頭から六ヶ月間、けい船補助金は第一、第二、第三及び第四群に屬するすべての船舶に支拂われる。
(4) 遲くとも一九五〇年一〇月一日以後、次のけい船補助金が支拂われる。
(a) 第一群―基本補助額。
(b) 第二群―基本補助額。
(c) 第三群―基本補助額の八〇パーセント。第四群の船舶または最近の雇用後三〇日以內のすべての船舶に對しては、補助金は一切支拂われない。
(5) 遲くとも一九五一年一月一日以後、次の待機補助金が支拂われる:
(a) 第一群―基本補助額。
(b) 第二群―基本補助額。
(c) 第三群―基本補助額の五〇パーセント。
7. 船舶運營會を通して、すべての日本商船は、從來通り合衆國の日本商船運航統制官の管理統制に服さねばならない。運輸省は所要の報吿書を蒐集整理して提出することを要する。
8. 日本商船隊運航の責任を上記の通り平常狀態に秩序正しく徐々に復せしめるため、本指令實施に當つて、連合國最高司令部民間運輸局、合衆國極東海軍部隊司令官(合衆國日本商船運航統制官)及び日本政府間の直接交涉を認可する。