1036 輸出振興を目的とする外國爲替クレヂツト購入に關する覺書
(SCAPIN2020)一九四九年六月二四日
1. 一九四九年二月二日附連合國最高司令部發日本政府宛の覺書(SCAPIN1968)「外國爲替管理」に關する件を參照すること。
2. 日本政府が、遲くとも一九四九年六月二七日までに、日本商品の輸出業者がこの指令に述べられている原則に從つて、外國爲替クレヂットを購入することを許可する計畫及び手續を提出することを希望する。
3. 日本商品の輸出業者(日本政府機關以外の)は、その民間貿易取引から生ずる外國爲替クレヂットを、次の比率と物品種目に從つて、圓をもつて購入することが許可される
a. 第一種(別紙第一)三パーセント
b. 第二種(別紙第二)六パーセント
c. 第三種(別紙第三)一〇パーセント
物品種目が上記種目別に記載されていない場合は、その物品の輸入から生じた適當な比率の外國爲替クレヂットを購入する權利を得るためには、別箇に連合國最高司令官の事前承認を受けねばならない。
4. 外國爲替保有クレヂットは、日本國外において開設された信用狀または日本國外からの送金爲替によつて代金が決濟された取引の結果としてのみ使用することができる。オープン勘定によつて代金が決濟された取引は、關係外國政府の同意を得たとき及びその同意の範圍內においてのみ、右のクレヂットの源泉とすることができる。オープン勘定取引から生ずる保有クレヂットは、契約の結ばれた國に對して及び/またはその國においてのみ使用できる。
5. 日本商品の民間輸出業者の購入した外國爲替クレヂットは、次の各目的に用いることができる:
a. 日本の貿易及び/または生產增進の目的で外國に派遣された日本人または外國人の、外國での旅行及び生活費用
b. 日本商品を取扱う外國代理店への費用
c. 販賣促進のための費用の支拂
d. 輸出品の生產を最大限に增大するための工業原料品、機械、器具その他の物資の輸入
e. 信用調查錄、見本、カタログ及びその他貿易關係出版物の購入
f. 外國の技術及び工學顧問によつて提供される特許權及び役務の購入
g. その他連合國最高司令官によつて特に承認される目的
6. この覺書の規定に從つて、輸出契約の通貨による外國爲替クレヂットが許される組織の設置及び運營は、上記第一項參照文書に從つて、外國爲替管理委員會により實施される。右クレヂットは次の統制條項を條件として購入することができる:
a. 購入權の有効期限は六ヶ月とする
b. 購入權は一回だけ、供給範圍內の三名以內の者にだけ移轉することができる。
c. 日本國內で流通する外國貨幣または證券は、誰にも入手することはできない。
d. 連合國最高司令官の規定するその他の保護手段
7. 次の制限條項に從うことを條件として、この覺書の規定によつて外國旅行を要請する日本人の氏名を、連合國最高司令官に提出してその承認を受けるため、適當な日本政府機關が指定されねばならない:
a. 要請する旅行が通商活動に限られていることを證明せねばならぬこと。
b. 關係個人が、通商產業省または日本の貿易業者の團體の一手販賣若しくは一手買取の代行機關として活動してはならないこと。
8. この覺書に含まれている指圖事項の實行のため、通商產業省、日本政府指定機關及び連合國最高司令部關係幕僚部間の直接交涉を認可する。
別紙三通 上記通り