828 見本の輸出手續に關する覺書
(SCAPIN1813)
一九四七年一一月六日
1. この覺書に記載の手續は、一九四七年二月八日附連合國最高司令部覺書、上記同首題に關する件の手續に代わるものである。
2. 次の手續が今日以後、贈與または購入による場合を問わず入手する見本の輸出を管理する。
a. 國際郵便―この手續は郵送される見本を定義し、その重量を五〇〇グラム即ち一八オンスに限定する万國郵便條約に含まれる規則を補足するものである。下記は賣品價値なき見本として郵送し得る種目に對する制限事項を網羅する:
(1) 織物―巾四吋以內の布片
(2) 製品將來の顧客に見せる以外の目的には無用となつたもの
(3) 食料品
(a) 罐、つぼまたは硝子容器入り。「見本、非賣品」と捺印すること。
(b) 罐詰、つぼ詰でなく、ばら、乾燥その他の調製法によるもの。二オンスまたはそれ以內の紙或は同種物質製封筒に包み、「見本、非賣品」と捺印し、郵送される種目に好意を持つ業者宛に積出すこと
(4) 製藥品―見本品を「見本、非賣品」と記註した小容器に入れ、その製品に對し好意を持つ業者または、それらの製品を實驗或は分析用に使用すると思われる醫學及び化學機關宛にのみ積出すべきこと
b 日本よりの貨物、小荷物または個人的所有物として、速達航空便または海上船舶便によつて積出す見本は次の通り限定する:
(1)織物
(a) 布―木綿、毛、絹、人絹または他の織物は巾四吋の布片に截斷し、長さはその本來の巾とすること
(b) 製品は、截斷またはその他の方法で商品として註文を取るためまたは模造の目的に用うるための見本として以外無用とされたもの。裁斷その他の方法で無用或種目については明瞭な色彩でその各部に大字にて「見本、非賣品」と捺印すればこの目的に適うであろう。
(2) 化學製品、油及びペンキ四液體オンス以內の容器に詰めること。容器には「見本、非賣品」と明瞭に捺印し、一荷受人あて二四箇以內の組として積出すこと。
(3) 土、陶器及び硝子器
(a) 石灰石、苦土、石膏石、輕石、雲母、粘土等の土は粉碎粘狀その他自然の狀態で粉としたものは、一〇〇ポンドまで荷組とし見本として積出すことが出來る。
(b) 像、壺、土器、陶器または磁器製食器及び花瓶、瓶、小藥瓶及びその他の硝子器等土製物件種目は、各種類共各一個で、容易にはげない物質をもつて「見本、非賣品」の文字を各個に記した場合のみ、見本として積出すことが出來る。
(4) 金屬及びその製品
(a) 鑛石―見本は二五ポンドを越えないこと
(b) 見本として申吿する製作品は、使用または賣却物として無價値となるよう割るか或はその他の手段をとる。
(5) 木材及びその製品
(a) 木材並びに木材及び茨の根はその自然の狀態において二〇ポンド以內に截斷したものを見本として輸出することが出來る。
(b) 巾四吋重量一〇ポンド以內に截斷したベニヤ板は見本として積出すことが出來る。
(c) 桶、樽、箱その他類似の物件は、こわして一箇分の部分品とした場合見本として積出すことが出來る。
(d) その他全部または一部分が木製である製品は、截斷その他の方法で無價値とされた場合、見本として積出し得る。かゝる種目は一積荷每に單一荷受人に對し一箇限り送ることが出來る。
(6) 食料品その他農產物
(a) 原形のまゝの食料品は見本として送ることが出來ない。
(b) 茶その他乾燥、燻製、䀋漬その他漬物とし、罐詰、瓶詰、壺詰または硝子容器入りでないものは、重量一ポンド以內の包みとし「見本、非賣品」と印した上見本として積出すことが出來る。各種目につき一個以上の包みは許可されない。
(c) 罐詰、瓶詰、壺詰その他硝子容器入りの漬物は、一種目のみその旨申吿し「無料見本」と印した時見本として積出すことが出來る。特に見本用として作製した罐詰、瓶詰、壺詰その他の容器入りは、その容器に「無料見本」と印した場合、各種目につき二四箇を越えない荷組として積出すことが出來る。
(7) 酒類、葡萄酒その他の飮料
(a) 四液體オンス以內の小型容器入りの種目に限り見本と見なす。右種目は右小型容器二四箇以內を荷組とし積出すことが出來る。
(8) 亞麻、大麻、黄麻及び類似纎維とその製品
(a) 一ポンド以內の原料包が各種目について見本として積出すことが出來る。
(b) 綱、撚糸、索條は長さ一〇米以內のものを見本として積出し得る。各種目とも一荷受人に對し一種目一〇米のみ許可される。
(c) その他全部または一部が大麻、亞麻、黄麻その他類似纎維をもつて製造された種目は、見本として積出すに先立ち、截斷またほその他の方法で無價値なものとしなければならない。
(9) 紙及びその製品
(a) 各紙種目とも四分の一連に限り一荷受人に見本として積出すことが出來る。
(b) 紙製品一種目に限り荷受人宛見本として積出すことが出來る。積出す種目はいずれも「無料見本」と印すを要する。
(10)雜貨
(a) 上記の表に含まれない種目は、截斷または他の方法で無價値なものとなつている場合に限り、見本として積出すことが出來る。右種目は一種目に限り荷受人に宛て積出すことが出來る。
(b) 以上見本の定義に用いられた荷受人という言葉は、個人的荷物の中に見本を含めることまたは別箇に自分若しくは他人宛に積出すことを希望する一切の個人を含む。
3. 上記の限定事項はいずれも、個人が日本國內に於て製造または生產された物件の上記以上の數量を、海外における見本用として購入積出することを禁止するものではない。ただしその場合の見本は五〇〇ドルの價格を越えることは出來ない。(これ以上の價格の種目については最高司令部の特別認可が與えられ得る。)このような場合には次の手續が適用される:
a. 見本(日本を發つ個人に隨伴しない)の輸出許可證は、貿易廳に書式IE301(別紙)を提出することによつてその供給者または輸出者より請求するものとする。この見本輸出申請は、IE100書類の事前提出のあるなしに拘わらずなすことが出來る。貿易廳による證明書が輸出許可證となる。
b. 一般商取引量の見本は輸出に先立つて日本政府またはその公式機關によつて檢閲を受けなければならない。
c. IE301書類は二樣の作用をする:
(1) 一般商取引量の見本輸出許可證として。
(2) 見本が購入された場合は、支拂濟ドルの領收證として。
(a) 見本が購入された場合は、貿易廳はドル勘定または他の受容し得る通貨勘定で送狀を出し、それは日本政府の貸方勘定として最高司令官商業勘定に預入するため經濟科學局外國貿易課に支拂われる。連合國最高司令部よりの正式領收書によつて貿易廳は書式301により支拂を證明する。
(b) 見本が購入されない場合は、荷主の證明書が、品物が現存連合國最高司令部規則に從つて正統に出入されたものである事實を認證する。
d. 見本請求書を郵便によつて受取つた場合、貿易廳は供給者に對し、日本稅關を通じ見本の輸出手續をするため、書式301を作製するよう指示する。右書式には荷主の署名ある申吿書の代りとして原手紙の寫しを添えねばならない。
c. 効力發生と同時に、書式IE301の寫し一部を念のため連合國最高司令部經濟科學局外國貿易課に提出することを要する。
4. 見本の各積荷にIE301の寫し三部を添えねばならない。一部は貿易廳に保留し、一部は日本稅關を通ずる出港の手續のため、一部は輸出完了後の記錄用として第八軍に送達する。
5. 添附書一部一書式IE301(輸出向見本の許可申請書)。この書式は複寫して差支えない。
6. この覺書實施のため、商工省大藏省と連合國最高司令部の關係部局間の直接交涉をこの覺書によつて認可する。
添附書一通
IE301 :貿易廳公用
發:(荷主氏名) :件番號
宛:日本政府 :受附日
輸出向見本許可申請書
1.日附:
2.荷受人:
3.送荷 (a)航空便 (b)海上 (c)郵便(不用文字抹殺のこと)
4.本申請書による見本の數量:
5.入手法 (a)購入 (b)無料
(a) (b) (c) (d) (e)
種目番號 各見本の種類 數量 製造者、供給者又は代理者 申吿價格(ドル)
6. 積出豫定港名
7. 見本包裝の完全な說明
(a) (b) (c) (d) (e) (f) (g)
個數 包裝の形式 各包荷の內容 包裝用資材 各包荷の容積(立方呎) 各包荷の總重量 外裝標識
合計
8. 荷主の申吿
下記の者は、この許可書に含まれている物品が好意的見本であること、轉賣を目的としないこと及び現存總司令部規則に從つて入手したものであることを證明する。
署名
供給者又は輸出者
住所
9. 證明書:日本政府
(または日本政府公式認可機關)
下記の者は、本申請書に含まれる事項が眞實正確であること及び、本申請書が一九四六年三月一四日附連合國最高司令部發日本政府宛の覺書に述べられた規定條項を十分認識して作製されたものであることを證明する。更に下記の者は、第五項が本許可書に含まれる見本の購入を現わす場合は、ドルによる支拂を受領したことを證明する。本書に記されている輸出見本に對する許可を供與する。
署名
貿易廳輸出局々長
10. 證明書:合衆國海事委員會及び/又は指定者
11. 日本稅關の證明書。